ただ、現実的には、多くの世帯では、定年後に退職金があるであろうし、それまでに居住用不動産を保有している世帯も多いであろう。
現実的に知るぽるとの調査では60歳代では8割以上の世帯が持ち家となっている。老後2000万円問題を語るにあたって、ストックの概念が大きく欠落しているのである。
ただ、金融庁レポートでも全く無視しているというわけではない。
平均退職給付の過去からの金額の推移についても言及している。
その退職金についても、1997年から見えると2017年までの水準は年々減少傾向にあるが、そうはいっても大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で1997万円と2000万円近くあることになっている。
また、高校卒では、2000万円はかけてはいるものの、1500万円以上はある状況となっており、すべての人がゼロから2000万円を用意しないといけない、ということでは必ずしもないであろう。
仮に定年までに住宅ローンを返済している世帯があるとすれば、その世帯は退職金はそのまま運用しながら老後資金にあてることができるわけである。先ほど大卒以上の退職給付の平均金額がほぼ2000万円であることに触れたが、その世帯には2000万円があることになる。
麻生太郎財務大臣も怒った金融庁レポート
今回の金融庁レポートに関して、麻生太郎財務大臣がメディアに対してえらく怒っていたシーンを見た方も多いかと思う。