4. 【元銀行員の視点】窓口で感じた、iDeCoとNISAの選ばれ方の違い
資産運用の窓口に立っていた頃の実感を踏まえて、iDeCoとNISAがどのように選ばれていたかを振り返ります。
NISAは口座開設の手続きが比較的分かりやすいこともあり、老後資金の相談に来られる方の多くがまず検討する制度だったという印象があります。
一方でiDeCoは、掛金が全額所得控除になる仕組みまで理解している方は少なく、60歳まで引き出せないという制約を聞いて検討をやめる方も見られました。
どちらも「年金だけでは心もとない」という声を背景に相談されることが多かった制度ですが、税制の仕組みが違う分、向いている人の状況も変わってきます。
5. 年金の上乗せを考えるなら、iDeCoとNISAどちらを先に検討するとよいか
税制メリットとデメリットを踏まえたうえで、どちらを優先して検討するとよいかの目安を整理します。
今の所得税や住民税の負担を軽くしたいと考えるなら、掛金が全額所得控除になるiDeCoから検討する意味があります。
一方で、当面のライフイベントに備えて資金を動かせる状態を保ちたい場合は、いつでも引き出せるNISAを優先するという考え方もできます。
会社に企業型確定拠出年金がある場合は、iDeCoの掛金の上限が変わることもあるため、勤務先の制度を確認したうえで検討することが望ましいといえます。
なお、iDeCoとNISAは併用もできる制度のため、両方を組み合わせて活用している方も少なくありません。
NISA単体でどれくらい資産が育つのか具体的にイメージしたい方は、こちらの試算記事「【新NISAシミュレーション】月10万円×15年積立+放置で資産はどう化ける?月3万円の少額戦略も公開」も参考になります。
6. 【元銀行員からのアドバイス】判断に迷ったら確認したい3つの視点
どちらを選ぶか迷ったときに、確認しておくとよいと感じる視点を3つ挙げます。
まず、掛金として拠出したお金をいつ使う予定があるのか、引き出せる時期を確認しておくことです。60歳まで動かせないお金と、必要なときに引き出せるお金は性質が違います。
次に、勤務先に企業型確定拠出年金などの制度があるかどうかを確認しておくことです。iDeCoの掛金の上限に影響することがあります。
最後に、無理のない金額から始め、税金の扱いで判断に迷う場合は税務署に、制度の詳細で迷う場合は金融機関の窓口に相談することです。自己判断だけで進めず、専門窓口を頼ることをおすすめします。
7. まずは今の家計と制度を確認することから
iDeCoとNISAは、どちらも年金の上乗せに活用できる制度ですが、税制メリットの中身も、引き出しやすさも異なります。
iDeCoは掛金の所得控除・運用益非課税・受取時控除という三重の税制メリットがある一方、原則60歳まで引き出せません。
NISAは運用益が非課税になる制度で、いつでも引き出せる自由度がある一方、掛金の所得控除という仕組みはありません。
どちらが良い悪いということではなく、ご自身の家計の状況や資金を使いたい時期に合わせて選ぶことが大切です。
判断に迷う場合は、金融機関の窓口や税務署など、専門の相談窓口に確認しながら進めることをおすすめします。
参考資料
- iDeCo公式サイト「iDeCoのメリット」
- iDeCo公式サイト「iDeCoの概要」
- NISA特設ウェブサイト(金融庁)「NISAを知る」
- LIMO「【新NISA】毎月5万円を15年運用するといくら?50歳から始める利回り別シミュレーション 新NISAの基本を解説!おさえておきたい「非課税」のメリット」
- LIMO「【新NISAシミュレーション】月10万円×15年積立+放置で資産はどう化ける?月3万円の少額戦略も公開」
中本 智恵