2026年8月5日、政府は「『給付付き税額控除』の制度導入の基本方針」を閣議決定しました。
本格導入は令和11年度で、それまでの2年間はつなぎの措置がとられます。令和9年4月1日から2年間、軽減税率の対象となっている飲食料品に係る消費税率を1%とし、あわせて令和9年度から給付を先行導入するという内容です。
給付という言葉は目にするものの、自分が対象になるのかどうかは分かりにくいと感じている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、基本方針で示された対象者の考え方と給付の仕組み、そしてスケジュールを確認していきます。
- 2026年8月5日に「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針が閣議決定され、本格導入は令和11年度とされた
- 対象は個人単位で単身者も含み、一定の勤労性の所得があり、一定の税・社会保険料の負担がある人
- つなぎの措置として令和9年4月1日から2年間は飲食料品に係る消費税率が1%になり、令和9年度から給付が先行導入される
1. 給付付き税額控除の基本方針が閣議決定。本格導入は令和11年度
まず、今回決まった内容の全体像を確認します。
政府は、社会保障国民会議が令和8年7月29日にまとめた中間とりまとめを踏まえ、令和8年8月5日に基本方針を閣議決定しました。
1.1 制度の目的は手取りの増加と「働き控え」の緩和
基本方針は、中低所得の現役勤労者に着目した2つの目的を挙げています。
1つは、負担の軽減を通じて、所得に応じてこれまでよりも一層手取りが増えるようにすることです。
もう1つは、いわゆる「年収の壁」などによる「働き控え」を緩和することを通じた就労促進です。
税と社会保険料の負担、そして現金給付を総合的にとらえ、純負担率を調整する新たな制度と位置づけられています。
1.2 今回の制度は「給付付き税額控除」の第一歩と位置づけられた
制度には、別の呼び名が用意されています。
基本方針では、これまでの経済対策などにおける一律の金額での給付とは異なり、「所得に連動したきめ細かな給付」を毎年度継続的に行う新たな制度であることが分かりやすく伝わるよう、実態に即した制度の名称とすることに努めるとされています。
あわせて、今回導入を目指す仕組みは本格的な「給付付き税額控除」を導入する第一歩であり、制度の将来像については継続して検討を行うとも書かれています。
2. 給付付き税額控除の対象になるのはどんな人?
次に、対象者の考え方を見ていきます。
2.1 個人単位で、単身者も対象
就労インセンティブの向上や「年収の壁」への対応という観点から、給付は個人単位で行われます。
世帯単位ではないため、単身者も対象に含まれます。
ただし公平性の観点から、高所得の配偶者がいる場合には一定の例外が設けられることになっています。
2.2 勤労性の所得には事業所得・給与所得・業務に係る雑所得が含まれる
対象になるのは、一定の勤労性の所得があり、一定の税・社会保険料の負担がある人です。
勤労性の所得には、事業所得と給与所得に加えて、近年の多様な働き方を踏まえて業務に係る雑所得も含まれます。個人事業者やフリーランスも対象です。
事業所得と業務に係る雑所得については、就労とみなせるような一定額以上の場合に含めることとされています。
また、就労していて、税・社会保険料の負担から年金の受取額を差し引いた純負担が現役並みである中低所得の高齢者も対象になります。
2.3 給付額は逓増・定額・逓減の3段階
給付額の決まり方にも特徴があります。
原則として所得に応じた給付額となり、就労促進の観点から、勤労性の所得が一定の水準に達するまでは給付額が逓増します。
その後は定額となり、総所得が一定額を超えると、公平性の観点から総所得に応じて逓減し、やがて消失します。
18歳以下のこどもを扶養している場合は、人数に応じた加算が行われます。「年収の壁」による手取りの減少を踏まえた時限的な加算も設けられることになっています。
なお、非課税ラインを下回る所得の把握には執行上の課題があるため、この範囲は定額とされました。
基本方針で示された対象者の条件と給付の考え方です。給付額と対象ラインはまだ決まっていません1/2
出所:内閣官房「『給付付き税額控除』の制度導入の基本方針」(令和8年8月5日閣議決定)をもとにLIMO編集部作成
3. 給付付き税額控除までのつなぎ。令和9年4月から飲食料品の消費税率が1%に
本格導入までの2年間には、経過措置が用意されています。
3.1 令和9年4月1日から2年間の消費税率引下げ
足下の物価高に対してできる限り早期に対応する観点から、令和9年4月1日から2年間、軽減税率の対象となっている飲食料品に係る消費税率が1%とされます。
仕入税額控除の還付が受けられない農業従事者などについては、現場の納得感のある対応を検討するとされています。
外食産業を含めた影響についても、資金繰り支援などのための予算措置が検討されます。
3.2 令和9年度に先行導入される給付は本格導入と中身が違う
あわせて、飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲内で、令和9年度に給付が先行導入されます。
先行導入では、現時点で公的機関が保有する所得情報を活用します。本格導入時に行われる、配偶者の所得を勘案する一定の例外措置は設けられません。
こどもの加算も、18歳以下ではなく15歳以下の人数に応じたものになります。
これらの取組により、全体として飲食料品に係る消費税の実質ゼロ化を実現するとされています。
閣議決定から本格導入までの流れです。令和9年度と令和11年度で給付の中身が変わります2/2
出所:内閣官房「『給付付き税額控除』の制度導入の基本方針」(令和8年8月5日閣議決定)をもとにLIMO編集部作成
