3. 平均に自分を当てはめない

ここからは、一次資料をもとに記事を書いている立場から、この数字の扱い方を整理してみます。

50歳代の平均1908万円という数字を見て、「うちは全然足りない」と落ち込む必要はありません。平均は分布の上のほうに引っ張られる性質があり、中央値700万円との差が1208万円もあること自体が、その証拠です。

40歳代からの変化を見ると、この年代で何が起きているかがつかめます。

40歳代の水準については、LIMOの記事「【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」」から要点を引用して確認しておきましょう。

40歳代・二人以上世帯では、平均が1486万円、中央値が500万円となっています。

出所:【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」

40歳代から50歳代の10年で、平均は1486万円から1908万円へ422万円、中央値は500万円から700万円へ200万円増えています。年あたりに直すと、中央値では20万円ほどの積み上がりです。

4. 70歳代になると、平均も中央値も下がる

この先の年代がどうなるかも、あわせて見ておきましょう。数字は右肩上がりで伸び続けるわけではありません。

60歳代は平均2683万円、中央値1400万円で、50歳代から中央値が2倍になります。退職金の受け取りが影響していると考えられる動きです。

ところが70歳代になると、平均2416万円、中央値1178万円と、いずれも60歳代より下がります。年金生活に入って資産の取り崩しが始まることが、数字にあらわれていると読めます。

4.1 非保有割合は高齢期に下がる

金融資産非保有の割合は、40歳代18.8%、50歳代18.2%、60歳代12.8%、70歳代10.9%と、年代が上がるにつれて下がります。

ただし、これは全員が貯められるようになるという意味ではありません。50歳代で18.2%という水準が残っている以上、この層がそのまま高齢期に入るケースもあります。分布が分かれている状態は、時間が解決するとは限らないということです。

5. 50歳代のうちに確認しておきたい3つのこと

では、いま50歳代の方は何を確認しておけばよいのでしょうか。3つ挙げます。

5.1 自分の位置を中央値で確かめる

まず、平均ではなく中央値700万円と比べてみてください。そのうえで分布のどのゾーンにいるかを見ると、極端に落ち込むことも、過度に安心することも避けられます。

分布は100万円未満から3000万円以上まで幅広く散らばっています。近い金額帯の世帯が一定数いることが分かるだけでも、判断の材料になります。

5.2 日常用と将来用の資金を分けて把握する

今回見たように、この調査は日常的に使う預貯金と、将来に備えた金融資産を区別して尋ねています。家計を点検するときも、同じ分け方をしておくと現状がつかみやすくなります。

生活費の数か月分を手元に置いたうえで、それとは別にどれだけ将来用の資産があるか。この2つを分けて書き出してみるとよいでしょう。

5.3 退職後に受け取る見込み額をあわせて見る

貯蓄額だけでは、退職後の生活が成り立つかどうかは判断できません。公的年金の見込額はねんきん定期便やねんきんネットで確認でき、退職金の有無や水準は勤務先の制度で決まります。

この点については、LIMOの記事「【70代の貯蓄・年金・家計のリアル】老後赤字を加速させないためには?投資に頼らない防衛策を徹底解説!」でも次のように指摘されています。

こうした背景を考えると、現役世代のうちから計画的に貯蓄や資産形成に取り組むことが、70歳以降の生活の安心につながるといえるでしょう。

出所:【70代の貯蓄・年金・家計のリアル】老後赤字を加速させないためには?投資に頼らない防衛策を徹底解説!

なお、資産形成の方法は人によって適した形が変わります。運用にはもちろん元本割れの可能性もありますので、具体的な進め方に迷う場合は、金融機関やファイナンシャル・プランナーに相談してみるのもひとつの方法です。

6. まとめにかえて

50歳代・二人以上世帯の金融資産保有額は、平均1908万円、中央値700万円でした。金融資産非保有が18.2%、3000万円以上が18.8%と、分布の両端がほぼ同じ大きさで並んでいます。

そして、非保有と答えた186世帯のうち48.4%は預貯金口座に残高があり、その平均は480万円でした。「非保有18.2%」は「貯金ゼロが18.2%」とは違います。

統計の数字は、定義まで含めて読むと見え方が変わります。まずは中央値を基準に自分の位置を確かめ、日常用と将来用の資金を分けて把握するところから始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料