6. 30歳代に多い「少額しか回せないときに何を選べばよいか分からない」というご相談。ファイナンシャルアドバイザー・神田 翔平が伝えたいこと
積み立てを始めようと考えたとき、毎月まわせる金額と、何を選ぶかという2つの問いが同時に出てきます。ここでは、ファイナンシャルアドバイザーが日頃の面談でよく受けるご相談のひとつを、個人が特定されないよう内容を一般化したうえで取り上げます。
6.1 30歳代に多いお悩み相談は「少額しか回せないときに何を選べばよいか分からない」

口座や契約は用意できているものの、そこから先で手が止まっている、という声はよく聞かれます。選び方の基準がないまま候補を眺めていると、決めきれないまま時間が過ぎてしまう方も多いものです。
6.2 【ファイナンシャルアドバイザー・神田 翔平が回答】少額でも始められる。金額が小さいうちは値動きの安定を優先し、性格の違うものを分けて持つ
資産運用を始めるにあたって、積立金額の大小はそこまで重視するポイントではありません。
資産状況は各個人によって大きく異なるものです。自分の収入の範囲の中で無理なく資産形成に回せる分を積立設定していきましょう。
また、積立資金に大きな資金を回せるようになるまで、時間をおいてしまうのも機会損失になります。
資産運用の基本は、投資先と時間を分散してあげることです。なるべく長い期間運用できるように、少額でも始めてあげることが大切です。資産運用は元本保証ではないため少しでもリスクを分散できるプランを考えていくことが、迷いの少ない進め方になります。
6.3 ポイント1:少額からでも積み立ては始められる
相談の場で最初にお伝えしているのは、少額であることは始めない理由にはならない、という点です。積み立ての仕組みは、金額が小さくても同じように働きます。上乗せされる部分の大きさは、続けた期間によって決まる面が大きく、毎月の金額が小さいからといって、その比率が下がるわけではありません。むしろ、金額が出せるようになるまで待つあいだは、その期間が積み立てにも運用にも使われないままになります。いま出せる金額で始めておき、収入や支出の状況が変わったところで見直していくという進め方も選べます。金額の大小は、あとから変えられる部分です。
6.4 ポイント2:金額が小さいときは値動きの安定を優先する選び方がある
何を選ぶかという問いについては、金額の大きさによって基準が変わってくる、という整理に行き着くことが少なくありません。毎月の金額が小さいうちは、資産全体の金額もしばらくは小さいままです。この段階で値動きの大きいものを選ぶと、上下の幅そのものは金額として小さくても、増減の割合が目に入りやすく、続けるかどうかの判断が揺れやすくなります。相談の場では、まず値動きの幅が比較的落ち着いているものを選び、積み立てが習慣になったところで、値動きを受け入れる部分を足していくという順番をご案内することがあります。もちろん値動きが穏やかなものでも価格は変動し、元本割れとなる可能性は残ります。安定を優先するというのは、変動がなくなるという意味ではなく、変動の幅をどこまで受け入れるかを先に決めておく、という意味合いです。
6.5 ポイント3:性格の違うものを分けて持つ
もう1つ、選び方の軸としてご説明することが多いのが、運用のしかたの違いです。あらかじめ決めた指標の動きに沿わせる運用と、運用する人が投資先を選んで判断する運用とでは、値動きの出方も、かかる費用の水準も変わってきます。どちらが優れているという話ではなく、性格が違うものだという理解でよいと思います。そのうえで、性格の違うものを2つほど、少しずつ分けて積み立てるという組み合わせ方があります。片方が振るわない局面でも、もう片方の動きが違えば、資産全体の振れ幅はならされやすくなります。少額であっても、この分け方は取り入れられます。どのような組み合わせが合うかは、目的とする時期や、値動きをどこまで受け入れられるかによって変わりますので、具体的な選択は状況を確かめながら決めていくことになります。
始める時期と、選ぶ中身。どちらから考えるかで、進み方はずいぶん変わります。ご家庭ごとに事情は異なりますので、具体的な判断は、状況を確かめながら専門家とご一緒に進めていただければと思います。
7. まとめにかえて
年金生活者支援給付金は、2026年度に前年度から3.2%引き上げられ、老齢年金生活者支援給付金の基準額は月額5620円となりました。2カ月に一度、公的年金に上乗せして支給される仕組みで、この金額どおり受け取れる場合、1回の支給で約1万円台、年額では6万円台の金額になります。ただし所得や世帯の課税状況によって対象は限られ、実際に受け取っている人の平均は基準額を下回っています。
受け取るには請求の手続きが必要です。すでに年金を受け取っている人で新たに対象となった場合は、毎年9月1日以降に請求書が順次送られます。一度提出すれば2年目以降の手続きは不要ですので、最初の1通を見落とさないことが要になります。
自分で備える部分については、試算のとおり、月3000円という金額からでも20年という期間を通せば一定の規模に届きました。上乗せされた部分の比率は、毎月の金額が小さいケースでも大きいケースでもほぼ同じでした。金額の大小より、どれだけの期間を続けられるかが結果を左右する、という見方ができます。
なお、運用に回した部分には価格の変動があり、元本割れとなる可能性があります。無理のない積立額や、老後に必要となる金額は、家族構成や収入の安定度、住まいの形によって変わります。この記事で示した数字はいずれも目安ですので、個別の判断や制度・税制の取り扱いについては、お住まいの市区町村の窓口や年金事務所、契約先の窓口など関連する部署に確かめながら進めていただければと思います。
