2026年7月24日、総務省は「消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)6月分」を公表しました。生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)は前年同月比1.6%の上昇となり、前月の1.4%から上昇率が拡大しています。

物価の上昇が続くなか、日々の生活費について頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。

今月15日は年金の支給日ですが、老後の生活を支える年金が一体いくらもらえるのか、改めて気になっている方もいらっしゃるかもしれません。

中本 智恵
年金額は現役時代の働き方によって大きく異なります。制度の基本や支給日、平均受給額を確認したうえで、記事の最後には「繰下げ受給」で受給額がどう変わるかも試算してみましょう。

この記事では、日本の公的年金の基本的な仕組みから、国民年金と厚生年金の平均的な受給額、さらには現役時代の働き方に応じたライフコース別のモデル年金額まで、具体的なデータをもとに詳しく解説します。

ご自身の将来の生活設計を考える上で、ひとつの参考にしていただければ幸いです。

なお、公的年金の仕組みや支給日カレンダー、受給額分布に関する詳しい解説は下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。

【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

1. この記事を読むとわかる3つのポイント

  •  公的年金は「国民年金+厚生年金」の2階建て構造で、支給日は偶数月15日
  •  厚生年金・国民年金の受給額は個人差が大きく、加入歴により大きく変わる
  •  繰下げ受給や付加年金を活用すると、将来の受給額を増やせる

2. 日本の公的年金の仕組みはどうなっている?基本の2階建て構造を解説

公的年金は「2階建て構造」だと聞いたことがある人もいるでしょう。

まずは、日本の公的年金制度の基本的な仕組みを確認しておきましょう。これは、日本の年金制度が「1階部分にあたる国民年金(基礎年金)」と「2階部分にあたる厚生年金」から成り立つためです。

2.1 1階部分:国民年金(基礎年金)の概要

  • 加入対象者:原則として日本に住む20歳以上60歳未満の全員
  • 年金保険料:国民年金保険料は全員一律。ただし年度ごとに改定あり(2026年度月額:1万7920円)
  • 受給額:保険料を40年間欠かさず納付すれば満額が受け取れる(2026年度月額:7万608円)

国民年金の加入者は第1号被保険者~第3号被保険者にわかれ、このうち第2号被保険者が後述する厚生年金に加入します。厚生年金保険料を支払う人は、別途国民年金保険料を支払う必要はありません。

また、第3号被保険者も保険料の納付義務がありません。

2.2 2階部分:厚生年金の概要

  • 加入対象者:会社員や公務員、またパートなどで特定適用事業所(※1)に働き一定要件を満たした人が国民年金に上乗せで加入
  • 年金保険料:収入に応じて厚生年金保険料が変わる。ただし上限あり(※2)
  • 受給額:加入期間や納めた保険料により個人差あり

※1 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※2 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される

中本 智恵
「2階建て」という言葉自体は知っていても、自分がどちらの制度からいくら受け取れるのか把握できていない方は多い印象です。会社員・公務員期間があれば厚生年金、それ以外の期間は国民年金として、加入期間に応じた金額が積み上がっていく仕組みだと理解しておくとよいでしょう。

3. 【2026年度版】公的年金の支給日カレンダー

公的年金は、原則として偶数月の15日に支給されます(15日が土日・祝日の場合は、その直前の平日)。年金は後払い方式で、前月までの2カ月分がまとめて支払われるという仕組みです。

2026年度の年金支給日と支給対象月を見てみましょう。

3.1 2026年度の具体的な年金支給日と対象月

  • 2026年4月15日:2026年2月と3月分
  • 2026年6月15日:2026年4月と5月分
  • 2026年8月14日:2026年6月と7月分
  • 2026年10月15日:2026年8月と9月分
  • 2026年12月15日:2026年10月と11月分
  • 2027年2月15日:2026年12月と2027年1月分

例えば2026年10月15日の支給日には、2026年8月と9月分の2ヶ月分が一度に支給されるということです。

給与を月に一度受け取っていた現役時代とは、家計管理のサイクルも変わってくるでしょう。

中本 智恵
年金が2カ月に1回まとめて支給される仕組みは、意外と見落とされがちです。振り込まれた金額をそのまま1カ月分の生活費として使ってしまうと、翌月に資金が足りなくなることがあります。振込額を単純に2で割った金額を「1カ月あたりの目安」として管理することをおすすめします。

4. 厚生年金と国民年金の受給額に見られる個人差とは

老齢年金の受給額は、現役当時の年金加入状況により個人差が生じます。

厚生年金と国民年金の平均月額をみたのちに、受給額ごとの人数も見ることで、その個人差がどれほどかを見ていきましょう。

4.1 厚生年金の平均受給月額と金額別の分布

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

※国民年金の金額を含む

厚生年金の受給額分布(1万円刻み)

  • ~1万円:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上~:1万9283人

月額1万円未満から30万円以上と、幅広い受給額に分布していることがわかります。

4.2 国民年金の平均受給月額と金額別の分布

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

国民年金の受給額分布(1万円刻み)

