もっとも、これもサンプル数が4056件の平均値である。毎月に必要な金額が大きい順に言えば、50万円以上と答えた比率が13.5%、45-50万円未満が3.1%、40-45万円未満が11.0%というように、40万円以上必要と答えた比率が27.6%もおり、ざっくり3割が月に必要な支出は40万以上と答えている。

「ゆとりある老後」をどのように定義するかは人それぞれであるが、仮に生命保険文化センターの調査によるゆとりある老後生活費の平均値である35万円と先に見たレポートの毎月の実収入の21万円をもとに単純計算をすれば、毎月の不足額は14万円となる。

毎月14万円が不足する場合では年間の不足額は168万円となり、ゆとりある老後が20年続くとすると準備が必要な生活資金は3360万円となる。また、ゆとりある老後が30年と想定する場合に5040万円となる。

もっとも、老後の何年間が健康でいられるか、いわゆる健康寿命という問題もあり、老後のすべての時間がゆとりある老後ということでは片づけることはできない。ただ、ライフスタイルや健康状態は人それぞれで、全員が一様にいくらいくら必要という話にはならない。しかし、老後は趣味に時間を使いという人がいるのであれば、老後の生活資金として2000万円では不足するという認識はあってもよいであろう。

介護費用はどうするのか

老後2000万円問題で見落とされている最大の問題点が介護費用や老人ホーム関連費用についてではないであろうか。