自営業やフリーランスの方、退職後に勤務先の健康保険を離れた方のもとには、6月頃に国民健康保険料の納付書が届きました。10回払いを採用している自治体であれば、8月はちょうど第3期にあたります。
2026年度の国民健康保険料には、これまでになかった変更があります。年間の上限額が引き上げられただけでなく、令和8年政令第2号による改正で「子ども・子育て支援金等課税額」という区分が新しく加わり、保険料の構成が3区分から4区分になったのです。
この記事では、国民健康保険の基本、4区分になった保険料の決まり方、2026年度の上限額、そして8月に切り替わるものの順に確認していきます。
なお、市区町村によっては「国民健康保険税」という名称で徴収していますが、仕組みは基本的に同じです。以下では「国民健康保険料」と表記します。
- 2026年度から保険料の区分に「子ども・子育て支援金分」が加わり、3区分から4区分に
- 年間の上限額は従来の3区分で109万円から110万円へ。子ども分3万円を含めると総額113万円
- 高額療養費の自己負担限度額の区分は、保険料とは別に8月1日で切り替わる
1. 国民健康保険とは?基本のしくみをやさしく整理
はじめに、国民健康保険の制度を確認していきます。勤務先の健康保険等と何が違うのかは、加入して初めて気づく方も多いところです。
1.1 国民健康保険の加入対象となる人
国民健康保険は、職場の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)や後期高齢者医療制度に加入していない方を対象とした公的医療保険です。具体的には次のような方が該当します。
- 自営業・フリーランスとして働く方
- 会社を退職し、任意継続や家族の被扶養者にならなかった方
- パート・アルバイトで職場の健康保険に加入していない方
- 無職の方(学生を含む)
運営は加入者が納める保険料と、国や地方自治体の公費負担によって支えられています。医療機関を受診したときに原則3割の自己負担で済むのは、この公的医療保険があるためです。
筆者が元公務員として国民健康保険の実務を対応していた当時は、「退職してから手続きを忘れていた」という相談も少なくありませんでした。
国保への切り替えは原則14日以内が手続きの期限とされており、遅れている間も保険料は遡って課されます。退職や離職のタイミングでは、早めに市区町村の窓口で手続きを済ませておきましょう。
2. 【令和8年度から4区分に】国民健康保険料の決まり方を整理
次に、保険料の計算方法を見ていきます。2026年度はここに変更がありました。
2.1 3区分に「子ども・子育て支援金分」が加わった
国民健康保険料は、厚生労働省が示す枠組みのもとで各市区町村の条例によって具体的な料率が定められます。従来は次の3区分の合計で年間の保険料が決まっていました。
- 医療給付費分(医療分):加入者の医療費に充てられる部分
- 後期高齢者支援金等分(支援金分):後期高齢者医療制度を支えるための負担分
- 介護納付金分(介護分):40歳以上65歳未満の方が負担する介護保険分
2026年度からは、子ども・子育て支援金制度の開始に伴って「子ども・子育て支援金等課税額(子ども分)」が加わり、4区分になりました。子育て世帯への支援を社会全体で支えるための拠出で、国民健康保険の加入者も対象になります。
2.2 応能割と応益割の組み合わせで計算
各区分の保険料は、負担能力に応じた部分と、受益に応じた部分を組み合わせて算出されます。
- 応能割:所得割(前年の所得に応じて課される)/資産割(固定資産税額に応じて課される。採用していない自治体もあります)
- 応益割:均等割(加入者1人あたり一律)/平等割(1世帯あたり一律。採用していない自治体もあります)
世帯単位で被保険者ごとに各区分の保険料を計算し、それらを合算した金額が年間の国民健康保険料になります。所得が一定以下の世帯には均等割額と平等割額の軽減があり、世帯の所得に応じて7割・5割・2割が減額されます。
具体的な料率は自治体ごとに異なります。たとえば水戸市の令和8年度の国民健康保険税は、医療保険分が所得割7.85%・均等割3万1600円、後期高齢者支援金分が所得割3.50%・均等割1万3700円、介護納付金分が所得割2.37%・均等割1万6300円、そして新設の子ども・子育て支援納付金分が所得割0.23%・均等割1700円となっています。
お住まいの市区町村の通知書や窓口で確認してみてください。
3. 【2026年度】上限額は110万円へ、子ども分を含めると113万円
ここからが今回の改正の中身です。賦課限度額とは、保険料がこれ以上は増えないように設けられた年間の上限を指します。
3.1 従来の3区分は109万円から110万円へ
2026年度の賦課限度額は、区分ごとに次のように定められました。
- 基礎課税額(医療分):66万円から67万円へ1万円の引き上げ
- 後期高齢者支援金等課税額:26万円(据え置き)
- 介護納付金課税額:17万円(据え置き)
- 子ども・子育て支援金等課税額:3万円(新設)
従来の3区分の合計は109万円から110万円になりました。ここに新設された子ども分3万円が加わりますので、上限に到達する世帯にとっての総額は113万円ということになります。
賦課限度額は段階的な引き上げが続いており、令和3年度の99万円から令和8年度の110万円まで、5年間でおよそ11万円増えました。
医療費の増加をふまえ、相対的に所得が高い世帯にも応分の負担を求める狙いがあります。一方で、上限に到達しない中間所得層の保険料水準を抑える側面もあります。
3.2 上限に到達するのはどんな世帯か
賦課限度額に到達するのは、加入者数や所得構成にもよりますが、おおむね事業所得や給与所得などの合計が高い水準にある世帯です。
退職して国保に加入した50歳代後半から60歳代の方でも、不動産所得などで前年の所得が高くなった年は、上限近くまで保険料が上がることがあります。かつて役場で保険料賦課を担当してきた立場から見ると、所得が前年比で大きく動いた年は、想定外の金額に驚く方が多くいました。
区分が増えたと聞くと身構えてしまいますが、通知書には区分ごとの内訳が記載されています。医療分・支援金分・介護分に加えて子ども分の行が増えていますので、まずはそこを見比べてみてください。分からないところは市区町村の窓口で教えてもらえます。


