9. 40歳代に多い「保障と運用が一緒になったものと、運用だけのものの違いが分からない」というご相談。ファイナンシャルアドバイザー・鶴田 綾が伝えたいこと

将来の備えを考え始めた方から、保障と運用が一緒になった仕組みについてのご相談をいただくことがあります。ご自身でいくつかの方法で運用を続けている方でも、運用だけのものと何がどう違うのかという点で立ち止まることは少なくありません。

9.1 40歳代に多いお悩み相談は「保障と運用が一緒になったものと、運用だけのものの違いが分からない」

40歳代(ご相談者)
将来の備えとして、保障と運用が一緒になったものをすすめられました。運用は自分でもいくつかの方法で続けているのですが、それと何が違うのかがよく分からないままです。一緒になっているぶん良い点があるのか、それとも分けておいたほうがよいのか、自分では判断できずにいます。

違いが分からないとおっしゃるとき、比べようとしている二つが、そもそも同じ物差しに乗らないことがあります。増え方だけを並べても、その物差しからこぼれる部分が残るためです。

9.2 【ファイナンシャルアドバイザー・鶴田 綾が回答】どちらが良いかを決める前に、契約の中身のどこを見るかを決める

鶴田 綾
「一緒になっているほうが良いのか、分けたほうが良いのか」と決めつける前に、支払ったお金のうちどれだけが運用に回り、どれだけが保障を持つための費用にあてられるのかを確かめ、受け取れる額が運用の結果によって変わり支払った額を下回る場合があるのかどうかを見ておき、途中でやめたときに戻ってくるお金がどう扱われるのかまで契約の前に確かめておくことが、すすめられた内容をご自身の言葉で説明できる状態につながります。
一般的に保障と運用が一緒になったものは、支払った保険料の一部が保障にまわるため、純粋に投資するより運用効率が少し劣ると言われています。
既に、保険で保障は十分持っているという場合は保障と運用が一体型の保険に積極的に加入する必要性は低いでしょう。

9.3 ポイント1:支払ったお金のうち、運用に回る部分と保障にあてられる部分を分けて見る

保障と運用が一緒になっている仕組みでは、支払ったお金がそのまま全額運用に回るわけではありません。保障を持つためにかかる費用や、契約を維持していくための費用があり、それらが差し引かれたうえで残りが運用に向かう形になっているのが一般的です。運用だけのものと並べて増え方だけを比べると、この差し引かれる部分が視野から抜けてしまいます。相談の場では、契約の説明資料のどこにその内訳が書かれているのかを一緒に探すところから始めることが少なくありません。どこにどう書かれているかは契約によって異なりますので、資料を見ても分からないときは契約先の窓口に確かめるという方法があります。保障がある分の費用がかかること自体は仕組み上のもので、良し悪しの話ではありません。ただ、その費用を把握しないまま運用だけのものと比べてしまうと、比較そのものが成り立たなくなります。

9.4 ポイント2:受け取れる額が運用の結果によって変わるのかどうかを見ておく

保障がついていても、運用の部分がある以上、その結果によって受け取れる額が動く仕組みになっていることがあります。運用が思うように進まなかった場合には、受け取れる額が支払った額を下回る可能性が残ります。値動きのある資産を組み入れているという点では、運用だけのものと同じ前提が置かれていると考えておくほうが、後から戸惑いにくくなります。一方で、契約によっては、保障の部分は運用の結果にかかわらず決まった内容が用意されている場合もあります。つまり、ひとつの契約の中に「運用の結果で変わる部分」と「変わらない部分」が混在していることがあるということです。どこからどこまでがどちらなのかは契約ごとに違いますので、資料のうえで線を引けるかどうかを確かめてみるとよいでしょう。

9.5 ポイント3:途中でやめたときにどうなるのかを、契約する前に確かめる

長く続けることを前提にした仕組みでは、途中でやめたときに戻ってくるお金が、それまでに支払った額と同じにならない場合があります。早い時期にやめるほどその差が大きくなる形になっていることもあり、ここは契約する前に確かめておきたいところです。すでに契約している場合でも、いま解約するとどうなるのかは、契約先に問い合わせれば確認できることが多いものです。相談の場では、「途中でやめる可能性がどのくらいありそうか」を先に考えていただくと、その仕組みが自分の家計に合うかどうかを判断しやすくなる、という整理に行き着くことが少なくありません。なお、こうした仕組みでは税の扱いが説明されることもありますが、取り扱いは改正されることがあるため、最新の内容は公的機関の情報や契約先の窓口でご確認をお願いします。

この三つは、どちらの形が優れているかを判定するための項目ではありません。いま向き合っている契約が何をしてくれる仕組みなのかを、ご自身の側から捉え直すための項目です。

10. まとめにかえて

保障と運用が一緒になった仕組みについてのご相談では、「どちらが有利か」という問いの形で持ち込まれることがよくあります。ただ、保障がある分の費用がかかること、運用の結果によって受け取れる額が変わり、支払った額を下回る可能性が残ること。この二つを踏まえると、増え方だけを並べた比較では判断の材料が足りないことが見えてきます。契約する前でも、すでに契約している場合でも、確かめられることは共通しています。支払ったお金のうちどれだけが運用に向かうのか、受け取れる額のどこが運用の結果で動くのか、途中でやめたときにどう扱われるのか。この三つを資料や窓口で押さえておくと、すすめられたときに感じた分からなさが、具体的な質問の形に変わっていきます。ここで触れたのは一般的な整理であり、実際の内容は契約によって異なります。判断に迷うときは、ご自身の契約内容を前提にした個別のご相談もご検討ください。

参考資料

鶴田 綾