2. 「住民税非課税世帯」とは何か|均等割と所得割の2層構造

非課税の条件を読み解くには、住民税そのものの成り立ちを押さえておく必要があります。

2.1 住民税は「均等割」と「所得割」でできている

住民税は「均等割」と「所得割」の2層構造2/4

個人住民税のしくみ

出所:総務省「個人住民税」

住民税は、住んでいる都道府県と市区町村に納める地方税です。ごみ収集や消防、学校など、地域のサービスを支える財源として使われています。

個人が負担する住民税は、次の2つで構成されています。

  • 均等割:所得の金額にかかわらず、一定以上の所得がある方に一律で課される税金
  • 所得割:前年の所得金額に応じて課される税金

この2つのどちらも課されない状態が「住民税非課税」です。そして世帯にいる全員がその状態にあるとき、初めて「住民税非課税世帯」となります。片方だけ、あるいは世帯の一部だけでは該当しません。

なお「所得割だけが非課税」という中間の状態もあります。これを給付金の対象に含めるかどうかは自治体の裁量によるため、住んでいる市区町村で確認する必要があります。

田中 友梨
「遺族年金をもらっているから非課税にはならないだろう」と考えている方は少なくありません。ですが遺族年金や障害年金は非課税所得にあたり、いくら受け取っていても住民税の判定に使う合計所得金額には含まれません。この点を知らないまま、最初から確認を諦めてしまうのは惜しいところです。

3. 住民税が非課税になる3つの条件|1つでも当てはまれば対象

住民税が非課税と扱われるのは、次のいずれかに該当する場合です。3つすべてを満たす必要はありません。

  1. 生活保護法による生活扶助を受けている
  2. 障害者、未成年者、寡婦またはひとり親のいずれかに該当し、前年の合計所得金額が135万円以下である
  3. 前年の合計所得金額が、居住する市区町村の定める基準額以下である

1と2は全国共通の基準です。ところが3の所得基準額は市区町村ごとに設定されているため、自分の住む自治体の数字を調べなければ判断できません。

4. 【神戸市の例】非課税ラインを決める計算式

所得の基準額は自治体によって違うと述べましたが、実際にどう決まるのか。兵庫県神戸市が公表している計算式で確認します。

住民税(市県民税)がかからない人3/4

住民税(市県民税)がかからない人

出所:神戸市「住民税(市県民税)がかからない人」

35万円 ×(本人 + 同一生計配偶者(※)+ 扶養親族の数)+ 10万円 + 21万円

この式で気をつけたいのが末尾の21万円です。同一生計配偶者(※)または扶養親族がいる世帯にだけ加算されるもので、単身世帯には足せません。

※同一生計配偶者:納税者と生計を一つにする配偶者で、前年の合計所得金額が58万円以下の方を指します。

4.1 《試算》扶養親族が1人増えると、非課税ラインはいくら上がる?

上の計算式に人数を入れていくと、扶養が増えたときの動き方が見えてきます。

  • 単身(1人):35万円×1人+10万円=45万円(21万円の加算なし)
  • 配偶者あり(2人):35万円×2人+10万円+21万円=101万円(+56万円)
  • 配偶者と子1人(3人):35万円×3人+10万円+21万円=136万円(+35万円)
  • 配偶者と子2人(4人):35万円×4人+10万円+21万円=171万円(+35万円)

最初の1人で56万円と大きく動き、2人目以降は1人あたり35万円ずつ上がっていく形です。21万円の加算が最初の1人のときにだけ効くため、この差が生まれます。

扶養が1人いるかどうかで判定が大きく変わるということです。あくまで神戸市の基準に基づく計算であり、他の自治体では数字が異なります。

5. 【神戸市の例】給与収入・年金収入別の非課税ライン

非課税の基準を動かすのは、扶養家族の人数だけではありません。所得は収入から必要経費や控除を差し引いて算出するため、収入の種類によって必要な年収額も変わります。神戸市の基準を年収に置き換えてみましょう。

5.1 単身世帯の場合

合計所得金額が45万円以下の方が対象です。

  • 給与収入のみの場合:年収110万円以下
  • 年金収入のみの場合(65歳以上):年収155万円以下
  • 年金収入のみの場合(65歳未満):年収105万円以下

5.2 配偶者や扶養家族がいる場合

合計所得金額が101万円以下の方が対象となります。

  • 給与収入のみの場合:年収166万円以下
  • 年金収入のみの場合(65歳以上):年収211万円以下
  • 年金収入のみの場合(65歳未満):年収171万3334円以下

