2026年8月に金融庁から「令和9(2027)年度税制改正要望」が公表され、私たちの資産形成に大きく関わる制度の見直し案が示されました。

なかでも注目したいのが、あらゆる世代のライフプランに合わせたNISA(少額投資非課税制度)の利便性向上案と、子育て世帯を支援するための生命保険料控除の拡充案です。 

村岸 理美
筆者もFP(ファイナンシャルプランナー)として家計のご相談に携わってきましたが、「子どもの教育費などで一時的にお金を引き出したら、NISAの非課税枠はどうなるの?」といったお声をよくいただきます。制度がより私たちの生活に寄り添う形へ進化していくことは、将来の安心に直結すると感じています。

今回は、公表された最新の要望内容を紐解きながら、NISAを活用した長期的な資産形成のシミュレーションについて解説します。

なお、積立シミュレーションの結果については、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。

【新NISAシミュレーション】月10万円×15年積立+放置で資産はどう化ける?月3万円の少額戦略も公開
【新NISAシミュレーション】月10万円×15年積立+放置で資産はどう化ける?月3万円の少額戦略も公開
ココがポイント
  • NISAの非課税枠が当年中に復活する改正要望のポイント
  • 子育て世帯を支援する生命保険料控除拡充の恒久化について
  • 毎月の積立額や期間を変えた場合の長期運用シミュレーション結果

1. 【新NISA】もっと便利に?当年中の「枠復活」と「投資先拡大」の要望

金融庁の税制改正要望では、あらゆる世代が自身のライフプランに沿った資産形成を行えるよう、NISAの利便性を高めるための提案がなされました。

1.1 NISA、当年中の「枠復活」と「投資先拡大」の要望

①売却した非課税枠が「その年のうち」に復活(当年中復活)

現状のルールでは、NISAで保有する資産を売却して空いた非課税枠(生涯で投資できる上限1800万円)は、売却した「翌年」にならないと再利用できません。しかし今回の要望案では、売却した「当年中」にその非課税枠を即時復活させることが提案されています。

これが実現すれば、急な出費で資産を一部現金化しても、生活が落ち着いた同じ年のうちに積立投資を再開しやすくなります。なお、復活する枠は年間投資枠(最大360万円)の範囲内となります。

②「つみたて投資枠」で選べる投資対象(ETF)の拡大

また、毎月コツコツ投資をするための「つみたて投資枠」において、対象となるETF(上場投資信託:株式市場に上場している投資信託)の要件を整備し直すことも盛り込まれました。より多様な選択肢のなかから、ご自身に合った長期積立投資ができる環境づくりが進められています。

1.2 子育て世帯を支援「生命保険料控除」拡充の「恒久化」要望

子育て世帯には万が一のときへの備えなど様々な保障ニーズがあります。そのため、子育て世帯への支援として「生命保険料控除制度の拡充の恒久化」が要望されています。

生命保険料控除制度の拡充の恒久化等〔農林水産省・厚生労働省・経済産業省が共同要望〕2/4

生命保険料控除制度の拡充の恒久化等〔農林水産省・厚生労働省・経済産業省が共同要望〕

出所:金融庁「令和9(2027)年度 税制改正要望について」

現在、23歳未満の扶養親族がいる場合、一般生命保険料に係る所得控除(税金の計算の元になる所得から差し引ける金額)の上限に2万円が上乗せされ、所得税で最大6万円となっています。しかしこれは令和8年と令和9年限りの一時的なルールでした。

今回の要望では、この上乗せ措置を恒久化(ずっと続く制度にすること)するよう求めており、子育て世帯が安心して将来に向けた保障を確保できる環境整備が目指されています