2026年7月30日前後、163円台後半まで円安が進み「164円台に乗るかどうか」が焦点となっていたドル円相場が、一時160円を割り込みました。政府・日銀による為替介入とみられる動きも観測され、その後は8月7日時点で158円台での推移が続いています。
わずか1週間ほどの間に数円単位の値動きが連続したことになります。「もう少し円安が進んでいたタイミングで外貨預金を始めていたら、含み損を抱えていたのでは」と感じた方もいるのではないでしょうか。
外貨預金の損益は、為替レートの変動だけで決まるわけではありません。金利という要素を加味すると、「損益がプラスマイナスゼロになる為替レート(損益分岐点)」がどこにあるのかが具体的に見えてきます。
本記事では、直近の為替介入の動きを踏まえながら、円安局面で外貨預金を始めた場合の損益分岐点を、金利の条件別に試算します。
1. この記事の3つのポイント
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為替介入でドル円は163円台後半から160円割れ -
円安時に始めた外貨預金の損益分岐点を計算 -
金利が高いほど分岐点は円高側に下がる
2. 直近のドル円相場:163円台後半から一時160円割れ、8月7日時点は158円台
直近のドル円相場は163円台後半まで円安が進み、「164円台に乗るかどうか」が市場の焦点となっていました。
しかし2026年7月30日前後、為替介入とみられる動きをきっかけに一時160円を割り込みました。その後は8月7日時点で158円台で推移しています。
円安・円高いずれの方向であっても、短期間で数円単位の変動が起こり得ることは、外貨預金を検討するうえで押さえておきたいポイントです。
3. 163円で外貨預金を始めていたら?金利5%の損益分岐点を計算
たとえば、163円台後半に近い1ドル163円のタイミングで、年利5%の米ドル定期預金(1年もの)に1万ドルを預け入れたケースを考えてみます。
元本(円換算)は163万円です。1年後、5%の金利により500ドルの利息が発生しますが、ここから20.315%の税金が差し引かれるため、税引き後の利息は約398ドルとなります。元本と合わせると、1年後に受け取る米ドルは1万398ドルです。
この1万398ドルを円に戻したとき、元本の163万円を下回らない為替レートを逆算すると、次の式になります。
163万円 ÷ 1万398ドル = 約156.75円
つまり、1年後に1ドル156.75円までの円高であれば、金利収入によって為替差損が相殺され、実質的な損益はプラスマイナスゼロで済む計算です。
同じ考え方で、163円以外のタイミングで始めていた場合の損益分岐点(いずれも金利5%、1年後の想定)を並べると、次のようになります。
- 158円で始めた場合:約151.95円
- 160円で始めた場合:約153.87円
- 163円で始めた場合:約156.75円
- 163.8円(163円台後半の高値圏)で始めた場合:約157.52円
始めたタイミングの為替レートが円安であるほど損益分岐点も円安側にずれる一方、いずれのケースでも金利によって数円分の「値下がり耐性」が生まれていることがわかります。
4. 為替が140円〜200円まで動いた場合の損益イメージ
163円・金利5%のケースを例に、1年後の為替レートが140円〜200円まで動いた場合の損益をイメージすると、次のようになります。
- 180円まで円安が進んだ場合:為替差益+金利収入で、約24万円のプラス
- 140円まで円高が進んだ場合:為替差損が上回り、約17万円のマイナス
「140円まで円高になったら結局損をするのでは」と思われるかもしれませんが、仮に金利のつかない状態で米ドルを保有していた場合、140円時点での損失額は約23万円に膨らみます。金利がつくことで、損失額を約6万円分軽減できている計算です。
5. 損益分岐点を割り込んだらどうする?「継続」か「損切り」かの判断軸
仮に156.75円を下回るような円高が進み、含み損を抱えた場合の選択肢は大きく2つあります。
- 年5%前後の高金利なら「保有継続」:利息を積み上げることで将来の損益分岐点をさらに下げられるため、時間を味方につけて回復を待つのが合理的な選択肢となります。
- 低金利・不安が大きいなら「損切りして別アセットへ」:適用金利が低くインカムゲインで補填しきれない場合や、心理的負担が大きい場合は、早期に損切りして株式や債券など別の資産に再配分する方が、トータルの資産形成として早くリカバリーできるケースもあります。
撤退か継続かの判断は、その時の相場だけでなく、ご自身の保有資産全体における外貨比率やリスク許容度によって変わります。

