4. 平均年金月額の計算のしかた

数字の作られ方も確認しておきましょう。

4.1 年金総額を人数で割って12で割る

厚生労働省の資料によると、平均年金月額は、年金総額を受給権者数または受給者数で除して平均年金額を求め、これを12で除したものです。

分子の年金総額と分母の人数を、受給権者でそろえるか受給者でそろえるかで、出てくる平均が変わります。2つの数字が並ぶのはこのためです。

4.2 年金額は決定済の額

ここでいう年金額は、ある時点においてとらえた受給権者または受給者について、その時点で決定済の年金額(年額)とされています。

実際に振り込まれる額とは違い、そこから介護保険料などが差し引かれる前の数字です。手取りの目安として読むと、実感とずれることになります。

5. 記事や資料で数字を見るときの確かめ方

この違いは、公的年金の統計を読むときに何度も出てきます。

5.1 どちらのベースかは表の題名に書いてある

概況の統計表は、「受給者平均年金月額の推移」と「受給権者平均年金月額の推移」というように、題名で区別されています。数字を引くときは、表の題名まで含めて確かめるのが確実です。

同じ資料のなかに両方が載っているので、別々の記事から引いた数字を並べると、気づかないうちに違うベースを比べてしまうことがあります。

5.2 自分の見込額はねんきん定期便で確かめる

どちらのベースであっても、平均は全国の集計値です。加入していた期間や報酬によって、一人ひとりの年金額は変わります。

自分がいくら受け取れるのかは、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確かめられます。平均と比べて落ち込む前に、まず自分の数字を見るところから始めましょう。

6. まとめにかえて

公的年金の統計には、受給権者と受給者という2つの数え方があります。受給権者には全額支給停止されている人も含まれ、受給者には含まれません。

厚生年金保険(第1号)の令和6年度末の老齢年金の平均年金月額は、受給権者ベースが15万289円、受給者ベースが15万1142円でした。障害年金では9万9171円と10万4130円、遺族年金では8万2209円と8万4228円と、給付によって差の大きさも変わります。

どちらも正しい数字で、指している範囲が違うだけです。平均額を引くときは、表の題名でベースを確かめておきましょう。

参考資料

村岸 理美