総務省統計局が発表した「家計調査(貯蓄・負債編)2025年平均結果」から、日本の家計における貯蓄の実情が明らかになりました。
ニュースなどで「平均貯蓄額が2000万円を突破した」と聞いて、少し焦りを感じた方もいらっしゃるかもしれません。
さらに、今年8月・9月には記録的な食品の値上げラッシュが到来しており、日々の家計負担は増すばかりです。
そんななか、実態により近いとされる「中央値」に目を向けると、また異なる傾向が確認できます。
今回は最新データをもとに、直面する「物価高」の現状と、貯蓄の「平均と中央値のギャップ」や進行する「二極化」の実態についてひも解きます。
1. この記事の3つのポイント
-
2026年8月の食品値上げは2311品目、9月は4000品目超えと物価高が家計を直撃している -
二人以上世帯の平均貯蓄額は2059万円だが、より実態に近い中央値は1264万円にとどまる -
約3分の2の世帯が平均額を下回っており、貯蓄額「100万円未満」と「4000万円以上」の二極化が進んでいる
2. 8・9月に値上げラッシュ本格化。家計を圧迫する「物価高」の現在地
貯蓄の実態を見る前に、現在の私たちの家計を取り巻く環境を確認しておきましょう。
2026年7月31日に帝国データバンクが公表した「食品主要195社 価格改定動向調査(2026年8月)」によると、2026年8月の飲食料品値上げは2311品目と前年比8割増になり、9月には単月で4000品目を超える値上げが予定されています。
中東情勢の悪化による原油・ナフサ高や円安の影響などから、5年連続で年間1万品目を超える広範囲な値上げラッシュとなっており、食品や日用品の価格上昇が家計の大きな重しとなっているのが実態です。
3. 平均2059万円と中央値1264万円《ギャップと二極化》
こうした厳しい環境の中、貯蓄はどうなっているのでしょうか。
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」によると、二人以上世帯の貯蓄額は以下のようになっています。
【二人以上の全世帯】貯蓄額の「平均」と「中央値」
- 平均値:2059万円
- 貯蓄保有世帯の中央値:1264万円
平均値だけを見ると高く感じられますが、これは一部の高額貯蓄世帯が数値を大きく引き上げているためです。
実際には、調査対象の約3分の2(66.1%)が平均額を下回っており、中央値の1264万円こそが、より多くの世帯にとっての現実的な水準といえるでしょう。
3.1 進む「貯蓄の二極化」約1割が100万円未満、一方で4000万円超えも
貯蓄額の分布を見ると、格差はさらに鮮明になります。
- 100万円未満:10.1%
- 4000万円以上:15.2%
上記のように、貯蓄が100万円に満たない世帯が約1割(10.1%)を占める一方で、4000万円以上の資産を持つ世帯も15.2%存在します。多くの世帯が平均値に届かないなか、一部の層に資産が集中している構図が浮かび上がります。
現役世代が中心となる「勤労者世帯」に絞って見ても、この傾向は変わりません。
勤労者世帯の平均貯蓄額は1717万円、中央値は1015万円と全体よりは低いものの、やはり大きな開きがあります。
また、貯蓄4000万円以上の世帯は10.9%存在しており、現役世代の中でも資産形成の差が広がっていることがうかがえます。


