老後の生活費への不安に加え、親や自分自身の介護が気にかかり始めた頃、多くの方がその費用の重さを実感するのではないでしょうか。
厚生労働省「介護給付費等実態統計 月報」の最新値(令和8年4月審査分)によると、介護サービス受給者1人あたりの月額費用は平均20万6300円。年間ベースでは介護費用の総額11兆9381億円(令和6年度)と過去最高水準に達しています。
この記事では、介護費用の最新実態と、65歳以上の無職夫婦世帯における家計収支・貯蓄額を、公的統計データから整理していきます。
- 介護サービス受給者1人あたりの月額費用は平均20万6300円(令和8年4月審査分)
- 65歳以上の無職夫婦世帯は月4万2434円の赤字家計(令和7年家計調査)
- 65歳以上二人以上世帯の平均貯蓄額は2494万円、中央値は1777万円
1. 介護サービス受給者1人あたりの月額費用は平均20万6300円
まずは、介護費用の最新実態を見ていきましょう。
1.1 令和6年度の介護費用総額は過去最高の11兆9381億円
厚生労働省の「令和6年度 介護給付費等実態統計の概況(令和6年5月審査分〜令和7年4月審査分)」によると、令和6年度の介護費用の総額は11兆9381億円で、前年度から4242億円増加し、過去最高を更新しました。
訳は、介護サービス費が11兆6179億円、介護予防サービス費が3202億円です。
1.2 受給者数は介護サービス573万人、介護予防130万人
令和6年度の受給者数は、以下のとおりです。
- 介護サービス受給者:573万1100人(前年比+6万4600人、+1.1%)
- 介護予防サービス受給者:130万3900人(前年比+5万9300人、+4.8%)
要介護認定者は749万人となり、そのうち受給者は572万人、女性394万人・男性177万人と女性が男性の約1.9倍を占めています。
1.3 受給者1人あたりの月額費用は介護サービスで20万6300円
令和8年4月審査分の月報によると、受給者1人あたりの平均費用額は介護サービスで20万6300円、介護予防サービスで2万8200円でした。
これは保険給付前の総費用額であり、実際の自己負担は所得に応じて1〜3割となります。
2. 65歳以上の無職夫婦世帯|月4万2434円の赤字家計
介護費用は、老後の家計に加わる大きな負担要素の一つです。次に、65歳以上の無職夫婦世帯における1カ月の家計収支を確認します。
2.1 収入は月25万4395円、9割弱が公的年金
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯における1カ月あたりの実収入は25万4395円でした。
うち公的年金等が22万8614円を占め、収入全体の89.9%と大半を占めています。
2.2 支出は月29万6829円で、月4万2434円の赤字
一方の支出は、消費支出と非消費支出(税・社会保険料)を合わせて29万6829円です。差し引き月4万2434円の赤字となり、年間ではおよそ50万円、10年間では約500万円の取り崩しが必要になる計算です。
ここに月20万円台の介護費用が加わるケースを想定すると、家計への影響はさらに大きくなります。
3. 65歳以上二人以上世帯の平均貯蓄額は2494万円
それでは、老後の家計を支える貯蓄は平均的な世帯でどの程度あるのでしょうか。
3.1 無職夫婦世帯の平均貯蓄は2494万円、前年より66万円減少
総務省統計局「家計調査報告 貯蓄・負債編 2025年(令和7年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」によると、65歳以上の無職夫婦世帯における1世帯あたりの平均貯蓄額は2494万円で、前年から66万円減少しました。
内訳は、以下のとおりです。
- 定期性預貯金:778万円
- 通貨性預貯金:766万円
- 有価証券:510万円
- 生命保険など:426万円
3.2 勤労世帯を含む65歳以上全体では平均2564万円、中央値1777万円
勤労世帯を含む65歳以上の二人以上世帯全体では、平均貯蓄額が2564万円、中央値は1777万円です。
平均値と中央値の差は約790万円もあり、貯蓄の分布に大きな偏りがあることが読み取れます。ゼロ世帯もあれば、資産を大きく積み上げた世帯もあり、「平均」ではなく「中央値」の水準で自分の位置を確認しておくことが大切です。
他の家庭はどれほど貯蓄があるのだろう…そのような不安や疑問を持ったことがある方は多いでしょう。私も気になり調べたことが何度もあります。
しかし、統計から見えてくるものがある一方で、やはり重要になるのは「我が家」の家計簿です。定年までの残りの時間や月々いくら貯蓄に回せるのかなど、一度じっくり計算してみましょう。
次章では身近な存在でありながらあまり知る機会の少ない「介護」の費用を深掘りします。


