4. 通帳に入るのは2か月分。額面と手取りは別の数字

ここからは、年金の受取口座を見る立場から、統計の数字と通帳の数字のずれについて補足します。

筆者は元銀行員で、窓口業務と預金を担当していました。年金制度の相談は年金事務所の管轄ですので、ここで書くのは通帳に表れる部分の話です。

4.1 月額15万円でも、30万円がそのまま入るわけではない

この記事で見た年金月額は額面の数字です。実際の振込では、介護保険料や後期高齢者医療保険料、住民税などが差し引かれることがあります。

月額15万円の方の2か月分は額面で30万円ですが、通帳に入る額はそれより少なくなります。平均と比べて少ないと感じたときは、比べている数字が額面か手取りかを確かめてみてください。

4.2 「平均と比べてどうか」より先に見たい数字

銀行員だった頃、「自分の年金が平均と比べてどうなのか」という声を聞くことがありました。

ただ、家計を組み立てるうえで必要なのは平均との距離ではなく、毎月いくら使えるかです。2か月分がまとめて入る仕組みですので、奇数月をどう回すかまで含めて考えておくと慌てにくくなります。

5. 【毎月届く可能性がある】年金額が変わると「支給額変更通知書」が届く

ここからは、年金額が動いたときに届く書類の話です。日本年金機構の年間予定表では、振込通知書と支給額変更通知書が毎月のように発送されています。

2026年度は9月7日、10月6日、11月9日と続きます。年に1度だけ届くものではありません。

5.1 年金額は決まったあとも変わる

日本年金機構は、年金決定通知書・支給額変更通知書について、年金の受け取り額(年額)に変更があった場合に変更後の年金の情報を知らせるものだと説明しています。

年金の額はいったん決定されたあとも一定ではなく、自身の年金加入状況の変化や配偶者の年金受給状況等により変更が生じるとされています。

5.2 変更の理由には番号が振られている

通知書の決定・変更理由欄には番号と文言が記載されます。たとえば39番は、厚生年金保険の加入者でなくなったため、これまでの加入期間を追加して年金額の再計算を行い、年金額を変更したという内容です。

43番は65歳に到達したため老齢基礎年金・老齢厚生年金を支払うこととした、26番は配偶者の年金の状況により老齢基礎年金に振替加算額を加算した、というものです。

28番のように、40歳から65歳であったことにより遺族厚生年金に中高齢加算額が加算されていた方が65歳に到達し、その分が減額されるケースもあります。

5.3 届いたら「基礎となる年金額」の一番下の段を見る

日本年金機構は、基礎となる年金額の欄が2段以上にわたって記載されている場合、一番下段に記載されている金額が最新の年金額だと説明しています。

上の段だけを見て金額を勘違いしやすいところです。通知書が届いたら、まず一番下の段と決定・変更理由の番号を確かめてみてください。

6. 【2028年4月から】遺族厚生年金の見直し。影響を受けない人が示されている

もう一つ、厚生年金に関わる制度の見直しにも触れておきます。

2025年6月13日に年金制度改正法が成立し、遺族厚生年金の見直しが2028年4月に施行される予定です。5年で打ち切りになるといった説明を目にした方もいるかもしれません。

6.1 厚生労働省は影響を受けない人を4つ挙げている

厚生労働省は、次の4つに該当する方はこの見直しによって受ける影響はないとしています。すでに遺族厚生年金を受給している方、60歳以降に遺族厚生年金の受給権が発生する方、18歳年度末までのこどもを養育する間にある方の給付内容、2028年度に40歳以上になる女性です。

つまり、いま年金を受け取っている世代の多くは対象外ということになります。

6.2 新たに5年間の有期給付になる人

女性の場合、施行直後に原則5年間の有期給付の対象となるのは、18歳年度末までのこどもがいない、2028年度末時点で40歳未満の方です。厚生労働省は、新たに対象となる30歳代の女性を推計で年間約250人としています。

男性の場合、新たに5年間の有期給付を受けられるようになるのは、18歳年度末までのこどもがいない60歳未満の方で、推計で年間約1万6000人です。これまで男性は要件を満たさず受け取れなかった層が対象に加わる形になります。

6.3 5年の有期給付は増額され、終了後の継続給付もある

厚生労働省は、有期給付の額に新たな加算(有期給付加算)が上乗せされ、現在の遺族厚生年金の額の約1.3倍になるとしています。

5年間の有期給付の終了後も、障害状態にある方や収入が十分でない方は、引き続き増額された遺族厚生年金を受給できる継続給付の仕組みが用意されています。

また、遺族基礎年金のこどもがいる場合の加算額は、年間で約23万5000円から28万円へ増額されるとされています。

シニア世帯の貯蓄が実際にどう動いているかは、こちらの記事で確認できます。65歳以上無職夫婦「家計赤字と貯蓄2494万円の実態」を最新統計で深掘り。介護サービスは月20万6300円へ

7. まとめにかえて

厚生年金保険(第1号)の老齢年金受給権者の平均年金月額は15万289円で、月額15万円以上の人は49.8%でした。2か月分で30万円以上が振り込まれるかどうかで、ほぼ半分に分かれることになります。

年齢別では70歳代前半の14万7730円が最も低く、85歳から89歳は16万5486円です。年齢が上がるほど平均が高いという並びは、思い込みとは逆かもしれません。

ただし平均は平均でしかなく、しかも基礎年金を含んだ額です。通帳に入るのは、そこからさらに天引きされた2か月分の金額になります。

ご自身の年金額や通知書の見方で分からない点があれば、ねんきん定期便や年金証書を手元に置いたうえで、年金事務所やねんきんダイヤルに確認するのが確実です。

参考資料

中本 智恵