単身であれば、給与だけなら年収110万円以下、65歳以上で年金だけなら年収155万円以下が分かれ目です。

ここに同一生計配偶者や扶養親族が加わると、基準額は引き上げられます。65歳以上・年金収入のみの世帯では、扶養が1人いるだけで非課税ラインが年収211万円以下まで広がります。

家族構成と収入の種類。この2つの組み合わせによって、課税されるかどうかの境界線は大きく動くということです。

田中 友梨
給与と年金では、同じ非課税ラインでも必要な年収額が45万円ほど違います。公的年金等控除のほうが差し引ける額が大きいためです。ご自身がどちらの収入で判定されるのかを確かめたうえで、この表を見てみてください。

6. 【罠1】無申告のままだと、給付金の案内が届かないことがある

ここからは、受け取れるはずの給付金を逃してしまう5つのパターンを見ていきます。

給付金のニュースを見て「去年は収入がなかったのだから、何もしなくても振り込まれるはずだ」と構えている方がいます。ここに最初の罠があります。

自治体は、勤務先が出す「給与支払報告書」や年金機構からの情報をもとに住民の所得を把握しています。逆に言えば、そうした情報がどこからも入ってこない状態が続けば、行政側は収入の有無を確認できません。非課税世帯としての認定や事務処理に支障が出るおそれがあります。

課税の状況が確定していなければ、給付金の判定は円滑に進みません。支給が遅れたり、確認の連絡が入ったりすることになります。収入がなかった年ほど、住民税の申告(いわゆる0円申告)を済ませておく意味があるのです。

6.1 【防衛策】無収入でも0円申告を済ませておく

誰かの扶養に入っているのでなければ、収入がゼロだった年でも自治体に「住民税(市・県民税)の申告」を出しておきましょう。所得がないことが公的な記録として残り、国民健康保険料や介護保険料が適正な額に設定されます。給付金の案内や各種手続きも滞りなく進むようになります。

田中 友梨
「収入がないから手続きは不要」と考えていると、自治体が所得を把握できず、課税・非課税証明書が発行できません。給付金の判定にも時間がかかります。単身で無収入の方や、前年から状況が変わった方は、市町村の窓口や公式サイトを確認したうえで、必要なら0円申告を済ませておきましょう。

7. 【罠2】別居する子どもの扶養に入っていると、非課税でも対象外になる

一人暮らしの親の年金収入が一定基準(東京23区などでは155万円以下)に収まっていれば、その世帯は住民税非課税世帯として臨時給付金を受け取れるはずです。ところが、ここで壁にぶつかることがあります。

現役世代の子どもが、仕送りをしている関係で親を税法上の扶養親族(扶養控除の対象)に入れているケースです。この場合、親の世帯に給付金は支給されません。政府の給付金制度が「世帯全員が非課税であっても、住民税が課税されている他の親族の扶養に入っている人のみの世帯」を一律で対象外と定めているためです。

子ども側の節税としては正当な手続きでも、結果として親の受給機会を失わせてしまう。そういう構図になり得ます。

7.1 【防衛策】家族全体の手取りで比較する

親を扶養に入れて子どもの所得税・住民税を抑えるか、扶養から外して親自身が給付金を受け取るか。判断基準は「どちらが家族全体の手取りを増やすか」です。両方を計算して並べてみましょう。

田中 友梨
別居の親を税法上の扶養に入れること自体は、生計同一と所得の要件を満たせば合法的な節税手段です。ただし給付金の受給要件に世帯全員の課税状況が絡む場合、低所得者向け給付金や高額療養費・介護保険料の軽減措置から外れる可能性があります。一時的な受給権だけでなく、医療・介護負担の増減や継続的な節税効果まで含めて判断したいところです。

8. 【罠3】iDeCoや医療費控除を積んでも、非課税世帯にはなれない

「iDeCo(個人型確定拠出年金)や医療費控除、生命保険料控除を使えば税金が下がる」という情報は広く出回っています。そこから「控除を増やして所得を下げれば非課税世帯になれるのでは」と考える方がいますが、これは仕組みを取り違えています。

非課税かどうかの判定に使われるのは、前年の「合計所得金額」や「総所得金額等」です。これらは、iDeCoや医療費控除、生命保険料控除といった所得控除を差し引く【前】の段階で確定します。控除をどれだけ積み上げても、判定に使う数字そのものは動きません。

