1.5 〈育児休業給付の国庫負担割合引き上げ〉(施行日:公布日)

  • 国庫負担割合を現行の1/80から本則の1/8に引き上げる

1.6 〈育児休業給付の保険料調整の仕組み導入〉(施行日:2025年4月1日)

  • 今後の保険財政の悪化に備えて、令和7年度からは0.5%に引き上げる改正を行う。ただし、当面は現行の保険料率0.4%に据え置き、保険財政の状況に応じて弾力的に調整する仕組みを導入する。

特に大きな変化があったのは、雇用保険の適用拡大と、基本手当の給付制限の取り扱いです。

雇用保険は、2028年10月1日から被保険者の要件の一つである「1週間の所定労働時間」の下限を「20時間以上」から「10時間以上」に変更します。

これにより、パートなど非正規雇用者が雇用保険の加入対象となり、育児休業給付などを受けられるようになります。

また、2025年4月1日からは離職時に受け取れる基本手当の給付制限期間が緩和されます。

現在、自己都合で退職した場合の基本手当の給付制限期間は原則2ヶ月です。しかし、2025年4月からは制限期間が原則1ヶ月に短縮されます。

また、離職中や離職1年前のうちに教育訓練を受けた場合は、給付制限期間なく基本手当を受給できるようになります。

このほか、教育訓練給付の拡充や育児休業給付の財政運営に関する措置、就業促進手当の見直しなどが予定されています。

今回の雇用保険法の改正は、2024年3月30日の法成立以来約2年半ぶりです。

直近10年間では今回が5回目の改正となりました。なぜ雇用保険法はこれだけの頻度で改正されているのでしょうか。理由について、次章で解説します。

2. 雇用保険がなぜ改正されるのか

国が雇用保険法を定期的に改正している理由としては、主に以下の理由が考えられます。

  1. 働き方の多様化への対応
  2. リスキリングによる労働者の転職支援
  3. 育休取得者の増加

雇用保険は、私たち労働者の雇用の安定や雇用機会の増大、労働者の福祉の増進など、雇用に関するさまざまな支援を補償する公的保険です。

しかし、時代に合わせた補償が受けられないと、加入する意義が見出せません。

雇用保険の改正で国がどのような社会のあり方を目指しているのか、あらためて考えてみましょう。