50歳代は、教育費の負担が一段落する家庭がある一方で、退職後の生活が現実味を帯びてくる年代です。同世代がどれくらい貯めているのかは、気になるところではないでしょうか。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、世帯主が50歳代の二人以上世帯の金融資産保有額は、平均1908万円、中央値700万円でした。調査は令和7年6月20日から7月2日に行われ、二人以上世帯5000世帯が回答しています。
この記事では、50歳代の貯蓄の分布を確認したうえで、「金融資産非保有」という言葉の意味を掘り下げていきます。
- 50歳代・二人以上世帯の金融資産保有額は平均1908万円、中央値700万円。差は1208万円ある
- 金融資産非保有が18.2%、3000万円以上が18.8%と、ほぼ同じ割合で分布の両端に並ぶ
- 「金融資産非保有」と答えた世帯の48.4%は預貯金口座に残高があり、その平均は480万円
なお、全世代の貯蓄額の比較と70歳代の家計に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 50歳代の貯蓄は平均1908万円、中央値700万円
まず全体像を押さえます。以下の数字は、金融資産を保有していない世帯も含めた50歳代の二人以上世帯1024世帯を対象とした集計です。
1.1 平均と中央値に1208万円の差がある
50歳代の金融資産保有額は、平均が1908万円、中央値が700万円でした。その差は1208万円です。
平均は一部の高額世帯に引き上げられるため、実感に近いのは中央値のほうです。50歳代の世帯を金額の順に並べたとき、ちょうど真ん中にくるのが700万円だということになります。
ちなみに二人以上世帯全体では平均1940万円、中央値720万円でした。50歳代の平均は全世代の平均とほぼ同じ水準にあります。
1.2 分布の両端がほぼ同じ大きさになっている
分布を見ると、この年代の特徴がはっきり出ます。金融資産非保有が18.2%、3000万円以上が18.8%と、両端がほぼ同じ割合で並んでいます。
その間は、100万円未満6.5%、100万円以上200万円未満6.4%、500万円以上700万円未満6.7%、700万円以上1000万円未満7.7%、1000万円以上1500万円未満9.3%と、比較的なだらかに散らばっています。
つまり50歳代は、「平均的な層」に世帯が集中している年代ではありません。同じ50歳代でも状況が大きく分かれているというのが実態です。
50歳代の金融資産保有額の分布。金融資産非保有18.2%と3000万円以上18.8%が、ほぼ同じ割合で両端に並んでいます。1/2
出所:LIMO編集部作成
2. 「金融資産非保有」は貯金ゼロという意味ではない
18.2%という非保有の割合を見ると、5世帯に1世帯近くが貯金ゼロなのかと受け取りたくなります。ところが調査の内訳を見ると、そうではありません。
2.1 非保有世帯の48.4%は預貯金口座に残高がある
この調査では、金融資産非保有と回答した世帯に対して、預貯金口座などの有無と残高をあらためて尋ねています。
50歳代で金融資産非保有と答えたのは186世帯でした。その内訳は、口座を保有していて現在残高がある世帯が48.4%、口座は保有しているが現在残高はない世帯が32.3%、口座を保有していない世帯が19.4%です。
つまり、非保有と答えた世帯のおよそ半数には、預貯金口座に残高があることになります。
2.2 残高がある世帯の平均は480万円
さらに、残高があると答えた50歳代の90世帯について、預貯金残高の平均は480万円でした。
この調査でいう「金融資産」は、運用や将来に備えて保有しているものを指しており、日常的な出し入れに使っている預貯金とは区別して尋ねられています。非保有という回答は「将来に向けて蓄えている資産がない」という意味であって、手元にお金がまったくないという意味ではありません。
数字を読むときは、この違いを意識しておきたいところです。
50歳代で「金融資産非保有」と答えた186世帯の内訳。約半数は預貯金口座に残高があります。2/2
出所:LIMO編集部作成
統計を扱っていて痛感するのは、見出しになる数字ほど独り歩きしやすいということです。「非保有18.2%」も、内訳まで開いてみると意味が変わります。数字は必ず定義とセットで読みたいですね。


