年金は偶数月の15日に、前の2か月分がまとめて振り込まれます。通帳に並ぶ金額を見て、これは多いほうなのか少ないほうなのかと考えたことはないでしょうか。

厚生労働省が2025年12月に公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)の老齢年金受給権者の平均年金月額は「15万289円」でした。

月額15万円は、2か月分にすると30万円です。では、この水準に届いている人はどのくらいいるのでしょうか。

この記事では、厚生年金の受給額が月額いくらの人がどれだけいるのかを分布で確認し、年齢によって平均がどう変わるのかまで見ていきます。

ココがポイント
  • 厚生年金保険(第1号)の老齢年金受給権者の平均年金月額は15万289円。受給権者数は1608万5696人
  • 月額15万円以上、つまり2か月分で30万円以上になる人は801万5484人で49.8%。ほぼ半分で分かれる
  • 年齢別では70歳代前半の14万7730円が最も低く、85歳から89歳は16万5486円。年齢が上がるほど平均は高い

1. 「厚生年金」平均は月15万289円。2か月分で30万円以上になる人は49.8%

まず、厚生年金の受給額がどう分布しているのかを確認します。

参照するのは厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」で、令和6年度末時点の数値です。

1.1 老齢年金受給権者の平均年金月額は15万289円

厚生年金保険(第1号)の老齢年金受給権者は1608万5696人で、平均年金月額は15万289円でした。男女別では男子が16万9967円、女子が11万1413円です。

この平均年金月額には、基礎年金の月額も含まれています。厚生年金だけの額ではない点に注意が必要です。

1.2 月額15万円以上は801万5484人で49.8%

年金月額の階級別に見ると、15万円以上の人は801万5484人で、全体の49.8%にあたります。ほぼ半分のところに線が引かれる形です。

月額15万円は、2か月分で「30万円」になります。偶数月の支給日にこの水準が振り込まれるかどうかで、半分に分かれることになります。

厚生年金の受給権者1608万5696人のうち、月額15万円以上は49.8%を占める1/2

厚生年金保険第1号の老齢年金受給権者数を年金月額の階級別に示し、割合を並べた表

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

最も人数が多いのは10万円以上15万円未満の501万6238人で31.2%、次いで15万円以上20万円未満の498万7811人で31.0%です。25万円以上は36万5276人で2.3%にとどまります。

なお割合は端数処理をしているため、合計しても100.0%にならないことがあります。

1.3 男女で分かれ方は大きく違う

月額15万円以上の割合を男女別に見ると、男子は735万998人で68.8%、女子は66万4486人で12.3%です。

同じ厚生年金でも、加入期間や在職中の報酬の違いが受給額に表れます。全体の49.8%という数字は、この2つを合わせた結果です。

2. 「厚生年金」年齢が上がるほど平均は高い。最も低いのは70歳代前半

次に、年齢によって平均がどう変わるのかを見ていきましょう。

同じ資料には、年齢別の受給権者数と平均年金月額も載っています。

2.1 70歳から74歳の14万7730円が最も低い

65歳以上の年齢層で最も平均が低いのは、70歳から74歳の14万7730円でした。65歳から69歳は15万1753円、75歳から79歳は15万1377円です。

年齢が上がると受給額も下がっていくように思われがちですが、統計ではその逆の並びになっています。

厚生年金の平均年金月額は70歳代前半が最も低く、85歳以降は16万円台になる2/2

厚生年金保険第1号の老齢年金受給権者の平均年金月額を年齢階級別に示した横棒グラフ

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

2.2 85歳から89歳は16万5486円で最も高い

80歳から84歳は15万7689円、85歳から89歳は16万5486円、90歳以上は16万4027円です。70歳代前半と85歳から89歳では、1万7000円を超える差があります。

この並びには、加入していた時期の給与水準や、年金額の改定の積み重ねなど複数の要因が関わっていると考えられます。1つの理由に決めつけられる数字ではありません。

2.3 65歳未満の数字は同じ土俵で比べられない

この資料では、65歳未満の受給権者について注意書きが添えられています。特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、主に報酬比例部分だけを受け取っている人が中心だという説明です。

そのため、64歳までと65歳以上では平均の水準に大きな違いが出ます。年齢別の数字を見るときは、65歳以上どうしで比べるのが実態に近くなります。

3. 「厚生年金」この平均は基礎年金を含んだ額。国民年金だけの人とは土台が違う

最後に、数字を読むときの土台を確認しておきます。

厚生年金と国民年金を並べて比べる記事は多いのですが、そもそも集計の中身が違います。

3.1 平均年金月額には基礎年金月額を含む

厚生労働省の資料には、厚生年金保険(第1号)の平均年金月額には基礎年金月額を含む、と明記されています。

つまり15万289円という数字は、老齢厚生年金と老齢基礎年金を合わせた額です。厚生年金の部分だけを取り出した額ではありません。

3.2 国民年金の平均年金月額は5万9310円

一方、国民年金の老齢年金受給権者は3345万4617人で、平均年金月額は5万9310円でした。

ただしこちらの数字にも注意書きがあり、老齢基礎年金の受給権者には被用者年金が上乗せされている人も含まれています。厚生年金を受け取っている人が二重に数えられている形です。

3.3 2つの数字を単純に引き算しない

この2つを並べて差額を出すと、実態より大きな差に見えることがあります。集計の対象が重なっているためです。

ご自身の年金額を確かめたい場合は、平均との比較よりも、ねんきん定期便や年金証書に記載された自分の数字を見るほうが確実です。

中本 智恵
銀行員だった頃、年金の受取口座の通帳を見る場面がありました。「自分の年金は平均と比べてどうなのか」という声を聞くこともありましたが、通帳に入るのは2か月分で、しかも天引き後の額です。平均と比べる前に、まずご自身の額面と手取りを分けて確かめてみてください。