赤ちゃんが生まれたら、まず何から手続きを始めればいいのか、戸惑う人は多いと思います。マイナンバーカードは大人になってから作るものというイメージを持っている人にとっては意外かもしれませんが、実は出生届の提出と同時に、新生児のマイナンバーカードを申請できる仕組みが用意されています。

この記事では、個人番号カード総合サイトなどの公的な案内にもとづき、新生児のマイナンバーカードの申請方法と、マイナ保険証としての利用登録までの流れを整理します。

1. 「出生届」と「マイナンバーカード交付申請」は同時にできる

子どもが生まれたときの最初の手続きは、戸籍法にもとづく出生届の提出です。多くの人はこの出生届の手続きだけを意識しがちですが、実はこの届出とあわせて、新生児のマイナンバーカードの交付を申請できる仕組みが整えられています。

個人番号カード総合サイトの案内によれば、マイナンバーカードと健康保険証の一体化などにより、出生後速やかにマイナンバーカードを交付するため、新生児の顔写真なしのマイナンバーカードを出生届の提出にあわせて申請できるようになっています。「出生届を出したら終わり」ではなく、「出生届のついでにマイナンバーカードの申請もできる」という発想の転換が、この制度の本質です。

2. 独自要素の核心:新生児のカードは「顔写真なし」で申請できる

通常のマイナンバーカードには顔写真が必要ですが、新生児は顔の変化が大きく、写真を用意すること自体が難しい場合があります。そこで、出生届と同時に申請する新生児のマイナンバーカードについては、顔写真なしでの申請が認められています。

申請方法は、「出生届兼マイナンバーカード交付申請書」という様式を使います。この様式は市区町村の窓口で入手するか、印刷して用意し、法定代理人(親権者)が設定を希望する暗証番号、マイナンバーカードの送付先とその理由、連絡先を記入して提出します。提出は郵送でも可能とされています。

2.1 【新生児のマイナンバーカード申請の基本】

  • 申請様式:個人番号カード交付申請書(手書き用交付申請書など、自治体の指示や様式による)を使います
  • 顔写真:不要です(顔写真なしで申請できます)
  • 申請者:法定代理人(親権者)が申請します
  • 提出方法:窓口持参のほか郵送も可能です
  • 交付までの目安:申請書が受理されてから原則1週間程度です(住所地以外の窓口に提出した場合はさらに日数がかかります)

「出生届を出しに行くだけでも大変なのに、同時に何か申請するなんて」と身構える人もいますが、様式が一体化されているため、実際の手間はそれほど増えません。

3. カードが届いたら——マイナ保険証としての利用登録

マイナンバーカードが手元に届いたら、次に必要になるのが、健康保険証としての利用登録です。子どものマイナンバーカードでマイナ保険証を使うには、マイナポータルでカードを読み取って登録するほか、医療機関・薬局に設置されているカードリーダーや、セブン銀行ATMからも登録できるとされています。

マイナンバーカードを受け取っただけでは、自動的にマイナ保険証として使えるようになるわけではありません。この「利用登録」という一手間を忘れると、せっかくカードを取得しても、医療機関の受付でマイナ保険証として使えず戸惑うことになります。

マイナ保険証の登録手順や仕組み全般については、【マイナ保険証】65歳〜74歳の利用率が高い!メリット・登録方法・資格確認書を解説でも扱っているので、大人の家族と一緒に手続きの流れを確認しておくと理解が深まります。

3.1 【マイナ保険証の利用登録ができる方法】

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マイナ保険証の利用登録ができる方法

出所:マイナポータル「出産」ガイドを基に編集部作成

  • マイナポータル:スマートフォン等でカードを読み取って登録します
  • 医療機関・薬局のカードリーダー:受診時にその場で登録できます
  • セブン銀行ATM:外出先でも登録手続きができます

4. 出生届兼マイナンバーカード交付申請書に書く内容

出生届兼マイナンバーカード交付申請書には、通常の出生届の記入項目に加えて、マイナンバーカードの交付を希望するかどうかのチェック欄、法定代理人が設定を希望する暗証番号、カードの送付先住所などを記入する欄が設けられています。

