2. パートでも社会保険に入る?知っておきたい「2つの基準」

「パートだから社会保険には入らない」—そう思って働き方を決めている方もいるのではないでしょうか。実際には、入る基準が2つあります。日本年金機構の説明でみてみましょう。

2.1 入口その1・4分の3基準

まず原則となるのが4分の3基準です。1週の所定労働時間が一般社員の4分の3以上で、かつ1月の所定労働日数も一般社員の4分の3以上であれば、パートやアルバイトという名称に関わらず被保険者になります。一般社員が週40時間・月20日勤務の事業所なら、週30時間以上かつ月15日以上が目安です。

2.2 入口その2・週20時間、月8.8万円—将来の厚生年金が増える

もうひとつが適用拡大の基準です。特定適用事業所などに勤める場合は、週の所定労働時間が20時間以上、所定内賃金が月額8.8万円以上、学生でないことのすべてに該当すれば対象になります。裏を返せば、4分の3に届かない働き方でも、週20時間を超えていれば加入の対象になり得るということです。

この基準は今後さらに動きます。厚生労働省の資料によると、短時間労働者の企業規模要件は10年かけて段階的に縮小・撤廃され、月額8.8万円以上(年収約106万円)という賃金要件は、2026年10月から、短時間労働者が社会保険に加入する際の「月額賃金8万8000円以上」という賃金要件が撤廃され、いわゆる「106万円の壁」がなくなります。
個人事業所についても、常時5人以上の従業員を使用する全業種に広がります。

加入は手取りが減る面もありますが、将来受け取る厚生年金が増える面もあります。

3. 手取りと将来の年金、どう考える?FPからの3つのアドバイス

40歳代おひとりさまの貯蓄は、平均859万円・中央値100万円でした。働き方を将来の年金につなげるための3つのポイントをお伝えします。

一つ目は、自分の労働時間と月収が、どの基準に近いかを確かめることです。週20時間・月8.8万円、あるいは4分の3基準に当てはまるかを知ることが出発点になります。

二つ目は、加入の「損得」を両面でみることです。社会保険に入ると手取りは減りますが、将来の厚生年金は増え、傷病手当金などの保障も手厚くなります。目先の手取りだけで判断しないことが大切です。

三つ目は、勤め先の担当に自分の扱いを聞いておくことです。加入基準は今後さらに広がります。自分が対象になるのか、いつからかを確認しておくと、働き方を選ぶ土台になります。

村岸 理美

40歳代単身世帯の貯蓄は中央値で100万円であり、将来を見据えた生活設計が求められます。社会保険への加入は目先の手取りが減る一方で、将来の年金増加や病気時の保障など、長期的な安心につながる重要な選択肢です。

4. まとめにかえて

今回は、40歳代おひとりさまの平均貯蓄額(859万円)と中央値(100万円)を確認しました。平均が中央値を大きく上回るのは一部の人が押し上げているためで、実感に近いのは中央値100万円のほうです。

あわせて、パートでも社会保険に入る基準が2つあること—4分の3基準と、週20時間・月8.8万円などの適用拡大の基準—をみました。加入は手取りが減る一方、将来の厚生年金が増え、保障も手厚くなります。

今日からできることは3つです。まず、自分の労働時間と月収が、週20時間・月8.8万円や4分の3基準に当てはまるかを確かめること。次に、加入による手取りの減少と、将来の年金・保障の増加を両面でみて判断すること。

そして、勤め先の担当に自分の扱いと、今後の加入基準の広がりを聞いておくこと。おひとりさまにとって、働き方の選択は将来の年金づくりそのものです。まずは自分の基準を確かめることから始めましょう。

参考資料

村岸 理美