秋は生命保険料控除証明書が届く時期です。年末調整のために何気なく提出される方もいるかもしれませんが、今年はいくら保険料を支払っているのかを確認する良い機会です。
令和9年度の税制改正要望では、子育て世帯に向けた生命保険料控除の拡充を期限なしの「恒久化」とする案が出されており、今後の制度改正にも注目が集まります。
税制優遇の動向もチェックしながら、いまの自分と家族の状況に合った過不足のない保障に整えていきましょう。
筆者は元生保職員のファイナンシャルプランナーですが、お金のご相談を受けるなかで、「昔加入した保険のまま、とくに内容を確認していない」というお声を多く耳にします。実は、公的な制度の最新情報を知るだけで、本当に必要な保障額がわかり、不安がスッと軽くなることも少なくありません。
本記事では、知っておきたい最新の制度変更のポイントと、無駄のない保険選びのコツについて解説します。
- 2026年に成立した医療保険制度の5つの変更点
- 元生保職員が教える「保険を見直すべき人」の5つの特徴
- 公的保障と預貯金を踏まえた、賢い保険の選び方の順番
1. 「医療保険は本当に必要?」入院時の自己負担「平均18万7000円」
病気やケガで入院したとき、実際にはどのような費用がかかるのでしょうか。大きく分けると、以下の4つの費用が発生します。
①治療・検査・手術などの医療費
公的医療保険の対象となる医療費については、原則として年齢や所得に応じた自己負担が発生します。一定額を超えれば、高額療養費制度の対象となります。
②入院中の食事代
入院中の食費も一定額を患者が負担します。2026年6月から、一般所得者の入院時の食事にかかる標準負担額は1食550円となっています。
たとえば10日間、毎日3食であれば、食事代だけで1万6500円となります。
③差額ベッド代
本人が希望して個室などの「特別療養環境室」を利用した場合には、差額ベッド代がかかることがあります。
差額ベッド代は高額療養費制度の対象外です。なお、患者本人の希望によらず治療上の必要性などから個室に入った場合など、差額ベッド代を求めてはならないケースもあります。
④日用品や交通費など
パジャマやタオル、洗面用品などの日用品、テレビやWi-Fiなどの費用、入退院時の交通費、家族がお見舞いに来る際の交通費などがかかるケースもあります。
公益財団法人生命保険文化センターの「2025年度(令和7)年度 生活保障に関する調査」によると、直近の入院時にかかった自己負担費用は、1日あたり平均2万4300円、総額では平均18万7000円でした。
この金額には、高額療養費制度利用後の治療費のほか、食事代や差額ベッド代、交通費、衣類、日用品費なども含まれています。
さらに忘れてはいけないのが、入院による収入減少です。会社員など一定の要件を満たす人には傷病手当金があり、支給額は原則として標準報酬月額を基に計算した額の3分の2相当です。
一方、フリーランスや自営業の方など、対象とならない働き方をされている方は、入院による収入減少にも備えておく必要があります。
2. 「医療保険が必要か」ではなく、自分に不足する保障を考えよう
医療保険について考えるとき、「入ったほうが得なのか」「入らなくても大丈夫なのか」と考えてしまいがちです。
しかし、保険は損得だけで判断するものではありません。
以下の順番で、ご自身に必要な保障を確認してみましょう。
- 公的医療保険や高額療養費制度でどこまでカバーされるか
- 勤務先の福利厚生や傷病手当金などがあるか
- 預貯金からどの程度負担できるか
- それでも不安・不足を感じる部分を民間の医療保険などで備える
たとえば、十分な預貯金がある人と、急な20万円の出費でも家計への影響が大きい人では、必要と感じる保障は異なります。また、「入院中は個室で過ごしたい」「仕事を休んだときの収入減にも備えたい」など、どこまで安心を確保したいかによっても選択は変わります。
民間の医療保険は、公的保障だけでは不足すると感じる部分を補うための選択肢の一つとして考えることが大切です。今の自分とご家族の状況に合わせて、過不足のない保障を整えていきましょう。