送付先は、出生届を提出した市区町村の窓口で受け取る方法のほか、自宅など指定した住所に郵送してもらう方法も選べるとされています。里帰り出産などで、出生届を提出した自治体と実際に住んでいる場所が異なる場合は、送付先の指定方法について窓口で確認しておくと、受け取りの手間を減らせます。

5. マイナンバーカードを申請しなかった場合はどうなるか

出生届兼マイナンバーカード交付申請書を使わずに、通常の出生届だけを提出することも、もちろん可能です。この場合、子どものマイナンバー自体は住民票の記載を通じて付番されますが、マイナンバーカード(ICカード)の交付は別途申請しない限り行われません。

後になってマイナンバーカードが必要になった場合は、通常の交付申請の手続きを行うことになります。出生届と同時に申請しておけば、この後からの申請という手間を省略できる、という点が、同時申請の実務上のメリットです。

6. マイナ保険証の登録を急ぐべきかどうかの判断基準

マイナ保険証の利用登録は必須ではなく、資格確認書などの代替手段でも医療機関を受診できます。そのため、「必ずすぐに登録しなければならない」というものではありません。ただし、乳幼児健診や予防接種など、生後まもない時期は医療機関にかかる機会が多いため、早めに登録を済ませておくと、受診のたびに資格確認の方法を気にする必要がなくなります。

きょうだいがいる家庭で、上の子がすでにマイナ保険証を利用している場合は、同じ医療機関・薬局を利用する際の手続きに慣れている分、下の子の登録もスムーズに進められることが多いでしょう。

7. 健康保険の被扶養者の届出も別途必要

マイナンバーカードとマイナ保険証の登録を済ませても、それだけで健康保険の適用対象になるわけではありません。両親が会社員などで健康保険に加入している場合、生まれた子どもを扶養に入れるための「被扶養者の届出」を、勤務先を通じて別途行う必要があります。

この届出には、子どものマイナンバーを記載する欄があることが一般的です。マイナンバーカードの交付を待ってから届け出るケースもあります。

本記事は、編集部が個人番号カード総合サイト・マイナポータルの公表資料を確認したうえで、新生児のマイナンバーカード申請からマイナ保険証の利用登録までの流れを整理しています。個別の手続きの詳細は、住民登録のある市区町村・勤務先への確認が前提です。

8. マイナンバーカードを受け取るまでの間に受診が必要になったら

新生児は生後まもなく健診や予防接種、体調不良時の受診など、医療機関にかかる機会が多くあります。マイナンバーカードの交付・利用登録が完了するまでの間に受診が必要になった場合は、資格確認書や、加入している医療保険者から交付される資格情報の書類など、代替の方法で受診できることが一般的です。

マイナ保険証の利用登録を持っていない人向けに用意されている「資格確認書」の仕組みについては、【マイナ保険証・持っていない人】「資格確認書」は届いた?有効期限はどれくらい?国民健康保険・協会けんぽ・後期高齢者医療制度でも扱っているので、あわせて確認してください。

9. マイナポイントなど、子ども名義の給付・ポイント施策との関係

過去には、マイナンバーカードを新規取得した人向けにポイントを付与する「マイナポイント」施策が実施され、子ども名義のカードも対象になっていました。こうした施策は実施期間が限定されているため、出産のタイミングによっては対象になる場合とならない場合があります。

子ども名義のマイナンバーカードに関連する給付やポイント施策は、その時々の制度によって内容が変わるため、「前に聞いた話」をそのまま当てはめず、出生時点での最新の案内を市区町村やデジタル庁の公表資料で確認することが確実です。

10. マイナンバーカードと母子健康手帳の関係

母子健康手帳は、妊娠の届出をした際に交付される、母子の健康状態を記録するための手帳で、マイナンバーカードとは別の制度にもとづくものです。一部の自治体では、母子健康手帳の情報の一部をマイナポータル経由で閲覧できる取り組みも進められていますが、これはマイナンバーカードの交付そのものとは別の仕組みです。

母子健康手帳とマイナンバーカードは、それぞれ別の目的で使われる別々の制度だと理解しておくと、「マイナンバーカードがあれば母子健康手帳は不要になるのでは」といった誤解を避けられます。

