4. 中間管理職の賃金「中央値」はいくらか

ここからが本題です。同じ令和7年調査には、役職ごとに金額の階級で人数を並べ、あわせて分布の特性を示す数値を載せた表があります。そのなかに中位数、つまり中央値があります。

役職別にみた男性の平均と中央値(2025年6月・所定内給与額)1/2

役職別にみた男性の平均と中央値(2025年6月・所定内給与額)

出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」役職第1表・役職別第3表(政府統計の総合窓口e-Stat)をもとにLIMO編集部作成

中央値は、低いほうから数えてちょうど半分目に当たる方の金額です。男性の課長級は50万3400円でした。平均の54万1400円より3万8000円低いところにあります。

これは課長級だけの話ではありません。部長級は平均64万2400円に対して中央値58万8200円、係長級は平均41万900円に対して38万2900円、役職に就いていない方は平均33万2100円に対して30万600円。4つの区分すべてで、中央値のほうが低くなっています。

平均と中央値の開きは、部長級が5万4200円、課長級が3万8000円、非役職者が3万1500円、係長級が2万8000円です。役職が上のほうで開きが大きくなりますが、係長級と非役職者では順番が入れ替わります。上から下へ順に小さくなる形にはなっていません。

開きが生まれるのは、金額の高いほうに人が長く伸びているからです。上のほうにいる少数の方が平均を押し上げ、真ん中はそれより下に残ります。だから、平均と自分を比べて下だと感じたとしても、それは全体の下半分にいることと同じ意味ではありません。

このように平均だけでなく、金額を細かく見ることで実態がわかるでしょう。その上でキャリアは検討したいものです。

5. いちばん多いのは45万円台、40万円未満は20.84%

階級ごとの人数を見ると、山の位置が分かります。

課長級の男性は、いくらのところに何割いるか(2025年6月・所定内給与額)2/2

課長級の男性は、いくらのところに何割いるか(2025年6月・所定内給与額)

出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」役職別第3表(政府統計の総合窓口e-Stat)をもとにLIMO編集部作成

いちばん人数が多いのは45万円以上50万円未満で、21万6460人。課長級の男性の14.53%がここにいます。

低いほうから積み上げると、40万円未満が20.84%、45万円未満が34.58%、50万円未満が49.11%でした。平均は54万1400円ですが、半分近くの方は50万円に届いていません。40万円未満だけで20.84%、4.8人に1人にあたります。反対に上を見ると、60万円以上が29.16%です。

散らばりの大きさは、分布の特性を示す数値でもう少しはっきりします。低いほうから10分の1番目に当たる方は34万7600円、4分の1番目が41万5800円。上から4分の1番目が62万5600円、10分の1番目が77万7600円でした。

ここで目にとまるのが、4分の1番目の41万5800円です。係長級の男性の平均41万900円と、ほとんど同じ金額になります。課長級のうち下から4分の1にあたる方々は、係長級の平均と変わらない水準にいることになります。

女性の課長級も同じ形です。平均47万300円に対して中央値は42万8500円で、低いほうから10分の1番目は28万8800円、上から10分の1番目は69万9900円でした。

6. 50歳代前半がいちばん多い

年齢の区分で見ると、課長級の男性の中でも金額が動きます。

25歳から29歳が42万300円、30歳から34歳が47万円、35歳から39歳が52万3000円、40歳から44歳が54万7900円。ここでいったん下がり45歳から49歳は54万5800円になります。そこから50歳から54歳が55万300円、55歳から59歳が55万6000円と上がり、60歳から64歳では47万3200円まで下がります。

いちばん高いのは55歳から59歳の55万6000円で、いちばん人数が多いのは50歳から54歳の39万3530人でした。次に多いのが45歳から49歳の34万7070人です。課長級の男性は、40歳代後半から50歳代前半に集まっています。

並びが一方向でないことは、そのまま読んでおきたいところです。40歳から44歳と45歳から49歳のあいだで2100円下がっており、年齢とともに増え続ける形にはなっていません。この統計は同じ時点で各年齢を横に並べたものなので、1人の方がこの順番をたどるという意味でもありません。

7. 自分がどのあたりにいるかを確かめる手順

ここまでの数字と自分を比べるなら、そろえるものが3つあります。

1つ目は、月です。この調査は6月分を調べています。手元にある6月分の給与明細を出して、支給の欄から残業や休日出勤にあたる分を除いた金額を見てください。基本給と役職手当などを足したところが、所定内給与額に近い金額になります。賞与が入っている月の明細ではなく、6月分を使うのがそろえ方です。

2つ目は、賞与です。年間賞与その他特別給与額と比べるなら、前の1年に受け取った賞与を合計します。夏と冬の2回であれば、その2回ぶんです。

3つ目は、比べる相手です。平均54万1400円と自分を比べると、半分近くの方が下に来る物差しで自分を測ることになります。中央値50万3400円、下から4分の1の41万5800円、上から4分の1の62万5600円を並べて、そのどこに入るかで見てください。全体の中の位置は、こちらのほうが実際にわかりやすいでしょう。

役職手当の金額や昇格の要件は、勤め先の賃金規程や就業規則に書かれています。手元で確かめられないときは、勤め先の人事や労務の担当部署に聞いてみるのも一つでしょう。

8. 元証券会社社員の執筆者コメント

宮野 茉莉子

。今回は中間管理職、その中でも特に課長に視点をあてて賃金や年収の平均と中央値をみてきました。
そもそも役職は希望する・しないに個人差がありますし、適性などもあります。マネジメントに進むか、スペシャリストに進むかは収入だけではないでしょう。役職に就くかどうかも、ご家庭の事情やそのときの会社の状況などにより、それぞれです。ただ、収入は生活を支えるものでもありますから、キャリアを考えるときの一つの参考にしてみてください。
平均賃金なども、紐解いてみると印象が変わったという方もいると思います。収入的なところがわかれば、その他の働きやすさや適性、自身のやりがいや希望なども含めて、進むべき道をかんがえてみてください。

参考資料

宮野 茉莉子