4. NISA口座は2821万口座に。買付額は政府目標を先に超えた

有価証券が伸びた背景を知る手がかりとして、金融庁が公表しているNISAの利用状況があります。こちらは2026年7月3日に令和7年12月末時点の結果が公表されました。

4.1 2025年12月末で2821万口座、2年で696万口座増えた

NISA口座数は2025年12月末時点で2821万口座です。制度が変わる前の2023年12月末は2125万口座でしたので、2年間で696万口座増えた計算になります。

政府は2027年12月末までに3400万口座という目標を掲げています。現時点では、その手前まで来ている水準です。

4.2 買付額は71兆円で、2027年末までの目標56兆円を上回った

NISA口座における買付額の累計は、2025年12月末時点で71兆円でした。2023年12月末の35兆円から2年で36兆円増えています。

政府目標は2027年12月末までに56兆円ですから、口座数より先に買付額のほうが目標を超えたことになります。1口座あたりの買付額が想定より大きかったと読めます。

5. 年間収入で見ると、貯蓄の置き場所が変わる

有価証券の比率は、どの世帯でも同じように上がっているわけではありません。二人以上の世帯を年間収入で5つの階級に分けると、置き場所の傾向がはっきり分かれます。

5.1 年収が低い層ほど定期性預貯金の比率が高い

年間収入346万円未満の階級では、定期性預貯金の構成比が34.0%です。二人以上の世帯全体の24.8%を大きく上回ります。

年間収入の階級が上がるほど定期性預貯金の比率は下がり、有価証券の比率は上がる2/2

二人以上の世帯を年間収入の五分位階級で分け、定期性預貯金と有価証券の構成比を比べた表

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果」をもとにLIMO編集部作成

階級が上がるにつれて定期性預貯金の構成比は31.8%、26.9%、19.6%と下がり、年間収入952万円以上の階級では17.3%になります。

5.2 年収が高い層ほど有価証券の比率が高い

有価証券の構成比は逆の動きをします。346万円未満の階級で13.2%、952万円以上の階級で26.2%と、およそ2倍の開きがあります。

なお、貯蓄現在高そのものは年間収入の順に並んでいるわけではありません。498万円〜688万円の階級が2009万円であるのに対し、688万円〜952万円の階級は1939万円で、逆転している箇所もあります。

6. 貯蓄がない世帯を含めると、中央値はさらに下がる

家計調査の中央値には2つの出し方があります。どちらを見ているかで印象が変わります。

6.1 勤労者世帯は1015万円と964万円

勤労者世帯の中央値1015万円は、貯蓄を持っている世帯だけで計算したものです。貯蓄現在高が0の世帯を含めると964万円まで下がります。

二人以上の世帯全体でも同じで、貯蓄保有世帯の中央値は1264万円、貯蓄現在高が0の世帯を含めると1167万円です。

6.2 平均を下回る世帯は約3分の2

二人以上の世帯では、貯蓄現在高の平均2059万円を下回る世帯が66.1%を占めます。前年の67.0%からはわずかに下がりましたが、依然として3分の2ほどです。

貯蓄の分布については、こちらの記事でも整理しています。貯蓄「4000万円超」が15%いる現実。総務省データが浮き彫りにする「平均2059万円」と「中央値1264万円」のギャップ

7. まとめにかえて

勤労者世帯の貯蓄は2025年平均で1717万円となり、1年で138万円増えました。伸びをけん引したのは有価証券で、25.4%の増加です。

同じ時期にNISA口座は2821万口座まで増え、買付額は71兆円に達しました。統計の数字と制度の利用状況は、同じ方向を向いています。

ただし平均と中央値の差は700万円あり、平均を下回る世帯が3分の2を占めるという構図は変わっていません。平均の数字はそのまま自分に当てはめず、負債や年間収入とあわせて見ておくのがよいでしょう。

参考資料

中本 智恵