11. 子どものマイナンバーカードの保管方法

子どものマイナンバーカードは、本人ではなく保護者が管理することになります。きょうだいがいる家庭では、誰のカードか分かるように保管場所を工夫しておくと、必要なときにすぐに取り出せます。

マイナ保険証として頻繁に持ち出す機会がある場合は、紛失のリスクも考慮し、普段の保管場所と持ち出し用のケースを分けておくといった工夫も有効です。紛失した場合の対応(一時停止の連絡や再交付の手続き)は、大人のカードと基本的に同じ流れになります。

12. きょうだいがいる場合の手続きの考え方

すでに上の子どものマイナンバーカードやマイナ保険証の登録を済ませている家庭では、新しく生まれた子どもについても、基本的には同じ流れ(出生届と同時の申請、カード受け取り後の利用登録、被扶養者届出)を繰り返すことになります。上の子のときの手続きの記憶を頼りに進められる分、心理的なハードルは下がりやすいといえます。

一方で、上の子が生まれた当時と今とでは、申請様式や利用登録の方法が変わっている可能性があります。「前回と同じ流れだろう」と思い込んで進めると、実際には手続きが一部変更されていて戸惑う、ということも起こりえます。上の子のときの記憶はあくまで大まかな流れの参考にとどめ、細部は都度確認する姿勢を持っておくとよいでしょう。

一方で、制度の細部(申請様式や利用登録の方法など)は年々アップデートされることがあるため、「前回と同じだろう」と思い込まず、最新の案内を市区町村やマイナポータルで確認しておくと安心です。

13. 子どものマイナンバーカードにまつわる注意点

子どものマイナンバーカードは、大人のカードと同様に、有効期限が設定されています。未成年者のカードは、大人よりも有効期限が短く設定されているのが一般的です。成長にともなって顔つきが変わることを踏まえた運用のため、更新の案内が来た際は忘れずに手続きを行う必要があります。

また、子どもの暗証番号は、法定代理人が本人に代わって設定・管理することになります。子ども自身が暗証番号を覚えるのが難しい年齢のうちは、家庭内でどのように管理するか(誰がどこに控えを保管するかなど)をあらかじめ決めておくと、後々の手続きで困りにくくなります。

子どもが成長し、自分で暗証番号を管理できる年齢になった時点で、あらためて本人と一緒に確認しておくと、将来的な手続き(進学時の本人確認書類としての利用など)もスムーズになります。

成長にともなって顔つきが変わることを考えると、写真付きのカードへの切り替えや、更新のタイミングでの再設定など、節目節目で手続きが発生することを見越しておくと、突然の案内にも慌てずに対応できます。

14. 離婚・別居など家庭の事情がある場合の手続き

両親が離婚している、あるいは別居しているなど、家庭の事情によって法定代理人が誰になるかが分かりにくいケースもあります。マイナンバーカードの申請・管理は、原則として親権を持つ法定代理人が行うことになりますが、個別の事情がある場合は、住民登録のある市区町村の窓口に相談することで、必要な手続きの進め方を案内してもらえます。

「うちの家庭は事情が特殊だから手続きできないのでは」と自己判断で諦めず、まずは窓口に状況を伝えることが、適切な手続きを進めるための第一歩になります。

15. 転居・氏名変更があった場合の子どものカードの扱い

子どものマイナンバーカードも、大人のカードと同様に、住所変更や氏名変更があった場合は、継続利用手続きや記載事項の変更手続きが必要になります。特に、他の市区町村への引っ越しにともなう継続利用手続きには期限が設けられているため、家族全員分の手続きを一度に済ませる際は、子どもの分を忘れずに含めることが重要です。

家族で引っ越しをする際は、大人の分の手続きだけに気を取られず、子ども名義のマイナンバーカードについても同様の手続きが必要かどうかを、窓口であわせて確認しておくとよいでしょう。

16. まとめ

  • 新生児のマイナンバーカードは、出生届の提出と同時に、顔写真なしで申請できます
  • カードが届いたら、マイナポータルや医療機関のカードリーダー等でマイナ保険証としての利用登録が必要です
  • 健康保険の被扶養者の届出は、マイナンバーカードの手続きとは別に、勤務先を通じて行う必要があります
  • 手続きが完了するまでの受診には、資格確認書などの代替手段が用意されています

