3. 窓口では、金額より先に「なぜこの額か」を聞かれた

ここからは、役場で国民健康保険と後期高齢者医療の担当をしていた立場から、実際のやりとりを踏まえてお伝えします。

納付書や決定通知書が届く時期になると、窓口には保険料についての問い合わせが集まりました。そのとき最初に出てくるのは「高いので下げてほしい」というお話ですが、続けてうかがうと、多くの方が知りたいのは金額の根拠でした。

国民健康保険料は、世帯の加入者ごとに所得に応じた部分と、加入者数に応じた部分などを足し合わせて計算されます。厚生労働省も、算定方法や徴収の期限・方法は各市町村の条例で定められていると説明しています。

つまり、同じ所得でも住んでいる市区町村が違えば金額は変わります。近隣の方と比べて高い・安いと感じても、それだけでは判断できないというのが実際のところでした。

3.1 軽減が適用されているかは保険料決定通知書で確かめられる

軽減が適用されている場合、納付書や決定通知書に「7割軽減」「5割軽減」といった表示が入るのが一般的です。まずはお手元の書類を見て、適用の有無を確認してみてください。

表示の形式は市区町村によって異なるため、見当たらないときは窓口に問い合わせると確認できます。

4. 住民税が非課税でも、保険料の軽減とは基準が違う

窓口でよくあった行き違いが、国民健康保険料の軽減と、住民税が非課税になる基準を同じものとして考えてしまうケースです。

この2つは別の制度で、判定に使う基準額も計算の仕方も異なります。住民税が非課税だから保険料の軽減も必ず受けられる、あるいはその逆が成り立つとは限りません。

住民税非課税世帯の基準については、LIMOの記事「【住民税非課税世帯】給与・年金の収入基準《ボーダーラインはいくら?》知っておきたい5つの優遇制度!制度の基本とファクトを網羅した完全ガイド」から要点を引用して確認しておきましょう。

一定以下の所得水準に該当する世帯は「住民税非課税世帯」として扱われ、さまざまな公的支援を受けられる可能性があります。

出所:【住民税非課税世帯】給与・年金の収入基準《ボーダーラインはいくら?》知っておきたい5つの優遇制度!制度の基本とファクトを網羅した完全ガイド

なお、住民税の課税・非課税の判定は税の担当部署が行っています。保険料の軽減について尋ねる窓口とは分かれていることが多いので、それぞれの担当に確認していただくのが確実です。

5. 払えないと感じたら、納期限の前に相談する

軽減の対象にならず、それでも支払いが難しいという場合はどうすればよいのでしょうか。3つの視点でお伝えします。

5.1 減免は自治体ごとの制度なので窓口で確認する

災害にあった、失業した、事業がうまくいかず所得が大きく減ったといった事情がある場合、市区町村の条例に基づく減免を受けられることがあります。

こちらは軽減と違って、申請をしないと適用されません。要件も減額の幅も自治体ごとに定められているため、一律の説明ができない部分です。該当しそうかどうかを含めて、国民健康保険の窓口に相談してみてください。

5.2 分割での納付や納期限の相談もできる

減免に当てはまらない場合でも、納付の方法について相談できることがあります。窓口では、生活の状況をうかがったうえで納付の計画を一緒に考える対応をしていました。

大切なのは、納期限を過ぎてから動くのではなく、支払いが難しいと感じた段階で連絡することです。早い段階のほうが選べる方法は多くなります。

5.3 世帯の構成が変わったときは届け出を見直す

保険料は世帯単位で計算されるため、加入者の増減で金額が変わります。就職して会社の健康保険に入った、転出した、亡くなったといった変更があったときは、届け出が済んでいるかを確認してください。

届け出が遅れると、実際には加入していない人の分まで計算された保険料の納付書が届くことがあります。手続きが済めば精算されますが、その間の負担感は小さくありません。

6. まとめにかえて

国民健康保険料を下げる仕組みには、所得に応じて自動的に判定される軽減と、申請が必要な減免があります。令和8年度は軽減判定に使う一定額が引き上げられ、5割軽減は31万円、2割軽減は57万円になりました。

一方の減免は、各市区町村が条例で定めている制度です。災害にあった、収入が大きく減ったといった個別の事情があるときに、申請にもとづいて判断されます。自動では適用されないという点が、軽減との大きな違いです。

不安に感じる必要はありません。まずは納付書を手元に置いて、いまの保険料がどう計算されているかを確認するところから始めてみてください。そのうえで疑問が残るようでしたら、お住まいの市区町村の国民健康保険の窓口にお尋ねいただくのが確実です。制度の内容は法令の改正で変わることもあるため、最新の取り扱いは必ず窓口でご確認ください。

参考資料

太田 彩子