日本年金機構は、年金生活者支援給付金請求書(はがき型)を令和8年9月1日から順次送付すると公表しています。
一方、2026年8月5日に基本方針が閣議決定された「給付付き税額控除」は、本格導入が令和11年度で、給付額も対象になる所得のラインもまだ決まっていません。
これから始まる給付の話題が増えている一方で、いま請求できる給付があることは見落とされやすいところです。
この記事では、給付付き税額控除の現在地と、9月に請求書が届く年金生活者支援給付金の金額と要件を確認していきます。
- 給付付き税額控除は令和11年度に本格導入。給付額も対象になる所得のラインもまだ決まっていない
- 年金生活者支援給付金請求書(はがき型)は令和8年9月1日から順次送付され、緑の封筒で届く
- 老齢年金生活者支援給付金は月額5620円を基準に計算。所得の基準は82万6500円以下(昭和31年4月2日以後生まれ)
1. 給付付き税額控除は令和11年度から。給付額も対象ラインもまだ決まっていない
まず、これから始まる制度の現在地を確認します。
1.1 閣議決定で決まったこと
政府は令和8年8月5日、「『給付付き税額控除』の制度導入の基本方針」を閣議決定しました。
導入されるのは「所得に連動したきめ細かな給付」と呼ばれる仕組みで、本格導入は令和11年度です。
対象は個人単位で単身者も含み、一定の勤労性の所得があり、一定の税・社会保険料の負担がある人とされています。給付額は所得に応じて逓増したのち定額になり、総所得が一定額を超えると逓減します。
1.2 決まっていないこと
肝心の金額は示されていません。
基本方針では、給付に係る閾値となる所得水準も給付額も、恒久財源の確保と併せて検討するとされています。
執行の主体も、国と地方の役割分担を検討する段階です。つまり現時点では、申請の受付が始まっている制度ではありません。
2. 給付付き税額控除までのつなぎは、飲食料品の消費税率1%と令和9年度の先行導入
本格導入までの2年間には、経過措置が用意されています。
2.1 令和9年4月1日から2年間の消費税率引下げ
足下の物価高に対応する観点から、令和9年4月1日から2年間、軽減税率の対象となっている飲食料品に係る消費税率が1%とされます。
あわせて、飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲内で、令和9年度に給付が先行導入されます。
2.2 先行導入は本格導入と中身が違う
令和9年度の先行導入は、本格導入をそのまま前倒しするものではありません。
本格導入時に行われる、配偶者の所得を勘案する一定の例外措置は設けられません。こどもの加算も、18歳以下ではなく15歳以下の人数に応じたものになります。
これらの取組により、全体として飲食料品に係る消費税の実質ゼロ化を実現するとされています。
これから始まる給付と、いま請求できる給付を並べて比べたものです1/2
出所:内閣官房「『給付付き税額控除』の制度導入の基本方針」および厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」をもとにLIMO編集部作成
3. いま請求できる給付は?9月に届く年金生活者支援給付金は月額5620円が基準
ここからは、すでに請求できる給付を見ていきます。
年金生活者支援給付金は、公的年金等の収入金額やその他の所得が一定の基準額以下の人に、年金に上乗せして支給される仕組みです。
3.1 支給要件は3つ
厚生労働省の資料によると、老齢年金生活者支援給付金の支給要件は3つです。
1つ目は65歳以上の老齢基礎年金の受給者であること、2つ目は同一世帯の全員が市町村民税非課税であることです。
3つ目は、前年の公的年金等の収入金額とその他の所得の合計額が82万6500円以下であることです。昭和31年4月1日以前に生まれた人は82万4100円以下となります。
なお障害年金や遺族年金などの非課税収入は、この判定に用いる所得には含まれません。
3.2 給付額は納付済期間と免除期間で計算する
給付額は一律ではありません。
保険料納付済期間に基づく額は「月額5620円×保険料納付済期間÷480月」、保険料免除期間に基づく額は「月額1万1768円×保険料免除期間÷480月」で計算し、その合計額が月額になります。
日本年金機構が示している例では、納付済月数が240カ月、全額免除月数が60カ月の場合、2810円と1471円を合わせた月額4281円となります。
保険料をすべて納めた480月であれば、月額5620円という計算です。
3.3 所得が基準を少し超えた人にも補足的な給付がある
基準額をわずかに超えた場合の仕組みも用意されています。
前年の年金収入とその他の所得の合計が82万6500円を超え92万6500円以下の人には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。昭和31年4月1日以前に生まれた人は82万4100円超92万4100円以下が対象です。
給付額は、納付済期間に基づく額に調整支給率を乗じて計算されます。
老齢年金生活者支援給付金の支給要件と給付額の計算式です(令和8年10月時点)2/2
出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」および日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」をもとにLIMO編集部作成