「マイナンバーカードは大人になってから作るもの」というイメージとは裏腹に、出生届と同時に申請できる仕組みが用意されています。出産直後の慌ただしい時期だからこそ、この「同時にできる」という制度の特徴を知っておくと、手続きの手間を最小限に抑えられます。

出生届を提出する際は、あわせてマイナンバーカードの交付申請も検討し、カードが届いた後の利用登録・被扶養者届出まで、一連の流れとして進めていくとよいでしょう。

出産前後は他にも多くの手続き(出産育児一時金の申請、児童手当の申請、健康保険の加入手続きなど)が重なる時期です。マイナンバーカードの申請だけを単独で考えるのではなく、出生届の提出時にまとめて確認できることは何かを、事前に自治体のホームページなどでリストアップしておくと、一つひとつ別々に窓口へ足を運ぶ手間を減らせます。

手続きが多く感じられるときこそ、「出生届と同時にできること」から着手するのが効率的です。マイナンバーカードの交付申請はその代表例であり、まず済ませておけば、後々のマイナ保険証の利用登録や被扶養者届出もスムーズに進められます。

初めての出産では特に、どの手続きから手をつければよいか分からず不安になりがちですが、一つひとつの制度は独立していても、窓口での動線を工夫すれば負担は大きく減らせます。一つずつ着実に済ませていくことが、結果的に一番の近道です。

17. よくある質問

17.1 Q. 新生児のマイナンバーカードはいつ申請できますか。

A. 出生届の提出とあわせて、出生届兼マイナンバーカード交付申請書を使って申請できます。

17.2 Q. 新生児のカードにも顔写真が必要ですか。

A. 不要です。出生届と同時に申請する新生児のマイナンバーカードは、顔写真なしで申請できます。

17.3 Q. カードはどのくらいで届きますか。

A. 申請書が受理されてから原則1週間程度が目安とされています。

17.4 Q. カードが届けば自動的にマイナ保険証として使えますか。

A. いいえ。マイナポータルや医療機関のカードリーダー、セブン銀行ATMなどで、別途利用登録の手続きが必要です。

17.5 Q. 健康保険の扶養に入れる手続きも必要ですか。

A. はい。マイナンバーカードの手続きとは別に、勤務先を通じて健康保険の被扶養者の届出を行う必要があります。

17.6 Q. カードが届く前に受診が必要になったらどうすればいいですか。

A. 資格確認書や、医療保険者から交付される資格情報の書類など、代替の方法で受診できることが一般的です。

17.7 Q. 子どものカードにも有効期限はありますか。

A. あります。未成年者のカードは、成長による顔つきの変化を踏まえ、大人よりも短い有効期限が設定されています。

17.8 Q. 送付先はどこを指定できますか。

A. 出生届を提出した窓口で受け取る方法のほか、自宅など指定した住所に郵送してもらう方法も選べます。里帰り出産などの場合は、送付先の指定方法を窓口で確認しておくとよいでしょう。

17.9 Q. 離婚・別居している場合、誰が手続きをすればいいですか。

A. 原則として親権を持つ法定代理人が手続きを行います。個別の事情がある場合は、住民登録のある市区町村の窓口に相談すると、必要な進め方を案内してもらえます。

17.10 Q. 引っ越しをした場合、子どものカードにも手続きが必要ですか。

A. 必要です。他の市区町村への引っ越しでは、大人と同様に継続利用手続きに期限があるため、家族全員分の手続きの中に子どもの分も忘れずに含めてください。

17.11 Q. 母子健康手帳があればマイナンバーカードは不要ですか。

A. いいえ。母子健康手帳とマイナンバーカードは別の制度にもとづくもので、目的も異なります。マイナ保険証として使うには、母子健康手帳とは別にマイナンバーカードの取得・登録が必要です。

17.12 Q. 上の子のときと同じ手続きだと思って進めても問題ありませんか。

A. 大まかな流れは同じですが、申請様式や利用登録の方法が変わっている場合があります。前回の記憶だけに頼らず、最新の案内を確認しながら進めることをおすすめします。

参考資料

齊藤 慧