給付付き税額控除という言葉を目にする機会が増えました。ただ、そもそも税額控除が何を指すのかは、あまり知られていません。
よく似た言葉に所得控除があります。名前は近いのですが、税金の計算で使う場所がまったく違います。
この記事では、国税庁の説明をもとに所得控除と税額控除の違いを確認し、そこに給付を組み合わせる給付付き税額控除がどう位置づけられているかを見ていきます。
- 所得控除は「所得から」、税額控除は「計算後の税額から」差し引く
- 所得控除は16種類。最低生活費の保障などの趣旨で設けられている
- 政府は給付付き税額控除を「改革の本丸」、飲食料品の消費税率をその「つなぎ」と位置づけている
1. 給付付き税額控除の「税額控除」は所得税額から差し引く
まず、税額控除そのものを確認します。
1.1 税金を計算したあとに引くもの
国税庁によると、税額控除とは「課税所得金額に税率を乗じて算出した所得税額から、一定の金額を控除するもの」です。
所得税をいったん計算し、そのうえで税額から直接差し引きます。配当控除や外国税額控除、住宅借入金等特別控除などが挙げられています。
1.2 住宅ローン控除もこの仲間
住宅借入金等特別控除は、いわゆる住宅ローン控除のことです。年末調整や確定申告で税額が減った経験がある方は、税額控除をすでに使っていることになります。
2. 給付付き税額控除と所得控除は差し引く場所が違う
次に、混同されやすい所得控除と並べます。
2.1 所得控除は所得から差し引く
国税庁は、各種所得の金額の合計額から各種所得控除の額の合計額を差し引き、その残りの金額を基礎として所得税額が計算されると説明しています。
つまり所得控除は、税金を計算する前の段階で引くものです。税額控除は計算したあとの税額から引きます。同じ「控除」でも、引く場所が違います。
2.2 所得控除は16種類ある
雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、特定親族特別控除、基礎控除の16種類です。
国税庁によると、これらは社会政策上の要請によるもの、各納税者の個人的事情への考慮や最低生活費を保障するためのものとして、税負担面での調整を行う趣旨から設けられています。
控除という言葉がひとまとめに使われがちですが、引く場所が違えば効き方も変わります。ここを分けて理解しておくと、これから出てくる説明が読みやすくなります。
