また、女性は専業主婦をモデルとして国民年金の水準を参考にしていると思うが、これからの時代を考えれば、女性も仕事を続けている世帯も更に多くなると思う。女性も厚生年金に加入しているケースであれば、報酬次第であるが男性と同じような年金水準になってもおかしくはない。
やはりフローとストックで考えよう
ここまで見てきたように、金融(ファイナンス)はどこまでいっても、フローとストックで考える必要がある。企業の決算書も損益計算書やキャッシュフロー計算書というフローと、貸借対照表というストックからなる。どちらか一つを掘り下げても、それは不十分というものである。
金融庁レポートの「老後2000万円問題」は一部の表現だけを取り上げられて大きな騒ぎとなったが、これらのフローとストックをさらに絡ませて議論できていればここまで大きな騒ぎになっていなかったのではないかと思う。
お金に関する多くの公開情報を羅列し、一部のフローに注目し、数字にしたがために注目されることとなったというのがオチではないだろうか。
もっとも、老後2000万円問題として報道されることで誰が幸せになったかは定かではないが、まずは確認すべきは退職金の水準や不動産価値、そして将来の年金水準ではないだろうか。もっとも、年金も今後大きくその給付タイミングや水準も変わっていくであろうが。
参考記事
- 「厚生年金や国民年金をみんな、いくらもらっているのか」
- 「「老後2000万円」問題で見落とされている?絶対に知っておきたい3点」
- 「60歳代の貯蓄額はどのくらい?ゆとりある老後への2つの方法」
- 「60代の貯蓄額の平均はどのくらいか」
- 「女性向け無料マネーセミナーで失敗しない方法!おすすめセミナーの選び方」
泉田 良輔
執筆者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役、株式会社モニクルフィナンシャル取締役も務める。東京工業大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2024年8月27日