2026年9月1日(火曜日)から、日本年金機構は令和8年度分の「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」を、新たに対象となる可能性のある人へ順次送り始めます。

この制度は消費税率の引き上げに合わせて2019年10月に始まった仕組みで、公的年金等の収入が少ない高齢者や、障害・遺族の年金受給者を支える目的があります。

「金額はどうやって決まるのだろう」と、緑色の封筒を手にして首をかしげる方もいるかもしれません。

厚労省月報(令和8年3月分)によると、老齢年金生活者支援給付金の1人あたり平均給付額は月4249円です。

一方で計算式をたどっていくと、同じ制度から月1万円を超える受給者が生まれる構造も見えてきます。

この記事では、日本年金機構が公表する令和8年度の基準額に沿って、"平均"と"月1万円超"の差がどこから生まれるのかを、独自シミュレーション3ケースで解剖しました。

1. 年金生活者支援給付金とは?9月から届く「みどり色の封筒」

老齢年金生活者支援給付金は、老齢基礎年金の受給者で、前年の公的年金等の収入とその他の所得の合計が一定の所得基準(昭和31年4月2日以後生まれの場合は年80万9000円以下)を満たす人などに支給される給付金です。

日本年金機構によると、令和8年度の月額基準は5620円になっています。ただしこの金額は「基準」であって、実際の受給額は保険料の納付状況によって一人ひとり異なる仕組みです。

1.1 厚労省月報が示す「平均月4249円」の現在地

厚生労働省が公表している「厚生年金保険・国民年金事業月報(令和8年3月分)」を確認すると、老齢年金生活者支援給付金の認定件数は438万4472件、給付金総額(月額)は186億2900万円でした。

そこから逆算した1人あたりの平均給付金額は月4249円です。この数字は令和7年度の月額基準5450円で計算・支給された金額です(※令和8年度は基準が5620円に引き上げられました)。

平均が基準額どおりになっていないのは、加入期間の途中に保険料の未納や免除期間がある受給者が含まれているためと考えられます。

2. 老齢年金生活者支援給付金の給付額を決める「2つの計算式」

老齢年金生活者支援給付金の給付額は、「保険料納付済期間分」と「保険料免除期間分」の2つを合計して決まる設計です。なお、補足的老齢年金生活者支援給付金や、障害・遺族の年金生活者支援給付金は計算式が異なるため、この記事では老齢分のみを扱います。

日本年金機構の公表資料によれば、令和8年度の計算式は次のとおりです。

  • 保険料納付済期間分:5620円 × 納付済月数 ÷ 480
  • 保険料免除期間分(全額・4分の3・半額免除):1万1768円 × 免除月数 ÷ 480

同じ1カ月でも、免除期間の月額単価は納付済期間の約2倍になっています。ここが、次で見る独自シミュレーションで差を生む決定的なポイントです。

老齢年金生活者支援給付金の計算式1/2

老齢年金生活者支援給付金の計算式

出所:LIMO編集部作成

3. 独自シミュレーション!3ケースで見る老齢年金生活者支援給付金の受給額

日本年金機構が公表している令和8年度の基準額に沿って、3つのモデルケースで受給額を独自試算しました。実在の人物ではなく、あくまで制度を理解するための組み合わせとしてご覧ください。

3.1 ケース① 40年ずっと保険料を納めた人

20歳から60歳までの480月を保険料納付済期間で埋めて、免除期間ゼロで老後を迎えた例です。

計算式に当てはめると、5620円 × 480 ÷ 480 で月5620円になりました。まさに基準額どおりで、ここが老齢分の受給額の上限に近い水準になります。

3.2 ケース② 納付10年・全額免除30年の人

自営業や短時間労働の期間が長く、所得の低さから全額免除を長く受けてきた場合を想定した例です。

納付済120月・全額免除360月として計算すると、納付部分は5620円 × 120 ÷ 480 で1405円、免除部分は1万1768円 × 360 ÷ 480 で8826円になりました。合計すると月1万231円になり、基準額の5620円を大きく上回る結果です。

免除は「損」というイメージを持たれがちですが、老齢年金生活者支援給付金だけを切り出して見ると、押し上げ要因として働くのです。

3.3 ケース③ 納付25年・全額免除2年の"平均像"

平均月4249円に近い組み合わせを探すと、納付300月・全額免除24月のあたりに落ち着きます。

令和8年度基準で試算すると、納付部分3513円と免除部分588円で合計月4101円になりました。冒頭で紹介した令和7年度末時点の平均給付額とほぼ重なる水準です。

老齢年金生活者支援給付金をシミュレーション2/2

老齢年金生活者支援給付金をシミュレーション

出所:LIMO編集部作成