生活保護と聞くと、「働けない人の生活を支援する制度」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。
しかし、実際の生活保護受給世帯はその半数以上が高齢者世帯であり、「年金のみでは生活が苦しい」という実態が浮かび上がっています。
今回は、生活保護の扶助額例や受給者世帯の構成のほか、単身高齢者世帯のリアルな家計収支についても詳しく解説します。
なお、生活保護制度の概要や受給世帯の内訳に関する詳しい解説は下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
1. この記事を読んだらわかる3つのポイント
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生活保護には8種類の扶助があり、生活扶助額は地域や世帯構成によって変わる -
生活保護受給世帯の55.3%が高齢者世帯で、その大部分が単身世帯 -
65歳以上の単身無職世帯では、毎月約3万円の赤字が平均的
2. 【生活保護】制度の概要と支給額例を紹介
まずは、生活保護制度の基本について確認しておきましょう。
そもそも「生活保護」とは、生活に困窮する人に必要な保護を実施することで、健康で文化的な最低限度の生活を保証するための制度です。
生活保護は世帯単位で行われ、厚生労働大臣が定める最低生活費から収入を差し引いた差額の支給を受けられます。
2.1 生活保護の種類
生活保護の扶助には、以下の8種類があります。
- 生活扶助:日常生活に必要な費用の扶助
- 住宅扶助:賃貸物件の家賃などの扶助
- 教育扶助:義務教育に必要な学用品購入費などの扶助
- 医療扶助:医療サービス費用の扶助
- 介護扶助:介護サービス費用の扶助
- 出産扶助:出産費用の扶助
- 生業扶助:就労のために必要な技能習得などにかかる費用の扶助
- 葬祭扶助:葬祭費用の扶助
2.2 「生活扶助」の支給額例
生活保護のうち、生活費の支援にあたるのは「生活扶助」です。
生活扶助額は、地域や世帯構成などの条件により変動します。
厚生労働省によると、2025年4月1日時点における生活扶助額の例は、以下のとおりです。
〈東京都区部など〉
- 3人世帯(33歳・29歳・4歳):16万4860円
- 高齢者単身世帯(68歳):7万7980円
- 高齢者夫婦世帯(68歳・65歳):12万2460円
- 母子世帯(30歳・4歳・2歳):19万6220円
〈地方郡部など〉
- 3人世帯(33歳・29歳・4歳):14万5870円
- 高齢者単身世帯(68歳):6万8450円
- 高齢者夫婦世帯(68歳・65歳):10万8720円
- 母子世帯(30歳・4歳・2歳):17万4800円
※上記以外に世帯ごとに必要な加算・扶助などを上乗せ
3. 【生活保護】受給世帯の半数以上は「高齢者世帯」
厚生労働省によると、2026年5月時点における生活保護の受給世帯の内訳は、以下のとおりです。
- 被保護者:197万237人
- 被保護世帯数:164万1803世帯
※保護停止中を含む
また、世帯類型別の割合は、以下のように示されています。
被保護世帯数(保護停止中の世帯を除く):163万3375世帯
〈内訳〉
- 高齢者世帯:55.3%
(うち単身世帯:51.7%、2人以上世帯:3.6%)- 高齢者世帯を除く世帯:44.7%
(うち母子世帯:3.4%、障害者・傷病者世帯:25.5%、その他の世帯:15.8%)
生活保護を受給している世帯のうち、半数以上にあたる55.3%が高齢者世帯であることがわかりました。
また、その大部分(受給世帯全体の51.7%)は高齢者の単身世帯となっています。
では、生活保護受給世帯では、なぜ単身高齢者世帯の割合が多いのでしょうか。
次章では、高齢者世帯の所得内訳とあわせて、その理由を解説します。
4. 【生活保護】単身高齢者が多いのはなぜ?
厚生労働省の「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」によると、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち、公的年金・恩給が収入の100%を占める世帯は41.3%です。
つまり、全体の半数以上の高齢者世帯では、年金以外の収入を得て生活していることが読み取れます。
一方で、年齢を重ねると働いて収入を得るのが難しくなるのも事実です。
さらに、単身世帯では生活費を自身の収入のみで用意しなければなりません。
「単身世帯なら夫婦世帯の半分の生活費で済む」と考える人も多いですが、住居費やエアコン使用による電気代などのように、世帯人数にかかわらず発生する費用は数多くあります。
そのため、単身世帯と夫婦世帯を比較すると、一人あたりの負担は単身世帯でより大きくなる傾向があります。
このような背景から、生活保護受給世帯に占める単身高齢者世帯の割合が高くなっていると推察できるでしょう。
次章では、年金生活を送る単身高齢者世帯の実際の家計収支を見ていきましょう。
5. 単身高齢者世帯では「毎月約3万円の赤字」が平均的
総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の無職・単身世帯における平均的な家計収支は、以下のとおりです。
- 実収入:13万1456円(うち年金を主とする社会保障給付:12万212円)
- 実支出:16万1435円(うち生活費にあたる消費支出:14万8445円)
- 差額分(赤字分):2万9980円
上記のデータによると、毎月約3万円の赤字が発生する家計収支が平均的であると示されています。
ただし、これらはあくまでも日常生活費にかかる支出であり、病気や親の介護などで必要となるまとまった費用は含まれていません。
このように、生活保護受給世帯に単身高齢者世帯が多い理由には、「年金だけでは生活できない」という実態があることも挙げられます。
65歳以上の無職夫婦世帯の平均貯蓄額・年金月額・生活費についてはこちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額・年金月額・1カ月の生活費をデータで見る





