2026年度の年金額は前年度から国民年金(基礎年金)は1.9%、厚生年金は2.0%の増額と、4年度連続でのプラス改定となりました。私はFPとして家計相談をお受けするなかで、「将来、年金だけで生活できるのか不安」という声を数多く耳にします。
将来への備えは、まず「いまの制度」と「自分の現状」を正しく知ることからスタートするのが何よりの近道です。今回は、最新のデータをもとに、厚生年金の受給額の目安や、今日から始められる老後の準備について確認していきましょう。
- 2026年度の公的年金額の改定内容と基本的な仕組み
- 厚生年金を「月額15万円以上」受け取っている人の割合
- 公的年金だけで暮らす高齢者世帯の実態と老後への備え方
1. 厚生年金「月額15万円以上」割合
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の男女全体の平均月額は「15万289円」です。なお、この金額には1階部分の国民年金(老齢基礎年金)の月額部分が含まれています。
受給額ごとの人数分布は以下のとおりです。
1.1 厚生年金の受給額ごとの受給権者数
- 1万円未満:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
厚生年金を月額15万円以上受給している人は、全体の半分に満たない49.8%です。厚生年金を受給していない人も含めて計算すると、この割合はさらに低くなります。
2. 高齢者世帯の「平均所得」、現役世代とこれだけ違う
「年金生活になったら、今よりどのくらい家計が変わるんだろう」——そんな不安を抱く方も多いのではないでしょうか。厚生年金の平均受給額を考えるうえで、まず押さえておきたいのが高齢者世帯全体の所得水準です。内閣府の最新調査によると、高齢者世帯の平均所得は314.8万円。現役世代を含む「その他の世帯」と比べると、実はかなりの開きがあります。
高齢者世帯の平均所得は、その他の世帯の約5割にとどまっているのが実情です。また、世帯人数の違いを調整したうえで「実際に使えるお金」を示す等価可処分所得(世帯の人数が違っても比較できるように調整した、いわば“手取りの目安”)で見ても、高齢者世帯は226.0万円と、その他の世帯(336.1万円)の約7割の水準にとどまります。厚生年金の平均受給額だけでは日々の生活費をまかないきれない世帯も少なくなく、現役時代からどう備えるかが老後設計の分かれ目になりそうです。