年金暮らしになったら、賃貸の住み替えは難しいと思っていないでしょうか。実はUR都市機構が運営する「UR賃貸住宅」は、保証人が不要なうえ、年金などの収入も申し込みの審査に使える仕組みが整っています。
収入が基準に届かない場合の救済策や、60歳以上を対象にした家賃減額制度もあり、知っているかどうかで住み替えの選択肢が大きく変わってきます。
この記事では、UR都市機構の公式情報をもとに、収入基準の仕組み、基準を満たせない場合の対処法、高齢者向けの住宅タイプと家賃減額制度を整理していきます。
- UR賃貸住宅の申し込み審査に使う「平均月収額」には年金等の雑所得も含まれ、家賃額に応じた「基準月収額」以上であることが条件になる
- 収入が基準に満たなくても、貯蓄基準(家賃の100倍)や家賃の一時払い制度、60歳以上向けの収入の特例など複数の救済策がある
- 「健康寿命サポート住宅」は世帯所得月額15万8000円以下で家賃が最大20%(上限2万5000円、改良終了から20年間)減額される
1. 年金収入や貯蓄で申し込める「収入基準」の仕組み
UR賃貸住宅を申し込む際は、申込者本人の「平均月収額」が定められた「基準月収額」以上であることが基本的な条件です。
1.1 年金収入も「平均月収額」として計算できる
UR都市機構によると、審査の基準となる平均月収額には、給与収入や事業所得だけでなく、雑所得(年金等)も含まれます。将来も継続して受け取れると認められ、課税対象かつ証明できるものであれば、年金受給額も月収として合算・計算できるということです。
1.2 基準月収額は、家賃額と申込形態によって変わる
基準月収額は、単身者・世帯のいずれで申し込むかや、希望する住宅の家賃額によって、下の表のように定められています。
たとえば単身者で家賃5万円の住戸なら、基準月収額はその4倍の20万円です。世帯で家賃6万円の住戸なら、基準月収額は4倍の24万円になります。
民間の賃貸住宅では、年金収入だけだと保証会社の審査に通りにくかったり、連帯保証人を求められたりすることが少なくありません。UR賃貸住宅は保証人が不要なうえ、年金収入も申し込みの平均月収額に算入できるため、住み替えのハードルが下がりやすい点は知っておく価値があると思います。
2. 収入基準を満たせない場合の3つの救済策
年金額だけでは基準月収額に届かない場合でも、UR賃貸住宅には複数の選択肢が用意されています。
2.1 貯蓄基準制度:家賃の100倍の貯蓄があれば申し込める
申込者本人の貯蓄額が、基準貯蓄額(月額家賃の100倍)以上あれば、収入要件を満たしていなくても、それに代えて申し込むことができます。たとえば家賃6万円の住宅であれば、600万円の貯蓄があれば対象になります。
2.2 家賃等の一時払い制度:収入・貯蓄の要件を問わず、家賃も割り引かれる
1年から10年の範囲(1年単位)で、一定期間の家賃・共益費をまとめて前払いする制度です。この制度を利用する場合、収入や貯蓄の要件は問われません。前払い期間に応じてUR都市機構が定める割引率により、家賃等が割り引かれます。
2.3 60歳以上向けの「収入基準の特例」:親族の収入・貯蓄で補える
申込日現在で満60歳以上の高齢者(障がい者・父子母子世帯・満18歳以上の学生も同様)は、収入が基準月収額の2分の1に満たない場合でも、申し込みができる特例があります。申込者を扶養する親族の平均収入額が基準月収額以上、または貯蓄額が基準貯蓄額以上あることが条件です。ただし、この特例を利用する場合は、扶養する親族が家賃等の支払について申込者本人と連帯して履行の責任を負うことを確約する必要がある点には注意が必要です。
「保証人不要」といっても、60歳以上向けの収入特例を使う場合は、親族に連帯責任を確約してもらう必要があります。実質的には親族に一定の負担をお願いする形になるため、この特例を使うかどうかは、事前に家族としっかり相談しておくことをおすすめします。
