個人住民税を自分で納める「普通徴収」の納期は、地方税法で原則として6月・8月・10月・翌年1月と定められています。10月は、その納期のひとつ。納付書が届く人もいれば、届かない人もいる時期です。
もし手元に納付書が来ないのであれば、住民税非課税世帯として使える制度があるかもしれません。この枠組みの支援には、話題になりやすい一時金だけでなく、日々の負担を継続的に抑える仕組みも含まれています。
この記事では、代表的な8つの優遇措置を確認したうえで、国民年金保険料の免除を実際に使った場合、将来の年金額がどう変わるのかも試算しました。
なお、住民税非課税世帯を対象とした優遇措置・年収の境界線については、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
- 住民税非課税世帯には、医療・介護・教育まで8つの優遇措置がある
- 国保料や介護保険料は自動適用だが、国民年金の免除は申請しないと始まらない
- 神戸市の例では、単身なら給与年収110万円・年金155万円が分かれ目
1. 住民税非課税世帯の8つの優遇措置|医療・介護から教育費まで
住民税非課税世帯とは、世帯にいる全員の所得が、自治体の定める基準額に届いていない世帯のことです。
こうした世帯には、臨時の給付金とは別の枠組みで優遇制度が用意されています。代表的な8つを見ていきましょう。
【一覧表】住民税非課税世帯への優遇措置1/4
LIMO編集部作成
1.1 1.国民健康保険料が7割・5割・2割軽減される
所得に応じて応益分保険料(均等割・平等割)が軽減されます。自治体が自動的に適用するため申請は不要で、年間数万円の差が出ることもあります。
1.2 2.65歳以上の介護保険料が減額される
65歳以上の第1号被保険者が対象です。減額の幅は自治体ごとに異なりますが、負担が大きく下がるケースもあります。
1.3 3.国民年金保険料の免除・納付猶予を申請できる
所得に応じて、全額免除・一部免除・納付猶予のいずれかを申請できます。手続きが必要ですが、免除された期間の一部は将来の年金額に反映されます。未納にしておくのとは、この点が決定的に違います。
1.4 4.高額療養費の自己負担上限額が下がる
1カ月あたりの医療費の上限額が、課税世帯より低い水準に設定されます。入院や手術が必要になったときの負担が変わります。
1.5 5.NHK受信料が全額または半額免除になる
主な対象は、世帯に障害のある方がいる場合や生活保護を受給している場合です。
1.6 6.0〜2歳児の保育料が無料になる
3歳以降は所得を問わず無償化されているため、この2つを合わせれば就学前の保育料負担はほぼなくなります。
1.7 7.大学など高等教育の授業料減免と給付型奨学金
授業料・入学金の減免に加え、返済のいらない給付型奨学金も支給されます。経済的な事情で進学を断念せずに済むよう設けられた制度です。
1.8 8.水道料金やゴミ袋など、自治体ごとの独自支援
水道の基本料金免除、指定ゴミ袋の無料配布、公共交通の無料乗車券など、内容も金額も地域によってまったく異なります。
住民税非課税世帯と聞くと年金暮らしの高齢者を思い浮かべがちですが、失業中の方、育児休業で収入が減った世帯、所得が基準を下回るフリーランスなども該当し得ます。
では、どのくらいの収入までなら対象になるのでしょうか。判定の基準額は市区町村ごとに設定されているため一律ではありませんが、兵庫県神戸市の例では、単身世帯の非課税ラインは給与収入のみなら年収110万円以下、65歳以上で年金収入のみなら年収155万円以下です。同一生計配偶者や扶養親族がいる世帯では、この基準額が引き上げられます。
2. 【試算】国民年金保険料を10年間「全額免除」にすると、年金額はどう変わるか
8つの優遇措置のうち、将来の家計に最も長く効いてくるのが国民年金保険料の免除です。ただし「免除された分は年金が減るのでは」と気になる方も多いところ。実際に数字にしてみましょう。
20歳から60歳までの480カ月のうち、120カ月(10年)を全額免除、残り360カ月を納付したケースで試算します。全額免除の期間は、平成21年4月分以降であれば年金額に2分の1が反映されます。2026年度の老齢基礎年金の満額7万608円(480カ月すべて納付した場合)をもとに計算しました。
2.1 10年分を「全額免除」にした場合と「未納」にした場合の老齢基礎年金(月額)
- 480カ月すべて納付:月7万608円
- 360カ月納付+120カ月を全額免除:月6万1782円(=7万608円×420カ月÷480カ月)
- 360カ月納付+120カ月が未納:月5万2956円(=7万608円×360カ月÷480カ月)
免除を申請していたかどうかで、月額に8826円の差が出ます。年間で10万5912円、65歳から20年受け取れば約212万円の違いです。
しかも、免除された10年分の保険料そのものを払わずに済んでいます。2026年度の国民年金保険料は月額1万7920円ですから、120カ月分で約215万円。払わずに済んだうえで、未納にした場合より年金も多い、という関係になります。
なお、この試算は保険料額・年金額を2026年度の水準で固定した簡易なものです。実際の年金額は毎年度改定されますし、免除が認められるかどうかは住民税の課税・非課税とは別に、免除制度独自の所得基準で審査されます。また、家計に余裕が出たときは10年以内であれば追納も可能で、追納すれば満額に近づけられます。