  • 1万円未満:5万1828人
  • 1万円以上~2万円未満:21万3583人
  • 2万円以上~3万円未満:68万4559人
  • 3万円以上~4万円未満:206万1539人
  • 4万円以上~5万円未満:388万83人
  • 5万円以上~6万円未満:641万228人
  • 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
  • 7万円以上~:299万7738人

国民年金の平均年金月額は全体で5万円台となりました。男性は6万円台、女性は5万円台と、ほんのわずかですが男女差が見られます。

ボリュームゾーンを見ると、多くの人が満額に近い年金額を受け取っていることがわかります。

厚生年金ほどではありませんが、国民年金においても月額1万円未満~7万円以上と個人差がみられます。

年代別(60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上)の平均年金月額についてはこちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
4月分(6月支給分)から年金が増えます!老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら? いまどきシニアの平均月額を整理

中本 智恵
厚生年金の分布を見ると、10万円台後半から20万円前後に一つの山があることがわかります。ご自身の見込額がこのボリュームゾーンより多いか少ないかを確認するだけでも、老後の生活設計を考えるヒントになるはずです。

5. 【ライフコース別】厚生年金・国民年金のモデル年金額

年金には個人差があるからこそ、平均だけでは見えないものがあります。「将来、自分はどのくらいの年金を受け取れるんだろう?」と確認する一歩となるよう、ここではライフコースごとの目安額を紹介します。

厚生労働省が2026年1月23日に公表した「多様なライフコースに応じた年金額の例」から見ていきましょう。

本資料では、年金加入経歴を5つのパターン(男性2パターン、女性3パターン)に分類した年金額の概算が提示されています。

ライフコース別のモデル年金額4/4

ライフコース別のモデル年金額

出典:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」

5.1 モデルケース①:厚生年金加入が中心だった男性の場合

《年金月額》17万6793円

  • 平均厚生年金期間:39.8年
  • 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
  • 基礎年金:6万9951円
  • 厚生年金:10万6842円

5.2 モデルケース②:国民年金加入が中心だった男性の場合

《年金月額》6万3513円

  • 平均厚生年金期間:7.6年
  • 平均収入:36万4000円
  • 基礎年金:4万8896円
  • 厚生年金:1万4617円

5.3 モデルケース③:厚生年金加入が中心だった女性の場合

《年金月額》13万4640円

  • 平均厚生年金期間:33.4年
  • 平均収入:35万6000円
  • 基礎年金:7万1881円
  • 厚生年金:6万2759円

5.4 モデルケース④:国民年金加入が中心だった女性の場合

《年金月額》6万1771円

  • 平均厚生年金期間:6.5年
  • 平均収入:25万1000円
  • 基礎年金:5万3119円
  • 厚生年金:8652円

5.5 モデルケース⑤:第3号被保険者期間が中心だった女性の場合

《年金月額》7万8249円

  • 平均厚生年金期間:6.7年
  • 平均収入:26万3000円
  • 基礎年金:6万9016円
  • 厚生年金:9234円

厚生年金の加入期間や現役時代の平均収入によって、年金月額は大きく変動します。

特に、現役時代に国民年金と厚生年金のどちらを中心に加入していたかによって、老後の受給額は大きく変わることが見て取れます。

中本 智恵
モデルケース①と②を比べると、厚生年金期間の長さだけで月額11万円以上の差が生まれています。特に第3号被保険者期間が中心だった方(モデルケース⑤)は、ご自身名義の年金だけで生活していくのが難しい水準になりやすいため、配偶者の年金や貯蓄とあわせた世帯単位での資金計画が欠かせません。

6. 【独自シミュレーション】年金の「繰下げ受給」で受給額はどう変わる?

年金は、本来65歳から受け取り始めますが、受給開始のタイミングを66歳から75歳の間で遅らせる「繰下げ受給」を選ぶこともできます。

繰下げ受給を選択すると、1カ月遅らせるごとに年金額が0.7%ずつ増額され、その増額率は生涯変わりません。

先ほど紹介した「モデルケース①:厚生年金加入が中心だった男性」の年金月額17万6793円を例に、繰下げ受給で受給額がどう変わるかを試算してみましょう。

中本 智恵
繰下げ受給は「増額率の大きさ」だけに注目されがちですが、実際に大切なのは、繰り下げている間の生活費をどう賄うかという点です。試算結果とあわせて、ご自身の資産状況もふまえて検討してみてください。
  • 66歳0カ月まで繰下げ(12カ月・増額率8.4%):月額約19万1596円
  • 70歳0カ月まで繰下げ(60カ月・増額率42.0%):月額約25万1046円
  • 75歳0カ月まで繰下げ(120カ月・増額率84.0%):月額約32万5299円

65歳で受け取り始める場合と比べると、75歳まで繰り下げた場合は月額で約14万8000円、年間では約178万円もの差が生まれる計算です。

ただし、繰下げ受給には注意点もあります。繰り下げている期間は年金を受け取れないため、その間の生活費を貯蓄や就労収入でどう確保するかを事前に考えておく必要があります。また、加給年金や振替加算など、繰下げによって受け取れなくなる、あるいは増額の対象にならない給付もあるため、自分のケースに当てはまるかどうかを事前に確認しておくと安心です。