「ひとりで老後を迎えるとき、お金は足りるだろうか」。50歳代に入り、定年が10年ほど先に見えてくると、その問いが急に現実味を帯びてきます。頼れる収入が基本的に自分の年金と貯蓄だけになるおひとりさまにとって、切実なテーマです。
まずは、同世代のひとり暮らしがどれくらい貯めているのかを、平均と中央値から確かめてみましょう。そのうえで、「自分にいくら必要か」を見積もる方法を考えていきます。
今回は、50歳代のおひとりさま(単身世帯)の平均貯蓄額と中央値を確認し、老後資金を「逆算」で考える方法をみていきます。
この記事を読んだらわかる3つのポイント
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50歳代おひとりさまの平均999万円・中央値120万円という開き -
「いくら必要か」を自分の数字で出す、老後資金の逆算法 -
定年までの残り10年で、何をどれだけ準備すればいいか
【50歳代おひとりさまの平均貯蓄額】中央値はいくらか?
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、50歳代・単身世帯の金融資産保有額(平均・中央値)は次のとおりです。
※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。
50歳代おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)
- 50歳代単身世帯:平均999万円/中央値120万円
50歳代のおひとりさまは、平均が999万円と1000万円に迫る一方、中央値は120万円と大きく開いています。蓄えの多い一部の人が平均を押し上げているためです。生活費用口座以外の金融資産がない人が35.2%と全年代でもっとも高く、他方で2000万円以上を持つ人も15.9%。老後を目前に、蓄えの差がくっきり分かれる年代です。中央値でみれば、多くの人にとって準備はこれからです。
50代からの老後資金は「逆算」で考える
老後資金には「いくら貯めれば安心」という決まった正解はありません。大切なのは、自分の場合にいくら必要かを「逆算」で見積もることです。手順はシンプルに、3つのステップで考えます。
まず、老後の毎月の収入(主に年金)を見積もります。次に、老後の毎月の生活費を見積もります。その差が「毎月の不足額」です。これに老後の年数(たとえば65歳から90歳までの25年)をかければ、貯蓄で用意すべきおおよその金額が出ます。
たとえば毎月の不足が3万円なら25年で約900万円、5万円なら約1500万円、という具合です。金額に幅があるのは、年金額も生活費も人によって違うから。だからこそ、平均の数字ではなく「自分の数字」で計算することが欠かせません。
おひとりさまは、この不足を自分の貯蓄だけで埋めることになります。50歳代のいま逆算しておけば、定年までの10年で「何を・どれだけ」準備すればよいかが、はっきり見えてきます。
元銀行員の筆者からのアドバイス
50歳代おひとりさまの貯蓄は、平均999万円・中央値120万円でした。金融資産がない人が3人に1人を超える一方、2000万円以上の人もいて、差が大きい年代です。ただ、逆算で「自分に必要な額」がわかれば、やるべきことは具体的になります。
金融機関で家計の相談を受けてきた立場から、50歳代のおひとりさまに、今日からできることを3つお伝えします。
ひとつめは、「ねんきんネット」に登録して、自分の年金見込み額を確認すること。逆算の出発点になる、いちばん大事な数字です。ここが分かるだけで、老後の見通しはぐっと具体的になります。
ふたつめは、残された時間を生かして、老後資金を上積みすること。定年まで10年あれば、新NISAやiDeCoといった税制優遇のある制度で積み立てを続ける選択肢もあります。ただし投資には元本割れのリスクがあり、金融商品や投資方法などによってリスクが異なるため、生活防衛資金を預貯金で確保したうえで、無理のない範囲で行いましょう。
みっつめは、「健康」に気を配ること。おひとりさまにとって、病気やケガはそのまま家計のリスクになります。健康診断や人間ドックを定期的に受け、体を整えておくことは、将来の医療・介護費を抑える立派な備えです。
参考資料
和田 直子

