毎年秋頃になると、税金や控除に関するご相談をいただくことがぐっと増えてきます。年末調整の時期が近づき、ご自身の税金や家計について意識する方が多くなるからかもしれません。

国税庁が公表する「令和6年分 民間給与実態統計調査」では、会社員の給与や税負担のリアルな数字が見えてきました。毎月のお給料から当たり前のように天引き(給与から差し引かれること)されている税金ですが、会社員は全体でどれほどの税金を納めているのでしょうか。

物価高が続く今、手取りを少しでも確保することは多くのご家庭にとって重要な課題です。今回は、調査結果から見えてくるサラリーマンの税負担の実態と、手取りを守るための基本的な3つの対策について解説します。

ココがポイント
  • 会社員の平均給与と所得税負担のリアルな数字
  • 手取りを増やすための具体的な3つの控除制度
  • 各制度の特徴と活用するときの注意点や使い分け

1. 全サラリーマンで「年間11兆円の税負担」平均給与はいくら?

国税庁の調査によると、1年を通じて勤務した給与所得者(会社員やパートなど)の平均給与は478万円となっています。このうち、源泉徴収(会社が給与から税金を計算して天引きし、代わりに国へ納める仕組み)によって所得税を納税している人は3753万人にのぼり、全体の73.1パーセントを占めています。

1年を通じて勤務した給与所得者数、給与総額及び税額1/1

1年を通じて勤務した給与所得者数、給与総額及び税額

出所:国税庁「民間給与実態統計調査結果 調査結果の概要」

驚くべきは、この納税者たちが1年間に納めている所得税の総額です。なんと11兆363億円にも達しており、私たち会社員が日本の税収を大きく支えていることがわかります。

1.1 自ら申告しないと手取りは増えない

会社員の場合、毎月の給与から自動的に税金が引かれています。これは非常に便利な仕組みですが、一方で「自分がいくら税金を払っているのか」が見えにくくなるという側面もあります。

税金は、基本的には画一的に計算されますが、個別の事情(医療費がたくさんかかった、寄附をしたなど)は、自ら申告しない限り考慮されません。つまり、国が用意している控除(税金の計算対象となる所得から一定額を差し引く仕組み)の制度を賢く使わなければ、本来払わなくてもよい税金まで納めてしまう可能性があるのです。

だからこそ、国の制度を知り「自分の手取りを守る」という意識を持って、自ら行動することがとても大切になります。