2. シニア向けの給付金・支援制度

国からの現金給付の施策はなくても、既存の支援制度を活用することで、給付金や補助金を受けたり、経済的な負担を軽減したりすることは可能です。

シニア世代が利用できる主な制度の、対象者や要件などを把握しておきましょう。

2.1 高年齢雇用継続給付

高年齢雇用継続給付とは、60歳〜65歳未満の雇用保険被保険者が、60歳以降も継続雇用され、賃金が60歳到達時点に比べて75%未満に低下した場合に、給付金が支払われる制度です。

支給要件

  • 60歳以上65歳未満の一般被保険者である
  • 被保険者であった期間が5年以上(※)ある
    (※)被保険者期間が5年以上ない場合は5年を満たすことになった日から

支給額
支給額は、以下の計算式で求めます。
高年齢雇用継続給付金=賃金×「賃金の低下率に応じた支給率」

支給率は賃金の低下率により異なり、低下率が64%以下になると最高の10%が適用されます。

2.2 高年齢再就職給付金

高年齢再就職給付金は、失業手当(基本手当)を受給してから再就職した方を対象とする給付金です。

基本手当を受給した後、60歳以後に再就職して、再就職先の賃金月額が基本手当の基準となった賃金日額の30日分の額の75%未満になった場合に、再就職先の賃金月額の15%を限度として支給されます。

支給要件

  • 60歳以上65歳未満の一般被保険者である
  • 基本手当の算定基礎期間が5年以上ある
  • 再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上ある
  • 1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる
  • 同一の就職について、再就職手当の支給を受けていない

2.3 高額介護合算療養費

高額医療・高額介護合算療養費制度とは、医療保険と介護保険の利用者負担額(自己負担額)が高額になった場合に、その超えた分が「高額介護合算療養費」として支給される制度です。

対象期間

8月1日~翌年7月31日までの1年間

支給要件
1年間の自己負担合算額が、年齢や所得に応じて設定された自己負担限度額を超えている場合

2.4 年金生活者支援給付金

年金生活者支援給付金とは、年金収入やその他所得の合計が一定基準額以下の方に、年金に上乗せして支給される給付金です。

年金を含めた収入が低い世帯の生活向上を目的とした給付金で、支給対象者には日本年金機構から案内書類が送付されます。

2.5 自治体独自の給付・優待制度

先にも触れたように、自治体によっては独自の給付や優待制度を設けているところがあります。

具体的な給付・優待制度として以下のものが挙げられます。

東京都:東京都シルバーパス
満70歳以上の都民であれば、都営交通や都内の民営路線バスなどを定額で利用できる制度です。

千葉県八千代市:高齢者向けタクシー券
市内に居住する要支援・要介護、事業対象者(住民税非課税)を対象に、介護度に応じたタクシー利用権が交付されます。

世田谷区:救急通報システム「愛のペンダント」
高齢者やひとり暮らしの方が、自宅で急病やけがなどで助けを必要とする際に、ペンダント型のボタンを押すと、救急車や警備会社の現場派遣員等にかけつけてもらえる制度です。

さいたま市:重度要介護高齢者紙おむつ等支給事業
市内に居住する65歳以上の高齢者で常時おむつを使用している場合、月に1度、紙おむつや尿取りパッドなどの支給を受けられます。

木内 菜穂子

ご紹介したように、国や自治体によってさまざまな支援が行われています。しかし、年金生活者支援給付金など(返送が必要な場合もある請求書を除き)を除き、多くの制度は自身で申請手続きを取る必要があります。

自治体の制度の有無や詳細については、各担当窓口に問い合わせましょう。受給もれのないように、最新の情報も忘れずにチェックしましょう。

高年齢雇用継続給付や高年齢再就職給付金のように、要件を満たせば自動的にもらえるわけではない制度がほとんどです。特に会社を退職した後にもらえる給付は、ハローワークでの手続きが必要になるケースが多いので、退職前に一度確認しておくと手続きがスムーズです。一律の現金給付が無い年だからこそ、こうした対象を絞った制度を漏れなく使うことが、家計にとっての実質的な支えになります。

3. おわりに

2026年度は国からの現金給付は行われない予定ですが、既存の制度を活用すれば給付金や補助金が受けられたり、経済的な負担を軽減できたりします。

ただし、制度の多くは自動的に振り込まれるのではなく、自ら申請手続きを取る必要があります。

各制度の対象者や支給要件を確認し、申請方法に従って忘れずに手続きを取りましょう。

参考資料

木内 菜穂子