6. 金利が高ければ、損益分岐点はどこまで下げられる?

ここからは、163円で始めたケースを例に、預け入れ金利(1%・3%・5%・7%)ごとの損益分岐点の違いや、見落とせない「為替手数料(スプレッド)」の影響について詳しく見ていきます。

  • 金利1%の場合:損益分岐点は約161.71円
  • 金利3%の場合:損益分岐点は約159.19円
  • 金利5%の場合:損益分岐点は約156.75円
  • 金利7%の場合:損益分岐点は約154.39円

金利が2ポイント上がるごとに、損益分岐点はおよそ2〜2.5円ずつ円高方向にずれていく計算です。同じ163円で始めた場合でも、選ぶ商品の金利水準によって、値下がりに対する耐性には数円単位の差が生まれることになります。

6.1 為替手数料(スプレッド)はどれくらい影響する?

ここまでの試算は為替レートそのもので計算しており、実際に発生する「為替手数料(スプレッド)」を含めていません。一般的に、銀行の窓口では1ドルあたり片道1円(往復2円)程度の手数料がかかるケースがあり、1万ドルの取引であれば往復で2万円ほどのコストになります。これは、5%の金利で得られる税引き後利息(約398ドル、163円換算で約6万5000円)の3割前後に相当する規模で、無視できない金額です。

インターネットバンキングやネット証券では、この為替手数料が片道数銭〜数十銭程度に抑えられている商品もあります。金利の高さだけでなく、取引にかかるコストも合わせて確認することが、実質的なリターンを左右します。

6.2 一度に始めるか、時期を分けて始めるか

まとまった資金を一度に外貨へ交換すると、その時点の為替レートがそのまま損益分岐点を決めてしまいます。複数回に時期を分けて外貨預金を積み立てていく方法をとれば、平均の取得レートがならされるため、特定のタイミングで高値づかみをするリスクを抑えられます。ただし、その分、値上がり局面での利益も平均化される点は踏まえておく必要があります。

6.3 為替介入は今回が初めてではない

政府・日銀による為替介入は、過去にも急速な円安・円高が進んだ局面で実施されてきました。介入の有無やタイミングを事前に予測することは難しいため、「介入が起きたらどうなるか」を前提に、金利や手数料も含めた損益分岐点を把握しておくことが、値動きに振り回されないための備えになります。

7. まとめ:金利と手数料を含めて、自分の損益分岐点を把握しておく

為替相場は短期間で大きく動くことがあり、今回のようにわずか数日で数円単位の変動が生じることも珍しくありません。ただし、外貨預金には金利という要素があるため、レートの変動だけで一喜一憂する必要はありません。

自分が外貨預金を始めた(あるいはこれから始める)レートと金利条件をもとに損益分岐点を計算しておけば、どこまでの円高なら耐えられるかが具体的にわかります。為替手数料や積立のような分散の手法も含めて、客観的な数字をベースに運用方針を考えることが大切です。

和田 直子
損益分岐点の計算はあくまで目安であり、実際の金利や為替手数料は金融機関や時期によって変わります。外貨預金を検討する際は、キャンペーン金利の適用期間や、満期後にどのレートが適用されるかもあわせて確認しておくと、想定外の差が生まれにくくなります。

 

【免責事項】
本記事は、特定の金融商品の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。掲載している数値・シミュレーション結果は、一定の前提条件のもとでの試算であり、実際の金利・為替レート・手数料等を保証するものではありません。投資には元本を割り込むリスクがあります。投資に関する最終的な判断は、必ずご自身の責任において行われるようお願いいたします。

参考資料

和田 直子