2.1 ①働き方の多様化への対応

雇用保険の改正理由として、多様な働き方へ対応した補償内容を目指すことが考えられます。

現在は正社員として働くだけでなく、パートタイムで働いたり育休取得後に社会復帰したりとさまざまな働き方が生まれています。

なかには、休職してスキルアップを目指したり、一度他社やフリーランスを経験してから会社員として復帰したりする人もいるようです。

雇用保険には、そうした多様な働き方をする労働者を常に保護し、失業リスクを低減・分散する役割を果たさなければなりません。

働く機会が増えても十分な補償がなければ、失業時の生活は不安定になり、労働自体がリスキーな行為になってしまいます。

今回の改正による雇用保険の適用拡大で、より多くのパート労働者が雇用保険に加入することが予想されます。

国は雇用保険の適用拡大によって、多くの労働者に失業リスクに備えてもらい、安定した雇用を実現しようとしているのです。

2.2 ②リスキリングによる労働者の転職支援

雇用保険の改正理由として「リスキリングによるキャリアアップ支援」も考えられます。なかでも注目されているのが、教育訓練です。

厚生労働省の「令和4年度能力開発基本調査」によれば、調査対象者2万581人のうち教育訓練を受講した人は、全体の33.3%にとどまりました。

一方、受講者の感想としては「役に立った」「どちらかというと役に立った」という肯定的な意見が93.5%を占めました。

教育訓練はまだ多くの人に知られておらず受講者は決して多くありません。

しかし、受講者の満足度の高さから、有用性は証明されているといえます。

マネジメント能力や課題解決スキル、高度な専門知識を養えば、個人の転職も含めたキャリアアップを実現できる可能性が高まります。

キャリアアップのきっかけとして労働者に教育訓練を活用してもらうため、国は教育訓練給付の拡充を考えたといえるでしょう。