2019年も12月となり今年もはや年末という印象である。2019年にお金の話で大きな話題となった出来事としては、「老後2000万円問題」ともいわれる金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」レポートではないだろうか。今回は老後2000万円問題について改めて十分留意する必要がある点について見ていこう。

老後2000万円問題とは何か

同レポートの「夫 65 歳以上、妻 60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ 20~30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で 1,300 万円~2,000 万円になる」が老後に向けて準備すべき資金として2000万円が大きく取り上げられたことになった。

もっとも、この文言の後に「この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる」としてあり、必ずしも全員がこの金額が必要だといっていることではないという点には留意したい。

統計学をかじったものであればすぐわかると思うが「平均」というのは曲者で、全体を表しているようでサンプル次第では平均像の印象は大きくゆがんでしまう。

「老後に2000万円の貯蓄が必要だ」といわれれば、少なからず多くの人が「そんな金額を準備できるのか」と頭を悩ますことになるであろう。今回のレポートは「平均像」であることには注意をしながらも、今回の「老後2000万円問題」について注意しておかなければならない点について見ていこう。

老後2000万円の算出根拠

2000万円の算出根拠はどのようなものであろうか。

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