INPEX(1605)の株価は19日、前日比40円安(▲1.03%)の3,860円で取引を終えました。前日終値3,900円からの小反落です。金利上昇やイラン情勢の再燃による原油高を追い風に堅調な推移が続いていましたが、この日はさすがに一服した形です。

背景にあるのは、東京市場全体を襲った急落です。前日18日の米半導体株安が波及し、キオクシアホールディングスやアドバンテストなどAI・半導体関連株が軒並み売られ、日経平均株価は前日比2,134円31銭安(▲3.16%)の6万5,326円42銭と大幅続落。韓国の総合株価指数(KOSPI)も5.8%下落するなど、アジア株全体に売りが広がりました。

東証33業種のうち上昇したのは医薬品・海運業の2業種のみでしたが、資源・エネルギー関連のINPEXも、市場平均に比べれば下げ幅を▲1.03%に抑えています。

同社の株価がこのところ堅調に推移していた背景には、7日に発表した決算があります。2026年12月期中間決算では、最終利益が前年同期比17.7%増の2,631億円となり、通期の純利益予想も5,100億円(前期比29.5%増)に上方修正されました。同時に、年間配当を108円から112円に増額修正したほか、上限1,400億円の自己株式取得(発行済株式総数の4.3%、取得期間は8月10日〜12月31日)も決定しています。

記事後半では年間チャートの動きもチェックしていきます。

ココがポイント
  • 東京株式市場・アジア市場が総崩れのなか、小幅の反落にとどまる
  • 中間決算は純利益17.7%増、通期業績予想も上方修正
  • 増配・上限1,400億円の自己株式取得で強まる株主還元姿勢

1. 中間決算は原油価格上昇と法人所得税の減少で純利益が17.7%増に

INPEXが7日に発表した2026年12月期第2四半期(中間期)決算のポイントは以下の通りです。

  • 売上収益:1兆4億9,500万円(前年同期比4.6%減)
  • 営業利益:6,187億1,300万円(同0.3%増)
  • 税引前中間利益:6,443億4,600万円(同0.1%減)
  • 最終利益(親会社の所有者に帰属する中間利益):2,631億4,700万円(同17.7%増)

売上収益が減少した主な要因は、原油の販売数量が前年同期比22.8%減の5,517万バレルにとどまったことです。もっとも、海外原油の平均販売価格は1バレル79.51米ドルと前年同期比8.2%上昇したほか、為替も1米ドル158円37銭と前年同期比6.7%の円安に振れたため、数量減少による目減り分の一部を打ち消しています。

一方、最終的な中間利益が2ケタ増となった要因は、法人所得税費用が前年同期比10.7%減の3,597億円にとどまったことが大きく寄与しています。税引前の段階ではほぼ前年並みだった利益が、税負担の軽減を経て最終利益では大幅な増益に転じた格好です。

2. 事業の柱は3つ、原油高の恩恵を最も受けたのはイクシスプロジェクト

同社の事業はセグメント別に大きく3つに分かれます。国内で原油・天然ガスを生産する「国内O&G」、豪州の大型LNG開発である「イクシスプロジェクト」、それ以外の海外権益をまとめた「その他プロジェクト」です。

このうち、原油価格上昇の恩恵を最も色濃く受けたのがイクシスプロジェクトです。売上収益は前年同期比17.5%増の2,158億円、最終利益は同24.5%増の1,730億円と、いずれも大きく伸びました。同社の利益の柱であるイクシスが、原油高局面でその強みを最も発揮したセグメントといえます。

一方、その他プロジェクトは原油販売数量の減少により売上収益が同12.0%減の6,592億円となったものの、法人所得税費用の減少などにより中間利益は同7.8%増の778億円を確保しています。国内O&Gは天然ガス販売数量の増加で売上収益こそ同6.4%増の1,126億円となりましたが、売上原価の増加などにより中間利益は同54.4%減の78億円にとどまりました。

ここまでを整理すると、INPEXの2026年12月期中間決算は、原油販売数量の減少という逆風のなかでも、原油価格の上昇と円安、法人所得税費用の減少が重なって最終利益は前年同期比17.7%増と大幅な増益になりました。事業の柱であるイクシスプロジェクトが原油高の恩恵を最も受け、利益をけん引しています。同社はこの好調な業績見通しを踏まえ、通期の業績予想を上方修正するとともに、増配と自己株式取得という2つの株主還元策を同時に打ち出しました。

通期業績予想の上方修正の中身と、増配・自己株式取得という株主還元強化の詳細、そして最新の終値をもとにした株価のバリュエーション評価を解説します。