8.1 【防衛策】節税と非課税判定は別物と理解する

所得控除は納める税額を減らす仕組みであって、合計所得金額を削るものではありません。節税に取り組むことと、非課税世帯の判定ラインを下げることは、まったく別の話だと切り分けておきましょう。

田中 友梨
給与所得控除や公的年金等控除、青色申告特別控除などは、収入から所得を計算する段階で差し引かれます。一方で医療費控除や生命保険料控除、iDeCoの掛金は、合計所得金額を出した後、課税所得を算出する段階で引かれる仕組みです。判定基準になるのは前者を引いた後・後者を引く前の数字ですから、「節税すれば非課税世帯になれる」という理解で無理な掛金を払わないよう気をつけてください。

9. 【罠4】保険の満期金や解約返戻金で、1年だけ課税世帯になる

普段は年金生活で非課税世帯だったシニアが、ある年だけ基準から外れることがあります。原因は、まとまったお金を受け取ったタイミングです。

自宅の修繕費を用意するために生命保険を解約して解約返戻金を受け取った、長年払い込んだ養老保険が満期を迎えた。こうした受け取りは、その年の「一時所得」として扱われます。

一時所得の計算は、受取総額から払込保険料と最高50万円の特別控除を引き、残った金額をさらに半分にするというものです。この結果に公的年金などの他の所得を足した額がボーダーラインを超えれば、翌年度から課税世帯に変わります。

9.1 【防衛策】受け取る前に一時所得を計算する

課税世帯になれば、給付金の対象から外れるだけでなく、国民健康保険料や介護保険料の算定基準額も上がります。受け取る前に「(受取額 - 払込保険料 - 50万円) × 1/2」を計算し、年金などの所得と合算してボーダーラインを超えないか確認しておきましょう。

金額が大きいときは、一括ではなく年金形式で受け取るという選択肢もあります。受け取り方を変えた場合に税と保険料がどう動くのか、保険会社と自治体の両方に確認しておくと安心です。

田中 友梨
一時所得には最大50万円の特別控除があるため、差引利益が50万円以下なら所得税の課税対象にはなりません。ただし50万円を超えて確定申告をすると、控除後の金額の2分の1が総所得金額等に算入されます。翌年の所得証明の数字が上がり、国保税や医療保険料・介護保険料、住民税まで連動して増える可能性があります。「まとまったお金が入った」で終わらせず、翌年以降の負担までセットで試算しておくことが家計防衛の基本です。

10. 【罠5】引っ越すと、給付金の申請先と基準日が分かりにくくなる

年の途中で転居した場合に押さえておきたいのは、「その給付金の基準日はいつか」「申請先はどの自治体か」の2点です。

ややこしいのは、判定する自治体と申請する自治体が食い違うことがある点です。課税・非課税の判定は原則として「その年の1月1日に住んでいた自治体」が行いますが、給付金の実施主体と申請先は「その給付金で定められた基準日時点にお住まいの市区町村」になります。

基準日より前に引っ越していれば、申請先は転居先の自治体です。ただしその自治体は前の住所地に課税状況を照会しなければならず、同じ場所に住み続けている人と比べて支給までに時間がかかります。

10.1 【防衛策】転送サービスと住民票異動を早めに済ませる

自治体から届く通知や確認書を見落とさないよう、転居後は次の3点を速やかに済ませておきましょう。

  • 郵便局での転居・転送サービスの継続
  • 転居に伴う住民票異動手続きの完了
  • 引越し前後の自治体における独自給付施策の確認

11. 非課税世帯かどうかを正しく調べる2つの方法

インターネット上の「非課税判定チェッカー」で分かるのは目安までです。確実に判断するなら、公的な書類を見るほかありません。方法は2つあります。

11.1 6月に届く決定通知書か、役所発行の課税証明書を確認する

  • 住民税の決定通知書を見る: 毎年6月頃に届く通知書で、住民税額(所得割・均等割)の欄が「0円」またはアスタリスク等で記載されていれば非課税です。
  • 課税証明書(非課税証明書)を取得する: お住まいの市区町村の窓口や、マイナンバーカードを使ったコンビニ交付で最新年度の証明書を取得し、税額が0円であることを確認します。

