厳しい残暑が続くこの時期は、各省庁から来年度の税制改正に向けた要望が提出されるなど、今後の税負担のあり方に関するニュースを目にする機会が増えてきます。

徳田 椋

日々の暮らしの中で、「周りの人は一体どれくらい税金を払っているのだろう」と疑問に思ったことはありませんか。

私は独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)として働き世代の方々から資産形成のご相談をお受けするなかで、「手取りが少なく、税金が重く感じる」というお悩みをよく伺います。

今回は国税庁や博報堂富裕層マーケティングラボの「新富裕層調査2025」調査結果をもとに、日本の所得税収を支える納税者の人数分布や、いわゆる「新富裕層」と呼ばれる人々の独自の経済感覚について、私たちが暮らしに取り入れられるヒントを交えながら解説します。

ココがポイント
  • 日本の所得税を負担している人数の割合と税収バランス
  • 世帯年収3000万円を超える「新富裕層」の4つの消費行動
  • 日常に取り入れられるお金と時間の効率的な使い方のヒント

1. 【税額の88.5%を占める】わずか2割の「所得1000万超」に集中、日本の税負担のリアル

人数分布に続いて注目したいのが、それぞれの層が負担している「税額の割合」です。日本の所得税は、所得が高い人ほど高い税率が適用される累進課税制度(るいしんかぜいせいど)をとっています。これにより、負担のバランスには大きな違いが生じています。

全体の申告納税者数は約516万人、所得金額は51兆2284億円、税額は7兆8539億円ですが、その内訳を見ると、所得階級によって税負担の割合に大きなが違いがあることが分かります。

1.1 所得「200万円以下」の層(一般層)

  • 人数割合:全体の 10.5% を占める
  • 負担税額:全体のわずか 0.2% にとどまる

1.2 所得「1000万円超」の層(高所得層)

  • 人数割合:全体のわずか 20.2% に過ぎない
  • 負担税額:全体のなんと 88.5% を占める

つまり、全体の約2割に過ぎない高所得者層が、国の所得税収の約9割を背負っているという構造が見えてきます。社会全体で見ると、それぞれの環境や収入状況にある人々が、異なる役割を担いながら国を支え合っていることがわかります。

2. 【申告納税者数516万人】最多は「年収300万~500万円」高所得になるほど急減

では、この税収を支える約516万人の納税者たちは、具体的にどのような人数分布になっているのでしょうか。国税庁の詳細な所得階級別のデータを見ると、納税者の大多数は中間的な収入層に集中しており、高所得になるほど人数が急減するピラミッド構造が鮮明になります。

所得階級別申告納税者数の累年比較2/3

所得階級別申告納税者数の累年比較

出所:国税庁「申告所得税標本調査(令和6年分調査)調査結果の概要」

2.1 【大多数】中間層・一般層のボリュームゾーン(1000万円以下が約8割)

  • 「300万円超〜500万円以下」:約140.2万人(全体の27.2%・最多)
  • 「500万円超〜1000万円以下」:約130.7万人(全体の25.3%)
  • 「200万円超〜300万円以下」:約87.1万人(全体の16.9%)
  • 「100万円超〜200万円以下」:約51.0万人(全体の9.9%)
  • 「100万円以下」:約3.0万人(全体の0.6%)

2.2 【少数派】1000万円を超えると人数は急激に絞られる

  • 「1000万円超〜2000万円以下」:約63.3万人(全体の12.3%)
  • 「2000万円超〜5000万円以下」:約31.3万人(全体の6.1%)
  • 「5000万円超〜1億円以下」:約6.1万人(全体の1.2%)
  • 最上位階層の「1億円超」:わずか約3.2万人(全体の0.6%)

最高階層である1億円超の枠はわずか3万人強しかおらず、高所得になるほど人数がごくわずかになるという日本社会の階層構造がリアルに数値化されています。