3. 高齢者向け住宅と家賃減額制度

UR賃貸住宅には、高齢者や低所得世帯の居住の安定を図るため、室内設備のバリアフリー化や家賃減額支援をおこなう住宅タイプが複数用意されています。

3.1 健康寿命サポート住宅は、家賃が最大20%減額される

健康寿命サポート住宅は、転倒防止に配慮した手すりの設置や段差解消などの住宅改修がおこなわれた住宅です。申込本人が満60歳以上などの要件があり、世帯所得月額が48万7000円を超える場合は申し込めません。世帯所得月額が15万8000円以下であれば、家賃から20%減額(減額上限2万5000円)されます。実際の支払額には下限が定められているため、部屋により減額率が20%未満になったり、減額の対象外になったりする場合があります。減額期間は、住宅の改良が終了したときから20年間で、入居者の居住年数ではなく住宅ごとに期限が設定されます。

UR賃貸住宅の高齢者向け制度、入居要件と家賃減額の比較2/2

UR賃貸住宅の高齢者向け制度、入居要件と家賃減額の比較

出所:UR都市機構「高齢者向け賃貸住宅」をもとにLIMO編集部作成

3.2 高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)は、緊急通報サービスの加入が必須

「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づく高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)は、床段差の緩和や手すりの設置に加えて、所得に応じた家賃負担軽減措置が講じられている住宅です。高優賃には「高優賃A」と「高優賃B」の2種類があり、このうち高優賃Bのみ、世帯所得月額が48万7000円を超えるとお申込みできません。家賃減額の要件は共通で、世帯全員の所得月額の合計が15万8000円以下の場合に、所得や住宅条件に応じた負担軽減措置が適用されます。減額期間は原則として住宅の改良終了から20年間ですが、減額期間終了時に住んでいる高齢者については、所定の要件を満たすことで、退去するまでの間、家賃減額を継続できる特例措置があります。なお、高優賃への入居にあたっては、緊急時に提携事業者へ通報する「緊急時対応サービス」(有料、NTT等の固定電話回線が必要)への加入が必須となる点にも注意しておきましょう。

和田 直子

「健康寿命サポート住宅」は、家賃が最大20%減額される具体的な数字が示されている一方、「高優賃」は所得に応じた負担軽減という形で、住宅ごとに実際の金額が変わります。また、高優賃は緊急時対応サービスへの加入が必須で毎月の費用もかかるため、家賃だけでなく、こうした付帯費用も含めて総額で比較することをおすすめします。

4. 入居後も安心、相談できる窓口がある

UR賃貸住宅には、入居後の暮らしを支える仕組みも用意されています。

4.1 「高齢者等相談員」は、社会福祉士やケアマネジャーが対応する

UR都市機構は、高齢者の方が安心して住まいを選べるよう、専門の相談窓口を設置しています。社会福祉士やケアマネジャー等の有資格者(シニアアドバイザー)等が配置されており、高齢者世帯を支援する制度の案内や、公営住宅・行政の福祉窓口の案内なども受け付けています。利用は事前予約制で、最寄りの相談窓口に電話で予約します。

4.2 見守りサービスや住宅変更のあっせんもある

住戸内に設置したセンサー等が一定時間反応しない場合に、あらかじめ登録した連絡先へ通報する見守りサービス(民間事業者が提供)の案内もおこなわれています。また、階段の昇降が難しくなった場合は、同じ団地内で1階やエレベーター停止階への住宅変更をあっせんする制度もあります。

5. まとめ

UR賃貸住宅は、保証人が不要で、年金などの収入も申し込みの平均月収額に算入できるため、年金暮らしの世帯でも住み替えを検討しやすい選択肢です。収入が基準月収額に満たない場合も、貯蓄基準(家賃の100倍)、家賃の一時払い制度、60歳以上向けの収入の特例(親族の連帯責任の確約が必要)という3つの救済策が用意されています。「健康寿命サポート住宅」では世帯所得月額15万8000円以下で家賃が最大20%(上限2万5000円、20年間)減額されるほか、「高優賃」は緊急通報サービスへの加入が必須になるなど、住宅タイプごとに条件が異なります。住み替えを考えている方は、まずご自身の年金額や世帯の状況が、どの制度に当てはまるかを確認してみることをおすすめします。

参考資料

和田 直子