12. 55歳で給与が減ると分かったら。ファイナンシャルアドバイザー・田中友梨と組み立てた、手取り減への備え

50代が近づくと、役職定年や再雇用制度により将来の給与が減る時期を意識し始める方が多いようです。これまで順調に増えてきた収入が下がることに戸惑い、退職後の生活が成り立つのかと不安を感じるという声もよく聞かれます。ここからは、給与の減額時期が見えてきた50代の会社員の方の事例をもとに、考え方を整理していきます。

12.1 将来の収入減を前に、何をすべきか決めかねていた50代

50代のお客様
55歳で給与が減額されることが見えていて、退職後の生活に漠然とした不安があります。将来のシミュレーションをしてみて、「理想と現実の違いを見た」というのが正直なところです。「月々もう少しもらえたら嬉しい」——減ってしまう手取りをどう補えばいいのかが、いまいちばんの課題です。

これまで順調に増えてきた収入が下がる。その事実を数字で見た瞬間に戸惑いを覚える方は少なくありません。役職定年や再雇用制度が視野に入る時期の相談では、この戸惑いから話が始まることがよくあります。

12.2 【ファイナンシャルアドバイザー・田中友梨が回答】手取りが変わる年を知り、収入源を足す

田中 友梨
「収入が減るのだから仕方ない」と諦める前に、手取りが変わる年を自分のカレンダーに書き出し、資産からも定期的に収入が入る仕組みを持ち、安定を狙う部分と成長を狙う部分を分けておく。この三つが揃えば、退職後の家計には手を打つ余地が生まれます。

12.3 ポイント1:手取りが変わる年を、カレンダーに落とし込む

まず見直したいのは、将来の収入の波を具体的に把握することです。この方も、60歳で退職した場合と65歳まで働いた場合のシミュレーションを比較し、長く働くことの意味をあらためて確認されました。いつ給与が減り、いつから年金を受け取るのか。手取りが変わる年を自分のカレンダーに落とし込んでみることが、対策を練るための土台になります。漠然とした不安も、数字として並べてみればどこに手を打つべきかが見えてきます。もっとも、何歳まで働けるかは健康状態や職場の制度に左右されるため、思いどおりにならない可能性も織り込んでおく必要があります。年金の受給を開始する時期によっても受け取り方は変わりますから、複数のパターンを並べて比べておくと判断の余地が広がります。

12.4 《試算》給与が2割減ると、年間の手取りはどれだけ変わる?

給与の減少が家計にどの程度の影響を及ぼすのか、具体的な数字で確認しておきましょう。55歳時点で年収600万円の方が、2割減の480万円になるケースを想定します。あくまで一定の前提を置いた試算であり、実際の減額幅は勤務先の制度によって異なります。

  • 減額前の年収:600万円
  • 減額後の年収:480万円(2割減)
  • 年間の差:120万円(月額に直すと10万円)
  • 60歳までの5年間の累計:600万円

仮にこの年120万円を、利回り2%の資産からの収入だけで補おうとすると、単純計算で6000万円の元本が必要になります。利回り3%でも4000万円です。資産からの収入だけで穴を埋めるのは、多くの方にとって現実的ではないことが分かります。

だからこそ、働く期間を延ばす、支出を見直す、資産からの収入を足すという複数の手を組み合わせる発想が要ります。税や社会保険料は考慮していない概算です。

12.5 ポイント2:資産から定期的な収入を得る仕組みを持つ

そのうえで検討したいのが、給与の減少分を補うための仕組みづくりです。この方も、定期的に利息を受け取れる資産を持つという方向に関心を向けられました。労働収入が減っても、資産からの収入が定期的に入る形をつくっておく。それは退職後の生活を支える一つの選択肢になります。ただし、こうした資産にも注意点があります。償還までの期間が長いものほど、金利が上昇した局面で価格が大きく下がりやすくなります。途中で売却すれば、その時点の価格次第で元本を下回ることもあります。また、利率が高いものは発行体の信用力に応じてその水準になっている場合があり、利回りの高さだけで選ぶのは避けたいところです。外貨建てであれば為替の影響も受けます。どの期間、どの発行体、どの通貨を選ぶかは、その資金をいつ使う予定なのかと、どこまで値動きを受け入れられるかによって変わります。

