国民健康保険料の納付書が届いて、思っていたより高いと感じたことはないでしょうか。会社の健康保険と違って給与から天引きされないぶん、金額がそのまま目に入ります。
厚生労働省が公表した「令和8年度 税制改正の概要(厚生労働省関係)」では、国民健康保険料(税)の軽減判定に使う一定額が引き上げられました。5割軽減で30万5000円から31万円へ、2割軽減で56万円から57万円へという内容です。
この記事では、国民健康保険料が自動的に下がる「軽減」と、申請して下げる「減免」の違いを確認していきます。
- 国民健康保険料には、世帯の所得に応じて自動的に判定される7割・5割・2割の軽減がある
- 令和8年度は軽減判定に使う一定額が引き上げられ、5割軽減は31万円、2割軽減は57万円になった
- 減免は各市区町村が条例で定める制度で、申請が必要。自動で判定される軽減とは別の仕組み
なお、住民税非課税世帯の収入基準に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 国民健康保険料には自動で下がる仕組みがある
まず押さえておきたいのが、保険料を下げる仕組みが1種類ではないという点です。手続きの要否がまったく違うので、ここを分けて理解しておくと窓口でのやりとりがスムーズになります。
1.1 7割・5割・2割の軽減は申請がいらない
国民健康保険料のうち、加入者一人あたりで計算される均等割などの部分には、世帯の所得が低い場合に7割・5割・2割を減額する仕組みがあります。これは法令に基づくもので、全国共通の仕組みです。
この軽減は、原則として申請を出す必要がありません。世帯の所得の状況から市区町村が判定し、納付書に反映されます。
ただし、世帯の中に所得の申告をしていない人がいると、所得を把握できないため判定ができません。収入がなかった年でも申告が必要になる場合があるので、この点はお住まいの市区町村に確認しておくとよいでしょう。
1.2 令和8年度は判定の一定額が引き上げられた
軽減の判定は、世帯の所得を基礎控除額の43万円と、加入者の人数に応じた一定額を足した金額と比べて行われます。この一定額が、令和8年度に引き上げられました。
5割軽減は30万5000円から31万円へ、2割軽減は56万円から57万円へという変更です。加入者の人数に掛ける金額なので、人数が多い世帯ほど基準額が上がることになります。
基準額が上がるということは、これまで軽減の対象外だった世帯が対象に入る場合があるということです。世帯の状況によっては、前年度と所得が変わらなくても軽減が適用されることがあります。
2. 「軽減」と「減免」は根拠も手続きも違う
国民健康保険料の負担を下げる仕組みには、軽減と減免の2つがあります。名前は似ていますが、よりどころになる決まりも手続きも別のものです。
2.1 軽減は所得で自動的に判定される
7割・5割・2割の軽減は、法令で定められた所得の基準にもとづく仕組みです。世帯の所得が基準を下回っていれば、申請をしなくても均等割と平等割が減額されます。判定には世帯主と加入者の前年の所得を使います。
自動で判定されるとはいえ、前提として所得の申告が済んでいる必要があります。収入がなかった年でも申告をしていないと判定ができず、本来なら対象になるはずの軽減が適用されないことがあります。
2.2 減免は申請して個別に判断される
減免は、各市区町村が条例で定めている制度です。災害にあった、収入が大きく減ったといった個別の事情があるときに、申請にもとづいて保険料が減額または免除されます。
軽減と違って自動では適用されません。何をもって対象とするか、どの程度減らすかは自治体によって異なります。納期限までに申請することを求めているところが多いので、支払いが難しいと感じた時点で早めに窓口に相談しておくと選択肢が残ります。
国民健康保険の担当をしていたころ、納付書が届く時期には問い合わせが増えました。「高い」というお声の裏側には、金額の根拠が分からないという不安があったように思います。まずは仕組みを知るところからだと感じていました。



