6. 監修者コメント:生活保護は「最後の手段」ではなく、知っておくべきセーフティネット

中本 智恵

銀行員時代、住宅ローンや相続のご相談を通じて多くの高齢のお客様の家計を見てきましたが、「持ち家があるから生活保護は受けられないと思う」という話を伺ったことがあります。実際には、資産の種類や活用の可否によって判断が分かれるため、自己判断で対象外だと決めつけず、まずは福祉事務所に相談してみることが大切です。

生活保護の審査では、資産の活用だけでなく扶養義務者からの扶養が可能かどうかも確認されます。ただし、扶養照会(親族への確認)が心理的なハードルになり、申請をためらう方も多いのが実情です。扶養が期待できない事情がある場合は、その旨をきちんと伝えることで、照会の要否を含めて柔軟に対応してもらえるケースもあります。

単身高齢者世帯の毎月約3万円の赤字というデータは、決して他人事ではありません。ご自身や親御さんの老後の家計について、資産の状況や将来の見通しを含めて、元気なうちに家族で一度話し合っておくことをおすすめします。

7. おわりに

生活保護受給世帯の55.3%は高齢者世帯であり、そのうちの実に9割以上が単身高齢者世帯です。

この背景には、高齢により働いて収入を得るのが難しい中で生活費を賄わなければならないことや、年金のみでは毎月約3万円の赤字が出てしまうことなどが挙げられます。

生活保護の受給は、資産・就労能力などの活用可否を考慮したうえで、さまざまな観点から判断されます。

制度を正しく理解して、老後生活について考えるきっかけとしてみてはいかがでしょうか。

※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。

参考資料

池田 夕華