3. この試算をどこまで信じるか

数字の前提を確認しておきましょう。LIMOの記事「持ち家と賃貸、老後資金の損益分岐点はどこにある?65歳以降でシミュレーション」から要点を引用します。

この試算は、持ち家(マンション)と賃貸を同じような住まいの広さで比べた場合の目安です。持ち家が戸建てであれば修繕費の目安そのものが公的には存在せず、実際の工事費によって数字は変わります。

出所:LIMO「持ち家と賃貸、老後資金の損益分岐点はどこにある?65歳以降でシミュレーション」

戸建ての場合は、この試算をそのまま当てはめられません。専門家に点検を依頼して、修繕の周期と費用のおおよそを把握したうえで、比較をやり直す必要があります。

マンションであれば、管理組合が保管している長期修繕計画を見ると、より実態に近い数字が出ます。固定資産税は納税通知書の額に置き換えてください。

4. 持ち家が優れているという話ではない

65歳以降だけで見れば持ち家のコストが軽くなりやすい、というのがここまでの結論です。ただしこれは、住宅ローンを完済したあとの維持費だけを比べた結果にすぎません。

すでに賃貸で長く暮らしてきた人が、過去に買わなかったことを悔やむ必要はありません。これから先の家賃をどう用意するかに集中すれば十分です。

5. ローンが老後まで残っている場合

ここまでは完済している前提でした。40歳代以降に購入した場合、完済時期が70歳代にかかることもあります。

住宅金融支援機構は、民間金融機関と提携して満60歳以上を対象とした「リ・バース60」という制度を用意しています。毎月の支払いを利息のみにして、借入人が亡くなったときに住宅の売却などで一括返済する仕組みです。満50歳以上満60歳未満でも使えますが、融資限度額が変わります。

制度の条件や金利、対象となる住宅は取扱金融機関によって異なります。まずは現在の残債と完済予定年齢を確認し、借りている金融機関に返済計画を相談してみてください。返済期間の見直しや借り換えという選択肢もあります。

6. まとめにかえて

損益分岐点が40年から50年という試算は、30歳代・40歳代で購入した時点から計算したものです。65歳の時点では、すでに分岐点を過ぎているケースが多くあります。

これから先のコストだけで比べると、持ち家(マンション)は賃貸より月3万8089円軽く、老後全体で男性約900万円・女性約1121万円の差になります。

戸建ての場合は目安となる公的資料がありません。自分の固定資産税の納税通知書と実際の家賃を使って、この試算を置き換えてみてください。

参考資料

LIMO編集部貯蓄解説班