2.3 ③育休取得者の増加

育休取得者の増加による財源確保も、雇用保険の改正理由の一つでしょう。

近年、育休は男性の取得率が上昇しています。厚生労働省の「令和4年雇用均等基本調査」によれば、令和4年度の男性の育休取得率は17.13%で、前年から3.16ポイントの上昇。5年前と比較すると男性の育休取得率は約3倍程度まで増えており、より多くの人が育児と仕事の両立を目指そうとしています。

育休取得者が増えれば、育児休業給付の金額も増加します。現在、育児休業給付として支給されているものは、以下の2つです。

  • 出生時育児休業給付金: 以下の場合に支給される。
    ・雇用保険の被保険者である
    ・子の出生日から8週間経過した日の翌日までに、4週間(28日)以内の期間を定めて、子を養育するための産後パパ育休(出生時育児休業)を取得する
    ・就業日数などの諸要件を満たす
  • 育児休業給付金: 以下の場合に支給される。
    ・雇用保険の被保険者である
    ・1歳未満の子を養育するために、育児休業を取得する
    ・就業日数などの諸要件を満たす

育休取得をはじめとした諸要件を満たせば支給されるため、多くの人が給付を受けられる可能性があります。

しかし、支給対象者が増えれば、現在の水準のまま給付し続けるためには財源の確保が必須です。

よって、今回の雇用保険改正で国庫負担や保険料の引き上げ措置を行ったと考えられます。

保険料の引き上げは、ともすれば「ステルス増税」と揶揄されかねません。

しかし、今回の改正では保険料率を財政状況に応じて柔軟に決定することとしています。

また、国庫負担の割合が80分の1から8分の1と10倍になっているため、急激な保険料負担の増加は考えにくいものとなっています。