厚生労働省は2026年7月、「2025年 国民生活基礎調査の概況」を公表しました。高齢者世帯の暮らしを所得と生活意識の両面からとらえた、最新の一次資料です。

同調査によると、高齢者世帯の1世帯当たり平均総所得は336万1000円で、そのうち61.3%を公的年金・恩給が占めています。さらに、総所得のすべてが公的年金・恩給という世帯は41.3%にのぼりました。

老後の家計が年金でどこまで賄えるのかは、多くの方が気にかけているところだと思います。この記事では、高齢者世帯の所得構成、年金への依存度の分布、そして暮らしの実感の3つを順に確認していきます。

なお、公的年金の平均受給額や老後夫婦の家計収支に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

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ココがポイント
  • 高齢者世帯の1世帯当たり平均総所得は336万1000円、うち61.3%が公的年金・恩給
  • 総所得のすべてが公的年金・恩給という世帯は41.3%を占める
  • 生活意識では52.1%が「苦しい」と回答し、ゆとりがあるとしたのは6.2%

1. 高齢者世帯の平均総所得は336万1000円、その61.3%が公的年金・恩給

まずは、高齢者世帯の所得の全体像から見ていきます。ここでいう高齢者世帯とは、65歳以上の方のみで構成する世帯か、これに18歳未満の未婚の方が加わった世帯を指します。

1.1 1世帯当たりの平均総所得は336万1000円

2025年 国民生活基礎調査によると、高齢者世帯の1世帯当たり平均総所得は336万1000円でした。前年の314万8000円から6.8%の増加です。

なお、この調査で集計されているのは前年である2024年の所得です。同じ調査での全世帯の平均総所得は575万2000円ですので、高齢者世帯はその6割ほどの水準にとどまっています。

所得の柱となる公的年金が実際にいくらなのかは、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から要点を引用して確認しておきましょう。

厚生年金の平均年金月額は〈全体〉15万289円、〈男性〉16万9967円、〈女性〉11万1413円(いずれも国民年金の金額を含む)。国民年金は〈全体〉5万9310円、〈男性〉6万1595円、〈女性〉5万7582円です。年金の受給額はこれまでの加入状況によって決まるため、人によって大きな差が生じる点には注意が必要です。

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

1.2 所得の内訳は5つに分かれる

高齢者世帯の総所得を構成別に見ると、公的年金・恩給が61.3%で最も大きく、次いで稼働所得が25.9%となっています。残りは財産所得が5.8%、年金以外の社会保障給付金が0.5%、仕送り・企業年金・個人年金・その他の所得が6.5%です。

全世帯では稼働所得が74.1%、公的年金・恩給が19.4%ですから、収入の柱がまったく入れ替わることが分かります。

高齢者世帯の収入の柱は公的年金・恩給で、総所得の61.3%を占めます1/2

高齢者世帯の1世帯当たり平均総所得336万1000円と所得の構成割合

出所:厚生労働省「2025年 国民生活基礎調査の概況」をもとにLIMO編集部作成

2. 総所得のすべてが公的年金・恩給という世帯は41.3%

平均で61.3%という数字は、世帯ごとの実情をならしたものです。分布を見ると、印象はかなり変わります。

2.1 依存度別に見ると分布は大きく偏っている

公的年金・恩給を受給している高齢者世帯について、総所得に占める公的年金・恩給の割合別に世帯構成を見ると、100%、つまり収入が公的年金・恩給だけという世帯が41.3%を占めます。

次いで80〜100%未満が17.1%、60〜80%未満が14.1%、40〜60%未満が13.6%、20〜40%未満が9.7%、20%未満が4.2%です。80%以上を年金に頼っている世帯は、合わせて58.4%にのぼります。

収入が公的年金・恩給だけという世帯が41.3%と、分布は大きく偏っています2/2

公的年金・恩給が総所得に占める割合別にみた高齢者世帯の構成割合

出所:厚生労働省「2025年 国民生活基礎調査の概況」をもとにLIMO編集部作成

2.2 年金額の改定が家計に直接効いてくる

収入が公的年金・恩給だけという世帯では、年金額の改定や、天引きされる税・社会保険料の変更がそのまま手取りの増減になります。稼働所得や財産所得で補う余地が小さいためです。

平均値だけを見て「年金は収入の6割程度」と受け止めてしまうと、この4割を超える層の家計の姿を見落とすことになります。

受け取った年金が家計のどこまでをまかなえているのかは、LIMOの記事「【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説」から要点を引用して確認しておきましょう。

収入の内訳を見ると、合計25万4395円のうち、公的年金などの社会保障給付が22万8614円と約9割を占めています。一方、支出は消費支出と非消費支出を合わせて29万6829円です。

出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説

3. 生活意識では52.1%が「苦しい」、世帯の6割超は単独か夫婦のみ

数字で見た家計の姿に対して、暮らしの実感はどうでしょうか。同じ調査には生活意識の項目もあります。

3.1 「大変苦しい」21.0%、「やや苦しい」31.1%

高齢者世帯の生活意識は、「大変苦しい」が21.0%、「やや苦しい」が31.1%で、合わせて52.1%が「苦しい」と回答しています。「普通」は41.7%、「ややゆとりがある」5.4%と「大変ゆとりがある」0.8%を合わせたゆとりありは6.2%でした。

全世帯では「苦しい」が55.4%ですので、高齢者世帯だけが突出して厳しいというわけではありません。ただし、収入を増やす手段が限られる分、支出の変化を吸収しにくいという違いがあります。

3.2 単独世帯33.8%、夫婦のみ世帯32.0%

65歳以上の方がいる世帯の構造を見ると、単独世帯が33.8%、夫婦のみの世帯が32.0%で、合わせて65.8%を占めます。親と未婚の子のみの世帯は20.1%、三世代世帯は5.8%、その他の世帯は8.3%です。

三世代世帯は1986年には44.8%でしたので、40年でおよそ8分の1まで縮小したことになります。家計を分け合う相手が世帯内にいない暮らしが、いまや多数派です。

中本智恵

大事なのは平均に届いているかどうかではなく、自分の見込額と実際の支出を並べて確認することです。まずはねんきんネットで見込額を出すところから始めてみてください。