12.6 ポイント3:安定収入を狙う資産と、成長を狙う資産を分ける

また、資産の役割を分けて考えることも大切です。定期的な収入を狙う部分と、長期的な成長を目指す部分を組み合わせると、運用全体の振れ幅は抑えやすくなります。手元の資金をすべて同じ方法で運用するのではなく、目的に応じて分けておく。これはリスク管理の基本です。もっとも、安定を狙う側の資産も価格が動かないわけではないため、「こちらは減らない」と考えるのは避けたいところです。含み益が出るとつい利益を確定したくなりますが、使う予定のない資金であれば、急いでその必要があるとは限りません。ただしこれは、相場が上がり続けるという意味ではありません。判断の軸になるのは相場の見通しではなく、その資金をいつ使うのかです。使う時期が近づいてきた資金から順に、値動きの影響を受けにくい形へ移していく。その考え方もあわせて持っておくと安心です。

将来の収入減を前に、どうすればいいのかと立ち止まってしまう。そうした反応をされる方は少なくありません。しかし、悲観するしかないと決めつける前に、手取りが変わる時期を把握し、安定収入を狙う資産と成長を目指す資産の役割を一つずつ整理してみる。そこまで進めば、退職後の暮らしは輪郭を持った計画として描けるようになります。なお、適した資産の種類も配分も、収入の見通しや退職の時期、家族構成によって変わります。債券をはじめとする運用商品を検討される際は、発行体の信用力や償還までの期間、手数料、途中売却時の扱いを確認したうえで、個別の事情に応じて専門家にご相談ください。

13. まとめ|制度の死角を知り、もらえるはずの優遇措置を取りこぼさない

住民税非課税世帯を対象とした制度は、医療・介護・日々の生活費の負担を確かに軽くしてくれます。

ただし、収入が少ないというだけで自動的にすべてが適用されるわけではありません。申告を済ませて受給資格を確保すること、家族の扶養控除の状況を確かめること、判定基準となる所得の変動に注意を払うこと。この3つが、取りこぼしを防ぐ要になります。

制度のルールを正しく把握し、使えるものを確実に使う。そのために、世帯全体の状況を定期的に見直しておきましょう。

14. 住民税非課税世帯に関するよくある質問

制度を使ううえでは、目先のメリットだけでなく「将来への影響」や「資産の扱い」も気になるところです。よく寄せられる3つの疑問に順に答えます。

14.1 Q1. 非課税になると将来の年金額は減る?

A. 国民年金保険料の「免除制度」を使うと、将来受け取る年金額は全額納付した場合より少なくなります。ただし、何もせず「未納」にしておくよりは、はるかに有利です。

住民税非課税世帯であれば、国民年金保険料の免除(全額・半額など)を申請できます。「全額免除」が認められた期間は、保険料を1円も払っていなくても、将来の年金額に「2分の1」が国庫負担(税金)として反映されます。

申請せず未納のままにすると、その期間は年金額にまったく反映されません。加えて、万一のときに障害年金や遺族年金を受け取れなくなるリスクも生じます。

なお、家計に余裕が出たときは、10年以内であれば免除分を後から納める(追納する)ことが可能です。追納すれば、受給額を満額に近づけられます。

14.2 Q2. 預貯金が多くても非課税世帯になれる?

A. なれます。住民税の課税判断は「前年の所得」を基準としているため、その時点の貯蓄額や資産の有無は直接影響しません。

住民税は「フロー(その年にどれだけ稼いだか)」に課される税金であり、「ストック(どれだけ持っているか)」を見るものではないからです。数千万円の預貯金や不動産があっても、前年の所得が自治体の基準以下であれば非課税世帯と認定されます。

ただし、次の2点には注意が必要です。

  • 利子・配当所得: 預貯金の利子や株式の配当金、売却益などが一定額以上あり、確定申告をした場合は「所得」と見なされ、非課税の基準を超えてしまうことがあります。
  • 特定の給付金: 自治体が独自に実施する給付金制度などでは、所得制限に加えて「資産(預貯金額)が一定以下であること」を条件とするケースがまれにあります。

14.3 Q3. 年度の途中で世帯主が亡くなった場合、非課税世帯の判定はどうなりますか?

A. 住民税は「毎年1月1日時点」の世帯状況と前年の所得で判断します。年度の途中で世帯主が亡くなり世帯構成が変わっても、その年度の課税状況は変わりません。翌年度から、新しい世帯主の前年所得をもとに判定し直されます。ただし臨時給付金などには「基準日(12月1日時点など)」が別に定められているため、自治体の窓口での確認が必要です。

参考資料

田中 友梨