「管理職になっても、思ったほど楽にならない」「管理職は罰ゲームでは?」ー現代日本ではそのように管理職をとらえられやすくなっています。

2026年7月、日本経営協会が公表した調査では中間管理職のおよそ9割が、管理職でありながら現場の実務も担う「プレイングマネージャー」という結果になりました。「年収は高くても、時間や心に余裕がない」そんなイメージが管理職にはつきやすいところはあるでしょう。

一方で、同調査によれば、管理職としての仕事に充実感が「十分ある」は9.3%、「それなりにある」は61.2%であり、合計で充実があると答えた人は約7割にのぼります。

宮野 茉莉子
役職が上がれば収入は増えるとわかっているけど、管理職は罰ゲームといわれるし、実際に上司をみると希望するのは気が引けてしまう…。そうして中には希望があるものの、どうしたらいいのかわからないとキャリアに悩んでしまう方も多いかもしれませんね。

まずは、部長・課長・係長が実際にいくら受け取っているのか、賃金と年収を一覧で確認していきましょう。その上で同調査の結果もみながらキャリアを考えて見ましょう。

1. 中間管理職はいくらもらっている?「年収一覧表」で部長と課長、係長の年収を見る

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の役職別データから、中間管理職の賃金と年収をみていきます。

1.1 部長・課長・係長の平均賃金一覧表(月額の所定内給与)

所定内給与とは、6月分のきまって支給する給与から残業代などを除いた、税引き前の金額です。男女計・男女別の平均は次のとおりです。

  • 部長:男女計 63万5800円(男性 64万2400円/女性 57万8300円)
  • 課長:男女計 52万9200円(男性 54万1400円/女性 47万300円)
  • 係長:男女計 39万9200円(男性 41万900円/女性 36万5700円)
  • 非役職者:男女計 31万500円(男性 33万2100円/女性 28万100円)、

1.2 部長・課長・係長の平均年収一覧表(賞与を年4か月分と仮定・男女計)

月額の賃金に、賞与を年4か月分と仮定して加えた年収の目安は次のとおりです。

  • 部長:約1017万円
  • 課長:約847万円
  • 係長:約639万円
  • 非役職者:約497万円

比較のために全体像もみておきましょう。国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」(2025年9月公表)の平均給与は478万円で、中間管理職の年収はこれを上回ります。

月額でみると、部長の賃金は非役職者のおよそ2.05倍、課長は約1.7倍、係長は約1.29倍です。数字だけをみれば、役職に就くことは「割に合う」ようにも思えます。ところが、その裏側には別の現実があります。

2. マネジメントにさける時間の最多は民間企業等が4~6割で36.3%、行政・自治体は7~9割が35.0%

一般社団法人日本経営協会が2026年7月に公表した「第8回 日本のミドルマネジャー意識調査」(部下を持つ課長〜部長級539名・2025年10〜11月)によると、プレイヤーとして自分の実務も兼ねている人は86.8%にのぼりました。およそ9割が「プレイングマネージャー」で、マネジメントに専念できているのは13.2%だけです。

マネージャーに割ける時間をみると、最多は民間企業等が4~6割で36.3%、行政・自治体は7~9割が35.0%でした。

業務負担をみると51.0%が「増えた」と回答し、最大の悩みは「部署の人材不足」で50.3%。人が足りず、自分も現場を回さざるを得ない。そんな姿が浮かびます。

一方で、仕事に充実感が「十分ある」「それなりにある」と答えた人は合わせて70.5%。管理職は罰ゲームとは言われるものの、充実感を感じている人もいます。よく言われる言葉には踊らされず、自身の適性や希望とじっくり向き合うことが大切です。

一方で、これからも管理職として働き続けるために必要なこととして、もっとも多く挙げられたのは「生活(プライベート)の安定」(39.9%)となっており、業務内容は引き続き検討が必要な状況となっています。管理職は罰ゲームといわれる状態を防ぐには、組織構造やDXを活用した効率化などの変化が必要でしょう。