お盆の帰省や、猛暑によるエアコンのフル稼働などによって、8月は家計収支が例年より気になる時期です。
そのタイミングにあわせるように、年金支給日が8月14日(金曜日)にやってきます。今回振り込まれるのは、6月分と7月分の2カ月分です。
2026年度(令和8年度)の公的年金は、国民年金(老齢基礎年金)が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%引き上げられ、4年度連続の増額改定となりました。国民年金の満額は月額7万608円、厚生労働省が示す夫婦モデルの厚生年金は月額23万7279円です。
ただし、額面が増えても、物価の上昇に追いつかず「生活が楽になった実感がわかない」という声も少なくありません。まずは公的年金の仕組みと2026年度の改定内容、そして年代別の平均月額を、落ち着いて確認していきましょう。
この記事では、8月14日(金曜日)の年金支給日を前に、日本の公的年金制度の基本、2026年度の年金額、現役時代の働き方ごとの目安月額、そして60歳代・70歳代・80歳代それぞれの平均月額を整理します。あわせて、令和8年4月から基準額が引き上げられた在職老齢年金の仕組みも確認していきます。
1. この記事の3つのポイント
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2026年度の年金額は4年度連続の増額。国民年金の満額は月額7万608円、厚生年金の夫婦モデルは月額23万7279円 -
60歳代・70歳代・80歳代の平均月額は、厚生年金で月額14万〜16万円台、国民年金で月額5万〜6万円台 -
2026年4月から在職老齢年金の基準額が月51万円から月65万円へ引き上げ、働きながら受け取れる年金額の上限が拡大
2. 日本の「公的年金制度」
日本の公的年金制度は、一般に「2階建て」と表現されます。1階部分が「国民年金(老齢基礎年金)」、2階部分が「厚生年金」です。まずは、それぞれの基本を押さえておきます。
2.1 1階部分にあたる国民年金
国民年金は、原則として日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する制度です。
- 加入対象者:日本に住む20歳以上60歳未満の全員(職業や国籍は問わない)
- 年金保険料:全員一律、年度ごとに改定あり(2026年度は月額1万7920円)
- 受給額:保険料を40年間(480カ月)納付すると、満額の老齢基礎年金を受給できる(2026年度の満額は月額7万608円)
納付済期間が480カ月に満たない場合には、その期間に応じて受給額が減額されます。
2.2 2階部分にあたる厚生年金
厚生年金は、会社員や公務員、また特定適用事業所で一定の要件を満たして働くパートタイマーなどが、国民年金に上乗せして加入する制度です。
- 加入対象者:会社員や公務員、特定適用事業所で一定の要件を満たして働くパートタイマーなど
- 年金保険料:標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される(上限あり)
- 受給額:加入期間や納めた保険料の額によって個人差が大きく出る
厚生年金は現役時代の収入と加入期間に応じて増減する仕組みのため、同じ会社員でも老後に受け取る金額に差が出ることがあります。
3. 2026年度の年金額は4年度連続で増額
2026年1月23日、厚生労働省は令和8年度の年金額を公表しました。前年度と比べて、国民年金は1.9%、厚生年金の報酬比例部分は2.0%の引き上げとなっています。
3.1 2026年度の年金額例
厚生労働省が示す2026年度の年金額の例は、次のとおりです。
- 国民年金(老齢基礎年金・満額):月額7万608円(前年度比+1300円)
- 厚生年金(夫婦2人分):月額23万7279円(前年度比+4495円)
※昭和31年4月1日以前生まれの人の老齢基礎年金の満額は、月額7万408円(前年度比+1300円)です。
※厚生年金は、平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
年金額の引き上げは、一見すると家計にとってプラスに感じられます。ただし、この間の物価上昇率は年金額の伸びを上回っており、実際に購入できる商品やサービスの量が広がるとは限りません。額面の増減だけで判断せず、家計全体の収支で見直すことが大切です。
4. 現役時代の働き方・収入別に見る年金額の目安
厚生年金は現役時代の働き方や収入によって受給額が大きく変わるため、平均額だけでは自分の受給水準をつかみにくいところがあります。
厚生労働省は、多様なライフコースを想定した年金月額の目安を「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」の中で公表しています。ここでは、2026年度に65歳になる人を想定した5つのケースを確認していきます。
4.1 ケース①:男性・厚生年金期間が中心
- 年金月額:17万6793円
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50万9000円(賞与を含む月額換算。以下同じ)
- 基礎年金:6万9951円/厚生年金:10万6842円
4.2 ケース②:男性・国民年金(第1号被保険者)期間が中心
- 年金月額:6万3513円
- 平均厚生年金期間:7.6年
- 平均収入:36万4000円
- 基礎年金:4万8896円/厚生年金:1万4617円
4.3 ケース③:女性・厚生年金期間が中心
- 年金月額:13万4640円
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35万6000円
- 基礎年金:7万1881円/厚生年金:6万2759円
4.4 ケース④:女性・国民年金(第1号被保険者)期間が中心
- 年金月額:6万1771円
- 平均厚生年金期間:6.5年
- 平均収入:25万1000円
- 基礎年金:5万3119円/厚生年金:8652円
4.5 ケース⑤:女性・国民年金(第3号被保険者)期間が中心
- 年金月額:7万8249円
- 平均厚生年金期間:6.7年
- 平均収入:26万3000円
- 基礎年金:6万9016円/厚生年金:9234円
この5つのケースを見ると、厚生年金の加入期間の長さと現役時代の収入水準が、老後の年金月額を大きく左右することがわかります。
特に女性のケース④・⑤の年金月額は月額6万円台〜7万円台にとどまっており、基礎年金部分に大きく依存する形になっています。老後の生活設計を考えるうえでは、平均額よりも自分に近いケースの金額を目安にしておくと現実感がつかみやすくなります。

