毎月の給与から引かれる厚生年金保険料は、給与の額に直接料率をかけて出しているわけではありません。

日本年金機構によると、厚生年金保険の保険料率は年金制度改正に基づき平成16年から段階的に引き上げられてきましたが、平成29年9月を最後に引上げが終了し、18.3%で固定されています。保険料は標準報酬月額を決定し、これに保険料率を乗じて計算します。

この記事では料率が固定された経緯と、料率をかける相手である標準報酬月額の決め方を確認したうえで、国民年金から切り替わるときに起きる精算を見ていきます。

1. 【厚生年金保険料】料率は18.3%で固定。平成29年9月に引上げが終わった

保険料が動く理由は、料率と等級の2つに分けられます。まず料率の側から確かめます。

1.1 料率は平成29年9月を最後に引上げが終わった

出発点は料率です。

日本年金機構によると、厚生年金保険の保険料率は、年金制度改正に基づき平成16年から段階的に引き上げられてきましたが、平成29年9月を最後に引上げが終了し、厚生年金保険料率は18.3%で固定されています。

平成16年の改正で段階的な引上げの道筋が決まり、その最後が平成29年9月でした。それ以降、率そのものは動いていません。毎年の改定を気にする必要がない項目です。

厚生年金保険料は標準報酬月額に18.3%をかけて労使で折半する。料率は平成29年9月から固定1/1

厚生年金保険料の計算の流れとして給与から標準報酬月額を決め保険料率18.3%を乗じて労使で折半する構造と、料率が平成29年9月に固定された経緯を並べた図

出所:日本年金機構「厚生年金保険料額表」などをもとにLIMO編集部作成

1.2 料率をかける相手は給与そのものではない

計算の順序に決まりがあります。

機構によると、厚生年金保険の保険料は、被保険者の給料をもとに標準報酬月額を決定し、これに保険料率を乗じて計算します。給料の額に直接18.3%をかけるのではありません。

先に標準報酬月額という別の数字を作り、それに料率をかける2段の計算です。給与が動いても標準報酬月額が変わらなければ、保険料は変わりません。

1.3 標準報酬月額は等級表にあてはめて決める

その標準報酬月額の作り方も定められています。

標準報酬月額は、保険料などを計算するために定められている標準報酬等級表にあてはめて決められます。給与の額をそのまま使うのではなく、等級の幅のどこに入るかで決まります。

したがって給与が1円変わるたびに保険料が変わるのではありません。同じ等級の幅の中に収まっている間は、保険料は同じ額です。

1.4 賞与は別に標準賞与額を決めて計算する

月々の給与とは別の計算があります。

機構によると、賞与についても総支給額をもとに標準賞与額を決定し、保険料率を乗じて保険料を計算します。

月々の給与の標準報酬月額とは別に、賞与のたびに標準賞与額が決まります。同じ18.3%をかけますが、かける相手が別に用意されている形です。

1.5 料額表には全額と折半額が並んでいる

自分の負担額を確かめる道具があります。

機構は保険料額表を公開しています。厚生年金保険の保険料は事業主と被保険者が半分ずつ負担するため、表には全額と折半額が並んで示されています。

給与明細に出てくるのは折半額の側です。表で自分の等級を引けば、料率をかける前の元の数字と、会社が負担している分の額も分かります。

1.6 健康保険の側は都道府県ごとに料率が違う

同じ表に載っている健康保険は事情が違います。

機構は、厚生年金保険料率および全国健康保険協会管掌の健康保険の都道府県ごとの保険料率については、協会けんぽのホームページを見るよう案内しています。

厚生年金の18.3%が全国一律であることとは対照的です。同じ給与でも、健康保険料は勤務先の所在地によって変わります。

1.7 料額表は年度ごとに分けて公開されている

表そのものにも版があります。

機構は令和2年9月分からの保険料額表と、過去の厚生年金保険料額表を別に置いています。厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険の分が同じ表に並んでいます。

過去の保険料を確かめたい場合は、その時点の版を引くことになります。料率が固定されていても、等級の区切りは同じとは限りません。

1.8 等級の区切りは過去に見直されてきた

変遷をたどれる資料もあります。

機構は厚生年金保険料率と標準報酬月額等級の変遷表も公開しています。料率だけでなく、等級の区切り自体が過去に変わってきたことが分かる資料です。

つまり保険料の額が変わる理由は2つに分けられます。1つは料率が変わること、もう1つは標準報酬月額の等級が変わることです。料率は平成29年9月から固定されているので、いま額が動くとしたら等級の側です。

1.9 等級が変わるのは給与が変わったときだけではない

等級が動く場面を押さえておきます。

給与そのものが変わったときに等級が変わるのは分かりやすい場面です。ただし変遷表が示すように、等級の区切りが改正で見直されることもあります。

自分の負担額を知りたいときは、給与明細の控除額と料額表の折半額を突き合わせることになります。等級を確かめれば、料率をかける前の元の数字が分かります。

働き方が変わって国民年金から厚生年金に切り替わる場面では、別の精算が起きます。国民年金の保険料を先にまとめて払っていた場合、その扱いはどうなるのでしょうか。

なお、国民年金を前納した後に厚生年金へ切り替わった場合の精算に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

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